加湿器が安く買える時期はいつ?買い時と選び方を家電の専門家が解説
2020/02/08
時期によって価格が大きく変動することもある生活家電。家計をやりくりする主婦としては、できればいちばん安いタイミングで買いたいものです。そこで、家電コーディネーターの戸井田園子さんに、家電の種類によって異なる、安く買える時期を解説してもらいます。
今回は「加湿器」が安く買える時期についてです。
電気暖房が普及し、加湿器はいまや冬の必須家電!
暖房をすると空気が乾燥するのは物理的な現象。とくに現代は、燃焼と同時に水分を生成するガス・灯油の暖房よりも、水分を生成しない電気暖房の利用がメインとなっているため、家庭内はより乾燥をしています。故に、加湿器は冬の必須家電と言えるでしょう。
加湿器は「スチームファン式」「気化式」「超音波式」という3つの加湿方式があり、それに加えて「気化式ハイブリッド(気化式+ヒーター)」「超音波ハイブリッド(超音波+ヒーター)」という2つのハイブリットタイプが存在します。
価格は1,000円代~8万円以上と幅広く、高額モデルは適応床面積が広いだけでなく、高いデザイン性や独自の方式などを併せ持つのが特徴となっています。
また近年は、人ひとり分のエリアだけを加湿するパーソナルユースの商品も増加傾向。清潔な状態が維持しやすいように、メンテナンスが手軽になってきたのもトレンドといえるでしょう。
加湿器が安く買える時期はいつ?
加湿器の新製品発売タイミングは、9月~11月ごろに集中。冬家電なので、秋に新製品を投入するわけです。そして、ほかの家電にも共通することですが、新製品が発売になるタイミングで、前年度モデルの価格が底値になります。
大手メーカーはほぼ毎年新製品を発売しますが、必ずしもフルモデルチェンジするわけではなく、新機能を搭載したマイナーチェンジ版であることも多いです。その新機能が自分にとって必要でないと思うのであれば、購入するのは前年度モデルでも大丈夫でしょう。
ただし、季節家電は量販店の場合、シーズンになると特設売り場が設置されることが多く、その場合旧モデルが店頭展示されることはあまりありません。旧モデルをお得に買うなら、ネットの方が手に入りやすいでしょう。
「最新モデルを安く買う」ことにこだわるのであれば、2月中がおすすめ。加湿器は旬が明確なので、3月には店頭から商品がなくなります。なので、価格的にもそのタイミングくらいまでには落ち着くでしょう。ただし、3月ぎりぎりまで待っていると、加湿器が必要な季節は過ぎてしまうので……少々価格が高くても購入するのが得策でしょう。
加湿器のベストな買い替えタイミングは?
花粉や風邪対策が目的であれば2月までには購入しておきたいところ。前述のとおり、型落ちを狙うなら秋ごろが購入タイミングですが、加湿器はそもそもの価格がそれほど高くなないので、じつは型落ちでもそこまでに大きく価格が下落しない傾向にあります。最新モデルと比較して、どちらがよいか検討するのがおすすめでしょう。
買い替えをする場合のベストタイミングは、フィルターの交換時期。ただし、加湿器のフィルターもそれほど高額ではないので、本体自体に不具合がなければ、フィルター交換をして使用し続けるのがおすすめです。ただし、長年手入れを怠ったために清潔な状態の維持が難しい状況なら、買い替えを推奨します。
加湿器を購入する際にチェックすべきポイント
いよいよ購入、あるいは買い替え・買い足しとなった場合は、以下のポイントを押さえて商品を選びましょう。
ポイント1:加湿器のタイプを決める
加湿器は「スチームファン式」「気化式」「超音波式」という3つの加湿方式があり、それに加えて「気化式ハイブリッド(気化式+ヒーター)」「超音波ハイブリッド(超音波+ヒーター)」という2つのハイブリットタイプが存在します。
「スチームファン式」の特徴
ヒーターで水を加熱して沸騰させて蒸気に変える方式で、イメージとしては、やかんでお湯を沸かすような状態。ただ蒸気を出すだけでなく、ファンを使って室内に送り出すタイプが主流になっています。蒸気が勢いよく出るので、加湿している実感が出やすいでしょう。
<長所>
・加湿のパワーが高く即効性がある
・水をいったん加熱するので衛生的
<短所>
・消費電力が他の方式に比べて大きめ(200W~500W程度)
・本体を倒したとき、熱い湯が漏れることがある
・定期的なカルキの除去が必要
「気化式」の特徴
水を含んだフィルターにファンで風を送り、水分を蒸発させる方式。ホテルに宿泊した際、水に濡らしたバスタオルを室内に干す――という乾燥対策がありますよね。気化式はほぼそれと同じ仕組みで、電気代が安いため長時間使う人におすすめ。節電意識の高まりもあり、最近はこの方式の製品が増えています。
<長所>
・送風のみなので消費電力が少ない(3W~20W程度)
・ヒーターを使用していないので、吹きだし口が熱くならない
<短所>
・急速に加湿をすることはできない
・定期的な加湿フィルターの交換または手入れが必要
「気化×ヒーターのハイブリット式(温風気化式)」とは?
