【医師監修】更年期のイライラはなぜ起こるの?更年期とホルモンとの関係や対処法を紹介

このイライラは更年期症状?見分け方は?更年期とホルモンとの関係や対処法を紹介

2024/11/28

「些細なことでイライラして、家族にあたってしまう」
「イライラが止まらず、周囲から性格が変わったと言われる」

40代から50代の女性が悩まされるイライラは、更年期に起こる症状の一つかもしれません。

今回は、更年期とホルモンの関係からイライラが起こる原因を解説します。イライラ対策も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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更年期はなぜ起こるのか

更年期は、閉経の前後5年の合計10年間を指し、女性の加齢にともなって身体が変化していく時期のことです。

その間、身体のほてり、イライラ、動悸などさまざまな症状があらわれます。日本人女性の平均的な閉経年齢は約50歳であることから、45歳〜55歳ごろの多くの女性が更年期にあたるといえるでしょう。

更年期症状が起こる原因は、主に卵巣機能の低下です。さらに心理的な要因や社会的な要因などが複雑にからむことで、多彩な症状を引き起こしています。


●女性ホルモンの分泌が不規則になる
卵巣は女性ホルモンであるエストロゲンの産生を10歳前後から開始します。

エストロゲンの分泌は20代〜30代でピークとなり、その後緩やかに減少していきます。更年期になると卵巣機能の低下により、エストロゲンの分泌は不規則に変動しながら、急激に減少していくのです。


●自律神経に影響をおよぼす
身体はホルモンの量が急に変化すると、変化前の状態に戻そうとします。つまり、エストロゲンの急激な減少に対して、さらにエストロゲンを産生しようとするのです。

脳の奥に位置する視床下部は、エストロゲンの産生を促す役割を果たしています。エストロゲン産生のため、更年期には視床下部が今まで以上に働きます。

視床下部は自律神経の中枢です。頑張り続けると、自律神経に影響をおよぼしてしまい、更年期症状につながります。

閉経し、エストロゲンの不規則な分泌が落ち着き、視床下部が頑張り続ける状態も弱まると、更年期症状もあらわれにくくなります。

そのイライラは更年期症状?見分け方はあるのか

イライラするといっても、普通の感情の変化なのか、更年期の影響なのか、判断するのは難しいですよね。

更年期には、イライラする以外にも不安になったり、気分が落ち込みやすくなったりすることがあります。体のほてりや動機、めまいなどの身体的症状が出る方もいます。

他にも更年期特有の症状があらわれていないかチェックしましょう。


●あなたの更年期症状をチェック
日本産婦人科学会では、日本人女性の更年期障害(※)を診断するための補助ツールとして、「更年期症状評価表」を作成しています。

(※)更年期障害とは更年期症状がひどくあらわれ、日常生活に支障をきたす病態のこと

「日本人女性の更年期症状評価表」

▢ 顔や上半身がほてる(熱くなる)
▢ 汗をかきやすい
▢ 夜なかなか寝付かれない
▢ 夜眠っても目をさましやすい
▢ 興奮しやすく、イライラすることが多い
▢ いつも不安感がある
▢ ささいなことが気になる
▢ くよくよし、ゆううつなことが多い
▢ 無気力で、疲れやすい
▢ 眼が疲れる
▢ ものごとが覚えにくかったり、物忘れが多い
▢ めまいがある
▢ 胸がどきどきする
▢ 胸がしめつけられる
▢ 頭が重かったり、頭痛がよくする
▢ 肩や首がこる
▢ 背中や腰が痛む
▢ 手足の節々(関節)の痛みがある
▢ 腰や手足が冷える
▢ 手足(指)がしびれる
▢ 最近音に敏感である

上記の症状の有無や程度から、更年期障害になっていないかどうかを見極めます。いくつ当てはまりましたか?

