ママ世代は虫刺され跡が消えにくい!虫に刺されない&痕にしない正しい対処法とは
2020/06/16
夏になると虫さされに悩む人も多いですが、正しくケアをしないと刺された後に、皮膚に痕(あと)が残ってしまいます。刺されないための予防策と正しいセルフケア・治療方法について、巣鴨さくらなみき皮膚科院長・鈴木さやかさんに伺いました。
家の中やアウトドアで、気をつけることは?
虫の種類別にご紹介します。
※それぞれの虫には、たくさんの種類がありますが、わかりやすいようひとくくりにして説明しています。
[家の中編] 古いぬいぐるみや布団はダニに注意
家の中で注意したい虫は、蚊(か)、ダニ、ノミ、トコジラミ(南京虫)などです。
■蚊
蚊は、刺されると直後、あるいは1〜2日後に赤く腫れます。
【予防策】
水が溜まっているとボウフラ(蚊の幼虫)がわくので、植木鉢の皿や家の樋(とい)などに水が溜まらないように気をつけてください。
■ダニ
ダニには、フケやアカを食べる人を刺さないヒョウヒダニ、人を刺すツメダニやネズミに寄生するイエダニなどがいます。刺されると1〜2日後に、かゆみの強い赤いブツブツが出ます。
【予防策】
家の中の換気・掃除・洗濯を徹底し、古いぬいぐるみやしまっておいた布団を出す際には、ダニがいるかもしれませんので、洗ったり、布団乾燥機にかけたりしてから使いましょう。またダニの死骸でもアレルギー反応が起きることがありますので、ダニを通さない布団カバーやシーツを使うことも効果的です。また天井裏にネズミ(死骸も含めて)がいる場合には駆除することが大切です。
■ノミ
ノミは、おもにネコやイヌに寄生して生息し、刺されると1〜2日後に強いかゆみを伴った赤いブツブツや水ぶくれが現れます。
【予防策】
ネコやイヌには獣医師さんとご相談の上、ノミの寄生予防薬などを使ってください。
■トコジラミ
トコジラミ(南京虫)は、旅行に出かけた先で刺されたり、スーツケースに入って家の中に持ち込まれたりします。刺されると強いかゆみを生じます。
【予防策】
家の中では寝具の裏やカーペットの下などに生息します。旅行から帰ったらスーツケースは玄関で開け、洗濯物はすぐに洗濯機へ入れましょう。スーツケースを寝室へ持ち込まないことが大切です。
[アウトドア編] マダニに刺されたら、取らずに皮膚科へ!
気をつけたいシーンは、キャンプ、バーベキューなどで訪れる河川敷や山です。注意したい虫は、蚊(か)、ケムシ、ブユ、アブ、ハチ、マダニなどです。
■蚊
蚊は、暗いところを好むので夕方から夜や朝に活発に飛び回ります。
【予防策】
蚊は、足のウラの臭いが強いと寄ってくるといわれます。足のウラを良く洗い、消毒をして、臭いを発しない(細菌を繁殖させない)ことも大切です。
■ケムシ
ケムシは、ツバキやサザンカ、カキ、サクラなどの木に多く生息します。1匹見かけたらその周辺には集団で生息していると考えてください。ケムシは直接刺されなくても、粉(毒毛)に触れると、赤いブツブツができて、強いかゆみが生じます。
【予防策】
ケムシを見つけたら、帽子・長袖・長ズボン、手袋、首にはタオルを巻いて、枝ごと切り落として焼くか、袋に入れて処分しましょう。(公園や隣家の木の場合は所有者に連絡して対処してもらいましょう)
■マダニ
マダニは、山や公園、畑、あぜ道などに生息します。衣服の中に入って来ないよう、長ズボンの裾を靴下に入れたり、虫よけを使用したり注意が必要です。マダニは皮膚に咬みついて吸血するため、無理にマダニを取ると口だけ皮膚に残ってしまいます。もしマダニに咬まれたら、咬まれたままの状態ですぐに皮膚科を受診し、処置してもらいましょう。
またマダニの中にはウイルスなどをもっているものもいて、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの病気を発症することもあります。マダニに噛まれたら、虫が皮膚に付いたまま、なるべく早く皮膚科を受診し、しばらくは体調の変化に気を付けましょう。
■ブユ
