地元の魅力を知ることって、もしかしたら最高の贅沢!?
2019/09/22
「これさえあれば自分はハッピーになれる」そんな何かを持っている人って、強いですよね。あなたにはありますか?
日々のちょっとしたことを、自分をハッピーにする素に変えてしまう、まわりをハッピーにしてしまう、そんな人を全国に訪ねてみました。あなたの”ハッピーの素”になるヒントが見つかりますように。
地元の食材のおいしさに目覚めたら、野菜好きになりました
週5日、フルタイムで働いているnatumikanさん。体力を消耗する仕事なので、帰宅するといつもくたくた。
何もしたくない心境で、一から献立を考えるのは無理だと感じるそう。作り置きを試したこともありましたが、休日の仕込みが大変だし、保存容器を取り出して、いちいち器に盛り分けるのだって面倒。なにより、作りたてのおいしさにはかないません。
それなら、たとえ一品でも当日に作ったほうがラクで圧倒的においしい。水曜日と日曜日のお休みに、野菜たっぷりの汁ものを多めに作って、あとは帰宅後にちゃちゃっと一品足すだけ。ふだんの日の食卓は、一汁一菜でいいと割り切りました。代わりに休日をご馳走に。愛知県で獲れた魚を産直市場で買い、自分でおろすところから満喫。食べることを楽しんでいます。
そんな食卓を支えてくれるのは地元産のあれこれ。natumikanさんが暮らす多治見は、愛知県に近い岐阜県の町。野菜、肉だけでなく、実は魚もおいしく、豊かな食材が手に入る土地柄で、調味料もおいしいものが見つかります。
「地元の食材に目覚めたのは産直がきっかけです。季節によって並ぶものが変わり、旬の食材が安く手に入ります。野菜は元々嫌いだったのに、お店の人に教わって試すようになったら、大好きな野菜が増えました」
地元の魅力を知ることって、もしかしたら最高の贅沢
産直で出合ったのは、食材だけではありません。おひつ、しゃもじ、まな板など、多くのものが地元で作られていることに気づき、暮らしに取り入れるように。
「80歳のおじいさんが作ってるとか、いろいろな背景を聞きながら買うのが楽しい。長く使おうって思えます」。刃物で有名な関も近く、魚をおろすための出刃包丁も入手。気がつけば台所道具の多くも地元産です。器の産地でもあるので、窯元で春夏の窯出しを狙って買ったものがほとんどです。
「シンプルな調理法でもおいしいのは新鮮な食材のおかげだし、よりおいしそうに見えるのは、盛り映えする器のおかげです」
食材も、器も道具も地元のもの。そんな暮らしが、当たり前にできるのは、とてもぜいたくなこと。「多治見は豊かな土地柄だと気がつきました。SNSでも、『いいね』って言われます。きっと自分の地元のものに目を向けたら、いいものはいっぱい見つかるのでしょうね。そんなふうにお返事したら、『うちの地元にもこんないいものがあった』と知らせてくれた友人もいます」
遠く離れた土地や都会が、自分の住む土地よりも魅力的に思えてしまうのは、よくあること。でも、自分の住む場所で作られているものに目を向けて、地元の魅力を意識すると、見えてくるものがどんどん変わってくるようです。〝隣の芝生だけでなく、自分の芝生もちゃんと青い〟。そう感じられたら、日々の暮らしはより幸せになります。
#はだしが気持ちいい
「子どものころからログハウスに住みたいと思っていました」。一度決めたらぶれないnatumikanさんは夢を実現。ついついはだしで歩きたくなる、気持ちのいい家に
#地元のおいしいを探す
季節の野菜。同級生の家で作られているこんにゃく。調味料も岐阜&愛知産と近隣のもの。せっかくなら地元のものをと思って探したら、おいしいものがいっぱい
#季節を映す窓
両親の住む家の隣の土地が購入でき、家を建てたのは6年前。キッチンの小さい窓から季節が移り変わるのを感じてきました。住む土地を慈しみながらの暮らしです
#ハレの日のおひつご飯
炊きたてご飯をおひつへ移す。このひと手間ができるのは休日だけ。でもこれだけで普通のごはんがハレの日のものに。おひつも木しゃもじも、地元産を産直で購入
#茶色いごはんこそ
きちんと選んだ地元の食材をシンプルに調理して食べることこそがぜいたく。そう気がついたら、彩りは気にならなくなりました。茶色いごはんは、おいしい
#産直めぐり
「そろそろ、○○が出てるはず」と季節の食材に出合うために出かける産直。行くたびに様子が変わるので、ワクワクするのだとか。休日のいちばんの楽しみです
natumikanさん
岐阜県多治見市に、小5の娘と夫と暮らす。発酵食品を意識して毎日食べるようにしていたら、体が軽くなり、健康になったと感じているそう。手作りみそを使った、野菜たっぷりの汁ものを日々欠かしません
Have a try!
□スーパーで地元の調味料を探してみる
□近くの道の駅に行ってみる
□ごはんを「がんばる日」と「ラクしていい日」に分けてみる
参照:『サンキュ!』2018年7月号「わたしのHappyのつくりかた」より抜粋。
撮影/木村文平
取材・文/加藤郷子
出版社にて料理・生活情報誌編集を経てフリーに。得意ジャンルは暮らしまわりいろいろ。趣味は食べること。取材先で見つけた小さな知恵を家で試して、うまくいったらほくそえむこと。著書に『あえて選んだせまい家』(ワニブックス)、共著書に『「北欧、暮らしの道具店」店長のフィットする暮らし』(パイ インターナショナル』、編著書『アートと暮らすインテリア』(パイ インターナショナル)など。