気化式をベースにヒーターを併用しているタイプの加湿器もあります。湿度が低いときはフィルターに含んだ水分に「温風」をあてて加湿量を多くし、湿度が安定してきたらヒーターを切って「送風」のみで加湿を一定に保つというもの。
消費電力は気化式より大きいが加熱式よりは小さく、加湿のパワーも両者の中間。機能とコストのバランスがよい方式といえるでしょう。省エネ性は重視したいが、加湿スピードの速さも必要という人におすすめです。
「超音波式」の特徴
水に超音波を当てることで微粒子にし、それをファンで送りだす方式。霧吹きをイメージするとわかりやすいでしょう。加湿装置がコンパクトなので、いわゆるデザイン家電などで多く採用されている方式です。一方で、タンク内の水をダイレクトに放出しているため、衛生面の管理が必須。衛生を保てないと吹きだす蒸気に雑菌が混ざりやすいです。除菌機構を搭載し清潔性に配慮されている機種も増えていますが、その分価格は高くなりがち。
<長所>
・消費電力が少ない
・小型でデザインがきれいなものが多い
<短所>
・水分中のカルキも空中に放出されるので、壁や天井に白いものが残ることがある。
「超音波×ヒーターのハイブリッド式(加熱超音波式)」とは?
超音波式をベースに、ヒーターを搭載したタイプもあります。乾燥時はヒーターで加湿パワーを高め、湿度が安定すると超音波のみに切り替えることで、超音波式の弱点をカバーしています。
ポイント2:部屋の大きさにあった加湿パワーを選ぶ
加湿器の能力は、室温20℃・湿度30%の時、1時間あたり何リットルの水蒸気を出すかを指標とした「ml/h」で表します。
この数字が大きいとより広い部屋をカバーできるわけですが、部屋の広さに対して数字が大きすぎると、過加湿になり結露の原因になることも。エアコンや空気清浄機とは違って「大は小を兼ねない」ので、使用する部屋に見合ったパワーを選ぶのがおすすめです。
加湿器のスペックには「適応床面積」が書かれているので、必ずチェックするようにしましょう。ちなみに「適応床面積」は室温20℃において、湿度60%を維持できる部屋の大きさが目安。「ml/h」との関係性は以下のとおりです。
◇◇◇◇◇◇
1000ml/k:プレハブ28畳/木造17畳
800ml/h :プレハブ22畳/木造13.5畳
700ml/h :プレハブ18畳/木造11畳
600ml/h :プレハブ17畳/木造10畳
500ml/h :プレハブ14畳/木造8.5畳
400ml/h :プレハブ11畳/木造7畳
300ml/h :プレハブ8畳 /木造5畳
※100ml/h以下の小型加湿器は、デスクまわりなど個人用途を想定
◇◇◇◇
なお、給水タンクは、だいたい加湿量に合わせた大きさになっています。単純計算で、500ml/hで3.0Lタンクだと最短6時間でタンクが空になりますが、4.0Lタンクなら8時間になるため、タンク容量が大きい方が給水の手間が省ます。しかし、タンクが大きいと満水時は重くなるので、購入する際にはバランスを要確認。
ポイント3:お手入れのしやすさを確認
加湿器は毎日“給水”をする必要があって、さらに清潔さの維持、定期的なフルメンテナンスが必須の家電。購入する際は性能面だけを見ずに、使い勝手や付属部品のお手入れについても、十分確認するようにしましょう。
以下に紹介するチェック項目は、どれも細かいことばかりですが、日々の使い勝手に大きく影響するところ。自分の性格を踏まえ、手入れができるか厳しい目でチェックをしましょう。
チェック1:本体のサイズと重さは?
