女性は更年期を迎えると、ホルモンの変化でLDL(悪玉)コレステロールが増えやすくなります。しかし、すぐに薬を飲まなくても、生活の工夫で改善できる場合があるとご存じですか?
コレステロールに関する詳しいお話を、医療法人社団筑三会の理事長である鈴木隆二氏に聞きました。
- Q.コレステロールとはどのようなものですか
- Q.女性とコレステロールの関係について教えてください
- Q.LDLコレステロールを上げない・下げるためにできる食事の工夫にはどのようなものがありますか
- Q.健康診断でLDLコレステロール値が高いと指摘された場合、すぐに治療が必要ですか
Q.コレステロールとはどのようなものですか
コレステロールは、体の細胞膜(細胞を包んでいる膜)やホルモン、胆汁酸(脂肪の消化を助ける胆汁の成分)を作るために欠かせない脂質の一種です。食事から摂取されるほか、肝臓でも合成されています。
血液中のコレステロールは「リポたんぱく」という形で運ばれ、主にLDL(悪玉)とHDL(善玉)に分けられます。LDLコレステロールが増えすぎると血管壁にたまり、動脈硬化を進める原因になります。一方、HDLコレステロールは余分なコレステロールを回収し、血管を守る働きをします。
Q.女性とコレステロールの関係について教えてください
女性は40代頃までは、女性ホルモン(エストロゲン)の影響でLDLコレステロールが低く、HDLコレステロールが高い傾向にあります。
しかし、更年期以降はエストロゲンの分泌が減少し、LDLコレステロールが増えやすくなります。そのため、閉経後に動脈硬化や、心血管疾患(心筋梗塞・狭心症など)のリスクが上がるといわれています。
年齢とともにコレステロール値の変化が起こるため、定期的な健康診断でのチェックが重要です。
Q.LDLコレステロールを上げない・下げるためにできる食事の工夫にはどのようなものがありますか
LDLコレステロールを下げるには、まず飽和脂肪酸を多く含む食品(バター、肉の脂身、加工肉など)を控えることが基本です。代わりに青魚に多いEPA・DHAや、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を取り入れると良いでしょう。
また、食物繊維(特に水溶性食物繊維)はコレステロールの吸収を抑えます。野菜、海藻、豆類、きのこ類を意識的に摂るのがおすすめです。間食や甘い飲料の摂り過ぎにも注意が必要です。
Q.健康診断でLDLコレステロール値が高いと指摘された場合、すぐに治療が必要ですか
健康診断でLDLコレステロールが高めと指摘されても、すぐに薬が必要になるとは限りません。生活習慣の改善(食事・運動・体重管理など)を3〜6カ月ほど続け、それでも数値が下がらない場合に薬物療法を検討します。
ただし、家族性高コレステロール血症(遺伝が原因でLDLコレステロールが非常に高くなる病気)や動脈硬化のリスクが高い方は早期治療が必要なこともあります。
まずは医師に相談し、自分のリスクを把握することが大切です。
Q.コレステロール値を改善するためにできる、運動習慣はありますか
有酸素運動はHDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らすのに有効です。
ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などを1日30分、週3〜5回続けるのが理想的です。急に激しい運動をするよりも、無理のないペースで続けることが大切です。
軽い筋トレを組み合わせると基礎代謝が上がり、脂質代謝も改善します。日常生活で階段を使う、通勤時に歩くなどの工夫も効果的です。
取材/文:山名美穂
編集:サンキュ!編集部
