これさえあれば自分はハッピーになれるモノ、持っていますか?
2019/09/23
「これさえあれば自分はハッピーになれる」そんな何かを持っている人って、強いですよね。あなたにはありますか?
日々のちょっとしたことを、自分をハッピーにする素に変えてしまう、まわりをハッピーにしてしまう、そんな人を全国に訪ねてみました。あなたの”ハッピーの素”になるヒントが見つかりますように。
子育てをしていると、身近な風景が大切なものだと感じるようになった
青々としている田んぼも秋を迎えるころには、徐々に黄金色に染まり始めます。それは、ちょっと都会を離れれば、日本各地で見られる田んぼの移ろい。ゆきこさんが家族と暮らす家の周りにも、そんな風景が広がっています。
生まれ育った富山ではないどこかへと思って都会に進学。当時は地元の魅力には気がつかなかったそうですが、戻って就職、結婚、出産を経て、自分の前に広がる普通の風景に、日々目を奪われることが増えました。
「子育てするようになったら、田んぼを美しいと思うように。水がはられたときなどは、その水面の美しさに、はっとさせられます」
田んぼに限らず、「今日は山の稜線がきれいだな」とか、そういう気づきが日々の暮らしのなかに、たくさんあるというゆきこさん。だから季節の移ろいを子どもの成長とともに写真に収めるようになりました。桜だったりシロツメクサだったり。もちろん田んぼも。どれもごく近所にあるものです。「娘の通学路にアジサイが咲く所があるので、娘から『満開だよ〜』と報告をもらったら、一緒に歩いていって、写真を撮ります」
なにげない日常とともにある景色のなかで撮影をしていると、ファインダーごしに子どもの成長を感じます。季節は移ろいはするけれど、1年たてば、また同じ風景がやって来る。一方、子どもたちは1年分成長し、大きな変化を遂げている。景色との対比から、子どもの成長がより鮮明に、身に迫ってくるのだそう。
素直に幸せだというを表現できないから、代わりにシャッターをきる
夫と家具工房を経営。自営業ということもあり、娘を産むときは入院当日まで働いていました。今も仕事と家事、育児には境がなく、常に人のために動いている状態が続いています。でも、それは二度とは訪れない貴重な瞬間の積み重ね。
「今は、当たり前に子どもたちと濃密に過ごしていますが、その期間は短いですよね。だから、写真を撮りながら子どもとつながる瞬間は、とても豊かでぜいたくな時間。私の宝物になるし、きっと子どもたちにも何かを残してくれると思っています」
自分のための時間はなかなか持てないけれど、今は人のために生きる時期と考えているゆきこさん。子どもや夫、義母はもちろん、工房で働く職人さんや家具の発注をしてくれるお客さまの笑顔を見ることが楽しく、その瞬間が幸せだと思っています。
「でも『あ〜、幸せだ』と思うことがあっても、照れてしまって上手に喜びを表現できないし、伝えられない。あまのじゃくなんです、私」
だから写真を撮り、そのときの思いを淡々と文章につづる。ゆきこさんのインスタグラムには、季節の風景と子どもたちの笑顔が並び、ていねいに言葉を選びながら書きつづった思いがたくさん詰まっています。
子どもへの愛があふれ出る写真が並ぶ様子は、まるでゆきこさんがつづる絵日記。シャッターをきるごとに、幸せが貯蓄されているのです。
#しましまのおそろい
「しましまの服が好きで、いつも着ています。ボーダーのお母さんと呼ばれるほど(笑)。自分らしくて落ち着くんです」。家族全員しましまという日もあるのだとか
#何を作ろうかな
家具の端材を捨てるのはもったいない。そんなゆきこさんの思いから、商品化した無垢の積み木。「小6の息子もまだ遊ぶくらい、積み木はいいおもちゃだと思います」
#気分のよい家具
家具工房の2階にはオリジナル家具のショールームが。夫のデザインした家具が並びます。「できたての家具をさわっているとハッピーな気持ちに」
#日々を撮るカメラ
特別に勉強したわけではないけれど、子どもを撮りたい一心ではまっていったカメラ。いつもの場所で日常を撮ることが、ゆきこさんのこだわり。右は娘へのお下がり
#生き物のいる暮らし
長男のかいくんは、猫のにこちゃんが大好き。犬も飼っている動物大好き一家です。猫をモフモフさわったり、顔をうずめたりするのも大好きで癒やされる時間だそう
#仕事場が遊び場
親の仕事を見ながら、子どもが育つ環境。自宅1階が工房なので、学校からそのまま顔を出すことも多いのだそう。職人さんたちに構ってもらいながら遊ぶことも
富山県 ゆきこさん
夫とともにオーダー家具の設計&製作をする家具工房を経営。小6の息子かいくん、小2の娘かのちゃん、夫、義母と5人で工房上にある自宅で暮らす。cozy.というブランドでオリジナル家具や木製雑貨の販売もしている
Have a try!
□家の近くの変わらない風景を探してみる
□季節の風景を撮影してみる
□去年と同じ場所で写真を撮ってみる
参照:『サンキュ!』2018年10月号「わたしのHappyのつくりかた」より抜粋。
撮影/小野田陽一
取材・文/加藤郷子
出版社にて料理・生活情報誌編集を経てフリーに。得意ジャンルは暮らしまわりいろいろ。趣味は食べること。取材先で見つけた小さな知恵を家で試して、うまくいったらほくそえむこと。著書に『あえて選んだせまい家』(ワニブックス)、共著書に『「北欧、暮らしの道具店」店長のフィットする暮らし』(パイ インターナショナル』、編著書『アートと暮らすインテリア』(パイ インターナショナル)など。