多くの症状が当てはまる場合、更年期障害の可能性は高いと考えられます。


●生理トラブルにも注意
生理がきていれば更年期ではないと考える方もいますが、そのようなことはありません。

更年期は閉経前の5年間も含まれるため、生理中でも更年期症状があらわれる可能性はあります。

更年期の前半は閉経に向けて、生理周期や量が変化していきます。大量出血や不正出血など、生理トラブルが起きないか注意しておきましょう。

今すぐできるイライラ対策

今すぐできるイライラ対策

原因が更年期とわかっても、すぐにイライラがおさまるわけではありません。一体どうしたらいいのか思い悩む方も多いですよね。まずはできることからひとつずつ改善していきましょう。


●食事や運動、睡眠といった生活習慣を改善
更年期症状がこれ以上進行しないよう、生活習慣の見直しが大切です。バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠は、自律神経を整え、更年期症状の緩和にもつながります。

とくに閉経後は生活習慣病になりやすいくなるため、早めの見直しが病気の予防にもつながります。意識的に自律神経がととのう習慣をつくっていきましょう。


●ストレスとの付き合い方を知る
女性にとって更年期を迎える45~55歳前後は、仕事で責任のある立場になったり、家庭内で親や夫、子どもとの関係に変化があったりとストレスがかかりやすい時期です。

ストレスをためこむと、イライラするなどのネガティブな感情が生じやすくなります。ネガティブな感情が生じた時は正しく情報収集をおこなうことで、感情を良い方向に変化させられるのです。

それでは情報を集めてみましょう。

1.イライラした状況を具体的に書き出しましょう
2.感じた気分と気分の程度(%)、その時頭に浮かんだ考え(自動思考)を記録します。
3.自動思考を裏付ける根拠とその根拠に反する事実(反証)を考えます。
4.「他の人がこのように考えていたらどうアドバイスするだろう?」と自分に問いかけてみましょう(バランス思考)。

【例】
・状況:昇進し仕事が増え、残業から帰ってきたら夫と子どもだけ外食をしていた。
・気分、気分の程度:イライラ(70%)、悲しい(30%)
・自動思考:私も外食に行きたかった。仲間外れにされた気がした。夫も子どもも私のことはどうでもいいと思っている。
・根拠:外食に行けず、残業していた。家に食べるものがなかった。
・反証:夫はいつもの食事を作ることが大変じゃないか確認してくれる。夫は子供の面倒をよくみてくれている。
・バランス思考:残業して、さらに食事を作らなくていいように、外食したのではないか。夫も仕事がある中、食事を用意できず外食になったのだろう。
・心の変化:イライラ(40%)悲しい(10%)感謝(50%)

情報収集をおこなっていくと、ネガティブな感情は新しい感情へと変化します。

今回紹介したのは認知行動療法のひとつ、コラム法の簡易版です。詳細な方法は、厚生労働省のサイトに載っていますので、確認してみてくださいね。

更年期かもと思ったら病院へ

2022年におこなわれた厚生労働省の調査では、40代50代の女性の約8割が更年期症状を自覚しても病院に受診していないという結果がでました。

多くの更年期の女性が病院にいくほどひどくはないと、我慢している状況があるのかもしれません。

現在は、更年期症状を改善するホルモン治療や漢方治療もあります。自分自身で対処するだけでなく、専門の病院に受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。


●他の病気が隠れている可能性も
 更年期症状と同じような症状が出る他の病気として、甲状腺疾患があります。更年期の症状だからと放置していると、病気が進行してしまう恐れもあり注意が必要です。少しでもおかしいと感じたら、病院へ相談にいってみましょう。

まとめ

以上、更年期とホルモンの関係から、イライラが起こる原因や対処法を紹介しました。

更年期には卵巣機能が衰え、女性ホルモンが低下し、自律神経に影響をおよぼします。イライラする以外にも更年期症状がある場合は、そのイライラは更年期症状のひとつかもしれません。

生活習慣を改善し、ストレスとの付き合い方を知りましょう。

更年期の症状を疑ったら他の病気の可能性もあるので、まずは病院への受診をオススメします。

それでは当記事を参考に、更年期について理解を深め、イライラへの対処法が見つかり、あなたの健康な生活のお役立てください。

■教えてくれたのは・・・

シンクヘルスブログ編集部

糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マインドフルネスなど幅広い健康情報について、管理栄養士や臨床心理士、運動指導士などの専門家陣が確かな根拠をもとに執筆している。


 
 

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