ブユは、小川や渓流沿いなどに生息し、皮膚を露出したところから血を吸います。刺されると半日から1日後に赤くはれ、強いかゆみとともにブツブツが現れます。
■アブ
アブは、山の中や渓流沿いに生息し、早朝や夕方に活発に飛び交い、人を襲って皮膚を切って血を吸います。刺されると激痛が走り、腫れとかゆみが生じます。
■ハチ
ハチは、あらゆる場所にいますが、人を意味もなく襲うことはありませんので、ハチをみたらゆっくり離れましょう。刺されると激しい痛みや腫れが生じます。ハチに2回以上刺されると、アナフィラキシー※を起こす可能性がありますので、1度でも刺されたことがある人は、刺されないよう細心の注意が必要です。
※アナフィラキシーとは、極めて短時間で起きるアレルギー症状を伴う反応のことで、命に関わることもあります。アレルギーの元となる物質を食べたり、吸い込んだり、虫などに刺されたりすることをきっかけに起きます。
【アウトドア先での共通する予防策】
野山や公園などへ出かける際は、帽子・長袖・長ズボンを着用し、素足にサンダルは控えましょう。
虫除けは、子どもが吸い込まないよう、塗るタイプを
虫に刺されないためには、虫除けを適切に使うことも大切です。成分には、大きく分けて「イカリジン」と「DEET(ディート)」があります。小さなお子さんや赤ちゃんには、イカリジン配合のものがお薦めです。。使用量や部位などは注意を読んで使用しましょう。
またスプレータイプは、お子さんが吸い込んでしまう可能性がありますので、皮膚(服から露出している部分)にはジェルやクリームタイプを使うようにしてください。スプレータイプは、服などにふきかけるといいですね。
虫に刺されたあとのセルフケアと受診の目安は?
受診が必要なケースを見逃さないように気をつけましょう。
きれいな水で洗い流し、患部を冷やす!
万が一、虫に刺されてしまったら、まず水道水などきれいな水で患部を洗い流します。保冷剤などがあれば、患部を冷やしましょう。
市販の塗り薬(外用薬)は、スーッとした感触のものを好む人が多いですが、アルコールが入っているとかぶれることもあるので注意が必要です。ステロイドを配合している外用薬のほうが早く軽快するかもしれません。
受診の目安としては、市販の外用薬を使用しても症状が改善しない、患部が拡がってきた、赤みや腫れが増してきた、ジュクジュクして熱をもってきた、全身に発疹が出て発熱したなどの症状が出たら早めに皮膚科で診てもらいましょう。
皮膚科では、ステロイド軟膏を処方し、腫れやかゆみが強い場合には、抗アレルギー剤や抗生剤の内服薬などを用います。虫刺されを痕にしないために、刺されたら早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
痕(あと)を残さないためには、とにかく掻かないこと!
掻いて悪化してしまってから皮膚科を受診しても、虫刺され痕(あと)は残ってしまうことがあります。とにかく虫に刺されても、掻かないことが大切です。また刺された痕は日に焼かないようにしてください。
特に脚(足)は、掻きやすい上に血行が悪いことが多いので、掻くとなかなか治りません。それでも子どもの場合は、新陳代謝が活発なので痕になりにくいですが、ママ世代ですと新陳代謝が落ちてきているので、掻いて発疹を育てて(色素沈着して固くなること)しまわないことが大切です。
夏は楽しいイベントがたくさんありますが、上手に対策をして、虫に刺されないようにしていきたいですね。
(監修者 プロフィール)
鈴木さやかさん
医療法人社団 環桜会 巣鴨さくらなみき皮膚科 院長
東京大学医学部医学科卒業。同大学皮膚科学教室に入局。東京大学医学部附属病院皮膚科、麻酔科、社会保険中央総合病院皮膚科にて研修。以後、東京大学医学部附属病院など総合病院皮膚科や企業内診療所などで診療に従事。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。専門はアトピー性皮膚炎や妊娠中のスキンケア。美容皮膚科の経験も豊富。
取材・文/渡邉由希