重大な病気の可能性も!?ケアしているのに「口が臭ってしまう」原因を専門家が解説

2023/08/14

気になっても、なかなか人に相談しにくい自分の「口臭」。その原因はさまざまで、なかには病気が隠れていることもあります。

今回は口臭の原因や適切なケアの方法について、つのだデンタルクリニックの院長で、口腔外科と歯科心身症の専門家である角田智之氏に聞きました。

Q. 口臭はどのような原因で発生するのでしょうか?

口臭には問題のない「生理的口臭」と、他者に不快な思いをさせる「口臭」があります。「生理的口臭」は誰にでもある正常なにおいです。体のにおいと同じように「生理的口臭」も人それぞれ異なります。

一方、病気などが原因で引き起こされる不快なにおいを「口臭」と呼びます。口臭の原因の90%以上が歯口腔疾患(歯周病・舌苔[ぜったい]・ドライマウスなど)だと言われます。その他の原因には、飲食物、嗜好品(にんにく・お酒・たばこなど)、歯口腔以外の疾患(鼻や咽頭の疾患・消化器疾患、糖尿病など)があります。

他者の嗅覚で異常がないにもかかわらず、自分の口のにおいに過度にこだわるケースもあります。これは心因性の自臭症(じしゅうしょう)と呼ばれる病気です。

Q. 自分の口臭をチェックするのにおすすめの方法はありますか?

次のような症状がないかチェックしてみてください。

1.歯ぐきからよく出血する
2.歯ぐきがよく腫れる
3.歯がぐらつく
4.歯の間によく食べ物が挟まる
5.痛みはないが、穴が開いている虫歯がある
6.歯の表面がヌルヌルする
7.歯に詰め物や被せものをしている、入れ歯を使っている
8.舌の表面が汚れている
9.口内が乾燥している
10.夜、歯磨きをしないで寝てしまうことが多い

1~10のいずれか1つ以上当てはまり、半年以上歯科医院を受診していないのであれば注意が必要です。

Q. 口臭を防ぐにはどんなケアが必要でしょうか?また、やってはいけないことはありますか?

Phiwath Jittamas/gettyimages

口臭を防ぐのにもっとも効果的なのが、口の中を清潔に保つマウスケアです。マウスケアには「歯周ケア」と「舌苔ケア」があります。

歯周ケアは、歯ブラシでの丁寧なブラッシング、補助清掃器具(デンタルフロス・歯間ブラシなど)の使用、洗口剤(マウスウォッシュなど)の使用が挙げられます。歯ブラシでのブラッシングでは、歯の表面より歯と歯ぐきの境目を意識して磨いてください。歯と歯ぐきの境目の歯垢がにおいの原因となるからです。舌苔も口臭に影響します。週に数回、舌専用のブラシで清掃するといいでしょう。

やってはいけないこととしては、洗口剤のみの使用。歯ブラシなどのケアと併用しないと口臭は改善されません。

Q. しっかりケアしたのに臭う場合、どんな原因が考えられますか?

しっかりケアしていても口臭が気になる場合、原因としてストレスや疲れ、病気による免疫力の低下が考えられます。口臭には免疫が大きく関与しています。

睡眠不足だったり疲れていたりするときに、歯ぐきが腫れることはよくあります。これは免疫が落ちて、細菌に体が負けてしまった結果と言えるでしょう。口臭は細菌感染によるタンパク質の腐敗臭であるのがほとんどです。生活習慣を見直して細菌感染を防ぎ、適正な免疫機能を維持させることが大切です。

自分では適切なマウスケアができていない場合もあるので、歯科医院で指導を受けるのもいいでしょう。

歯科で大丈夫だと言われても口臭が気になるのであれば、自臭症の可能性があります。

Q. 口臭からわかる健康トラブルには、どのようなものがあるでしょうか?

ひどい口臭が持続するような場合、もっとも多い健康トラブルは歯周病に代表される口内の病気です。歯口腔以外の疾患では、アセトン臭(甘酸っぱいにおい)がする糖尿病、アンモニア臭(尿のようなにおい)がする肝硬変があります。そのほか呼吸器、消化器、耳鼻科系の病気が原因で腐敗臭がすることがあります。

前述のとおり、免疫力の低下によっても口臭は強くなりえます。免疫低下を引き起こす病気が隠れている場合もあるでしょう。

いずれにしても、強い口臭が続くようであれば、病院を受診することが大切です。

教えてくれたのは・・・

角田智之(つのだ ともゆき)さん

歯科医師。つのだデンタルケアクリニック院長・歯科医師臨床研修指導医・日本選択理論心理学会認定選択理論心理士。1992年、明海大学歯学部卒業。日本大学板橋病院、社会保険横浜中央病院、久留米大学病院、(医)高邦会高木病院歯科口腔外科を経て、2008年福岡市博多区につのだ歯科口腔クリニックを開設。2015年同じ博多区内で移転開設し、つのだデンタルケアクリニックに名称変更。予防診療と舌痛症のメンタルカウンセリングを行っている。専門分野は口腔外科、歯科心身症。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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