置くスペースや持ち運びも考慮に入れましょう。使わない季節は収納場所も必要となることも忘れずに。
チェック2:タンクの着脱はしやすいか?
タンクへの給水は毎日行うものなので、取り外しのしやすさは重要。店頭で実際に着脱アクションを試してみることをおすすめします。
チェック3:給水はしやすいか?
タンクが縦長タイプだと、洗面所などで蛇口の下に入りにくいことも。どこで給水するかも考えながら、タンク形状の確認をしましょう。
チェック4:タンクは持ち運びやすいか?
2Lなら2kg、4Lなら4kgと、水を入れた状態のタンクは非常に重いです。寝室など水道が近くにない場合タンクを持って移動するので、持ち手つきのタンクが便利。持ち運ぶときに水が垂れにくいかも気にするとなおよしです。
チェック5:タンクの中が洗えるか?
給水口が小さいと、タンクの中をごしごし洗うことができません。そのような場合は、ぬめりがつかないような処理がされているかを確認しましょう。より衛生的に保ちたいなら、タンクの中に手が入って洗えるタイプを選ぶのがおすすめ。
チェック6:タンクの残水量は確認しやすいか?
残水量がわかりにくいのは意外とストレス。外側から水の減り具合が見える、給水サインが出るなど、残水量を示す仕組みはいろいろあります。自分にとって便利なタイプを見つけましょう。
チェック7:フィルターのお手入れ方法は?
加湿方式によって方法は異なるものの、加湿器はフィルターのお手入れが必須。交換の有無・期間・着脱のしやすさなど確認をしましょう。近年は交換不要のフィルターも増えていますが、あくまで交換不要で手入れは必要。フィルターの素材もいろいろなタイプが出でいて、洗いやすさも異なります。店頭で実物の確認をするようにしましょう。
チェック8:そのほかのチェックポイント
蒸発皿や吹きだし口などのパーツも定期的なお手入れは必要。細かい部分も「メンテナンスのしやすさ」を意識して、しっかりチェックするようにしましょう。
ポイント4:「+α」の機能もチェック
空気清浄機、イオン発生、アロマ、ライトなど「+α」の機能を搭載した加湿機能も少なくありません。
■空気清浄機合体タイプ:「加湿空気清浄機」として大手メーカーも取り扱っている。1台で加湿も空気清浄もできるので人気が高い。
■イオン発生:シャープの「プラズマクラスター」や、パナソニックの「ナノイー」など、イオン発生機能が搭載されたもので、除菌・脱臭効果が期待できる。
■アロマ:放出される蒸気に好みの香りを載せることができる。
■ライト:加湿の水がライトで照らされ、癒し効果があるものなどが増えている。
方式別におすすめ「加湿器」を紹介
最後に、先に紹介した方式別に、代表的な製品をご紹介(2020年2月時点)。なおパーソナルタイプは、雑貨の類になり製品が無限にあるので今回は対象外としています。
スチームファン式
スチームファン式の加湿器からは象印、三菱重工の製品をご紹介します。
加湿器スチーム式 EE-RP50/RP35(象印)
ほぼ電気ポットと同様の仕組みと形で、操作のしやすさが人気。お湯を沸かすので清潔さも担保されやすいです。蒸気が目に見えて加湿パワーもあるので、短時間ですぐに加湿したいというニーズ向き。
roomist スチームファン蒸発式加湿器SHE60SD(三菱重工)
スチーム式で電気代控えめな、独自のスチームファン蒸発式。ヒーターに蒸発布をかぶせ、その蒸発布が吸い上げた水を加熱し蒸気を発生させるというもの。タンクの水をすべて加熱しないので、比較的電気代を抑えられて、安全性も高いです。清潔性とコスト、安全性を兼ね備えている点が魅力。ただし、蒸発布に水のミネラルが乾燥してこびりつくので、手入れはそれなりに必要です。
