野菜の皮むきなどに便利なピーラーは、最近は幅広いタイプの商品が出ていて、料理にはかかせない!という人も多いかもしれません。ピーラーは寿命をむかえると切れ味が悪くなることもありますが、じつはふつうに切れているように見えてすでに寿命…というパターンも。そのまま使い続けると損してしまうかも!?
今回は、野菜ソムリエ・食育インストラクターの資格を持つ植松愛実が、なぜ寿命をむかえたピーラーを使い続けると「損」なのか、そしてピーラーの“捨てどき”の見極めかたを解説します。

ふつうに使えているように見えても…
ピーラーは寿命をむかえると、切れなくなるのではなく、野菜の皮が厚くむけるようになることがあります。使っている側としては皮むき作業がふつうに進むので不便に感じないのですが、じつは「厚くむける」というのはデメリットが大きいのです。
というのも、ほとんどの野菜は、皮ぎりぎりのところに栄養が多く含まれていて、甘みや旨みを感じる成分も皮に近いところに集中しているものが多いため。つまり、必要以上に皮をむいてしまうと、大事な栄養やおいしさを丸ごと捨ててしまうことに…。
そもそも意図せず厚く皮をむいてしまい野菜の廃棄率を高めるのはエコではありませんし、食品が高騰している昨今、食べられる部分を余計に捨ててしまうのももったいないし、おまけにその捨てる部分が一番おいしくて栄養のある部分というのは、もう損ばかりしている状況です。そのため、ピーラーは寿命をむかえたら、たとえふつうに使えているように見えても買い替えるのが得策です。
じつは肉眼でわかる!寿命の見極めかた
どのような状態になったらピーラーはもう寿命なのか、それはピーラーの刃を見るとわかります。「刃の状態なんて虫メガネでもなかったら見えないのでは…」と思いきや、意外とふつうに肉眼で見えるのです。
ピーラーの刃をよく見ると、刃のところどころがへこんでいる、つまり刃こぼれしてしまっていることがあります。これはもう寿命をむかえている状態。専門のお店で研いでもらうか、買い替えるかが必要です。
ちなみに自治体にもよりますが、ピーラーは不燃ゴミで捨てるように定められていることが多く、捨てる際はゴミ収集の作業員さんがケガをしないよう、しっかり包んだうえで刃物であることを明記しておきましょう。
少しでも長持ちさせるために
ピーラーの一般的な寿命は2~3年ですが、正しく管理すれば4~5年使い続けることもできます。
そのためにはまず、使ったあときれいに洗い、水気をしっかりふきとってからしまうこと。金属の刃がついているピーラーの場合、細かい野菜クズですらサビの原因となり、刃こぼれにつながってしまいます。また水気も大敵です。
一方、セラミック製のピーラーはサビに強く、ニオイ移りもしにくいというメリットがありますが、金属よりも硬いため欠けやすいというデメリットも。とくに、ほかの調理器具と一緒に引き出しに入れておくと、引き出しを動かすたびにほかのものと当たって刃こぼれがどんどん進行してしまいます。
できれば動きの少ない場所に立てて置いたり、上から吊り下げるような形で保管するのがおすすめ。ただし、刃物なので保管中に手をケガしないような場所を選んでください。
意外と奥が深いピーラーをかしこく使おう
筆者は出張料理の仕事でいろんな家庭にお邪魔しますが、ほとんどの家庭でピーラーは大さじや缶切りやトングなどほかの調理器具と混ざって引き出しに入っていて、やはり刃こぼれしてしまっているものも散見されます。
ピーラーは安いものだと100円程度で買えてしまい気軽に使える調理器具ですが、今回ご紹介したポイントをおさえることで、上手に使いこなすことができます。ぜひピーラーをかしこく&コスパよく調理に使ってくださいね。
■執筆/植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。
編集/サンキュ!編集部