気化式(気化式ハイブリッド)
気化式の加湿器からはパナソニックの製品を、気化式ハイブリッドからはダイニチ、シャープの製品をご紹介します。
加湿機 気化式FE-KFS05-W(パナソニック)
ヒーターレス気化加湿機で、省エネを考えた構造によって低消費電力を実現。フィルターに使用している独自の「フュージョン素材」は食器洗いのスポンジのような素材で、水を吸い上げやすく気化式でも加湿の立ち上がりの早さをカバーしています。もみ洗いができて、カビが生えにくく、1日8時間の使用なら月1回押し洗いすればOK、さらに約10年間使える……とメンテナンス性能の高さも魅力。給水トレイは定期的にお手入れが必要ですが、凹凸が少なく拭きやすい設計。赤ちゃんがいるご家庭など24時間つけっぱなしにしたい場合におすすめです。
加湿器ハイブリッド式「LX SERIES」LX1219(ダイニチ)
ダイニチは2018年まで加湿器シェア4年連続ナンバーワンというヒットメーカーで、本製品は立ち上がりと省エネを両立させているハイブリッド式。家庭用としては大きな、木造16~20畳向けです。フィルターは定期的な手入れが必要ですが、給水トレイに使い捨てカバー搭載という、業界初の新発想に注目。ワンシーズンごとに使い捨てるので、清潔さを維持しやすいのが最大の特徴です。交換用トレイカバーは3枚セットで1,500円。給水トレイ「カンタン取替えトレイカバー」は大容量タイプのみ。
プラズマクラスター ハイブリッド式 加湿機HV-H75(シャープ)
ハイブリッド式で電気代も抑えめ。給水方法に工夫があるモデルで、「どっちも給水」は、従来通りのタンクからの給水と、タンクを抜かずに本体の上から水を直接注ぐことができる2ウェイ。また、分解して内部まで拭ける設計なので、きれい好きな人におすすめです。シャープ独自の「プラズマクラスターイオン」で、お部屋の空気をきれいにできるのもポイント。
超音波式(超音波式ハイブリッド)
超音波の加湿器からはアピックスの製品を、超音波式ハイブリッドからはアイリスオーヤマの製品をご紹介します。
SHIZUKU touch 超音波式アロマ加湿器 AHD-019(アピックス)
超音波式の代表格としてよく目にするモデル。手頃な価格でLEDライト、アロマがついており、形もおしゃれで若い人に人気です。すぐにミストが発生して目に見えるので、短時間使いたいという人にもおすすめ。タンクの水の衛生維持のため、水槽内の雑菌繁殖を防ぐ抗菌カートリッジつき(抗菌カートリッジの寿命目安は約6カ月)。
RCK-5519 サーキュレーター加湿器<ブラック/ホワイト>(アイリスオーヤマ)
ヒーター搭載で加熱した水で加湿するから清潔を維持しやすく、さらに「銀ビーズ」でタンクの水を清潔に保ちます。また、加湿器にサーキュレーターを合体させ、素早く部屋の隅々まで加湿できるのも特徴。超音波のミストは粒子が大きく(だから目に見える)重いため加湿器の周辺にとどまりがちですが、サーキュレーターがあることで、重いミストが部屋中に拡散されやすいのもメリット。部屋の湿度がわかるデジタル表示やイオン発生機能、操作パネルの明かりを抑えるおやすみボタン、切タイマー・静音モードと……多彩な機能も魅力です。
◆監修・執筆/戸井田 園子
性能・コスト・デザインなどを総合的に判断し、製品選びに役立つ情報を発信する家電コーディネーター。総合情報サイトAll Aboutの家電ガイドを始め、雑誌、テレビ、ラジオなど数多くのメディアで活躍中。