家でおもちゃ箱を掃除する小さな女の子。

親子で一緒に考え、身につける 「片づけ」の習慣

2022/01/16

そろそろ自分のものは自分で片づけてほしいけれど、散らかすばかり…。小学校に入ると教科書など教材も増えていくので心配ですね。片づけのプロフェッショナル・鈴木尚子さんは「年少さんのころは片づけ上手になるチャンス」と言います。その理由とお子さんが片づける習慣を身につけるコツをうかがいました。

<監修者>鈴木尚子先生(すずきなおこ)
2児の母。出産後、苦手だった片づけを克服したのち、ライフオーガナイザー®️となる。
片づけの力はその後の生き方の役に立つということを信念とし、家族が何よりの応援者になってくれる世界をつくるべく、多くの女性のライフスタイルを支援している。「片づけられる子ども部屋 ママと子どもの心地いい収納」(KADOKAWA)ほか著書多数。

おうちの生活でも身につけたい 「自分で片づける」習慣

小学校に入ると学校生活全般で「自分でやる」ことが求められます。その力は、年少さんのころから「自分で片づける」ことを習慣化することでも育てることができます。

「片づける」にはふたつの意味がある

「片づける」には、ふたつの意味があります。ひとつは「使ったものを元の場所に戻す」こと。これは次に使うときに探しやすく、すぐに取り出せるようにするためです。もうひとつは、新たに増えて戻す場所が決まっていない「ものの場所を決める」ことです。ものはお子さんの成長とともに増えます。将来は自分で整理し管理するうえで「自分で片づける」習慣を今から身につけることは大切です。

園の生活では片づけの習慣を経験

園の生活では、年少さんも片づけを経験し、できている子も多くいます。それは園では、ものの量と収納する場所のバランスがとれていて、使い終わったらそこに片づけるというルールが決まっているからです。「片づけやすい量」「戻す場所が決まっている」環境であれば、年少さんにも片づけのためにすることがわかります。それがなぜ家ではできないのでしょうか?

家の中でお子さんのものは、成長とともに種類も量も増えていきます。「子ども部屋」「収納家具」「おもちゃボックス」と片づけ場所を一度決めても、ものの量と収納量のバランスはやがて崩れます。すると、お子さんには、戻す場所のわからないものが増え、だいたいの場所に置いたり、使った場所にそのままにしたりして、「散らかったまま」になるのです。「片づけられない」は、この時期の「当たり前」とも言えるでしょう。

お子さんの成長に合わせ「自分で片づける」力を伸ばす必要があります

これまで:おうちのかたが片づける

赤ちゃんのころは、おうちのかたが室内の安全性を考えて周囲を片づけ、使ったものの管理をしていたと思います。

今から:お子さんが自分で片づける

今は、おうちのかたも手伝うことで、お子さんが自分で片づけを少しできるころです。しかし、「言われればやる」だけでは受け身の動作で、「自分で片づける」は身につきません。お子さん自身で「何をどこに」を考えて、ものを片づけることが大切です。

小学校以降:自分で管理する能力を伸ばす

小学校に入ると自分で管理しなければならないものが、学校でも家でも増えます。その数は年々増加するので、少しずつ自分で管理する能力を伸ばしていくことが求められます。

「片づけなさい」は便利な言葉?

厳しい母親はいたずらな小さな娘を怒らせ、指を指差す
fizkes/gettyimages

「片づけなさい」という言葉には、「しまい方も自分で考えて」というおうちのかたの期待も含まれています。しかし、量と場所のバランス、具体的な片づけ方は、お子さん自身ではまだ決められません。お子さんと一緒に「じゃあ、どうしようか」と、おうちのかたがサポートしながら片づけの仕方を学んでいけるようにしましょう。

「片づけられる」を習慣にするおうちのかたの3つのサポート

「散らかっている」に対し、「では、どうしようか」からのスタート。
お子さんが生活の中で「片づけ」を習慣にできる、おうちのかたの役割とサポートのコツをご紹介します。

ひとつ目のサポート:場所の「枠」を決める

年少さんのころは、ひとつずつ「これはどこだっけ?」と考えるより、種類で「仲間分け」して「おもちゃはあそこ」などとパッとイメージできると、素早く片づけられるようになります。まずはどこにどんなものをしまうのか、大枠を決めていきましょう。枠(しまえる量)と仲間(しまいたいもの)が決まると、片づけやすい「適量」がわかります。

ふたつ目のサポート:一緒に選ぶ

年少さんのころのおもちゃの中には、赤ちゃんのころのおもちゃも混在し、使用頻度の低いものも含まれていることも多いのです。使用頻度の高いものを選び、枠に対して余裕をもたせて収めるなど、お子さんにも片づけやすい適量に調整しましょう。

しかし、「どれが必要?」と聞くとお子さんは「全部!」と答えることでしょう。「これはもう使っていないかな」「これは同じようなもので新しいのもあるね」など優先順位の低いものを説明しながら、「これは別の場所で預かるね」と外していくといいでしょう。

3つ目のサポート:定期的な見直しをする

ものは日々増え、お子さんの関心も変わります。必要なものの見直しは定期的に行い、片づけのルール変更の経験をたくさんさせましょう。 季節の変わり目や年末など、日を決めておうちのかたと一緒にやるといいですね。毎年続けることで、やがてひとりで整理や管理をすることができるようになります。

片づけられる環境をつくるのはおうちのかたの役割です

家でおもちゃ箱を掃除する小さな女の子。
Evgeniia Siiankovskaia/gettyimages

小学校入学前の片づけは、「使ったものを決めた場所に戻す」ができれば満点です。その環境は、しばらくの間はおうちのかたがつくる必要があります。ポイントは2つ。

観察する

「散らかる」「片づけられない」は、お子さんの成長に伴い、生活の仕方に変化が生まれてきたことが原因です。「最近、これは使っていないね。とっておくけれど奥にしまおうか」など、お子さんと相談しながら、ものの使用頻度や優先順位を意識できるようにしましょう。

思い出の品はおうちのかたが管理する

赤ちゃんのころからのお気に入りのおもちゃ、園での制作物など、「思い出の品」はおうちのかたが管理します。お子さんの片づけの場所とは別に箱をひとつ用意し、大切な「思い出」を選んで残します。

お子さんの「片づけ」をサポートするコツ

便利な方法を決める

大枠の片づけ場所が決まったら、個々のしまい方はお子さんが決めます。細かく整理したほうが片づけやすい、大ざっぱにすぐ片づくほうが満足するなど、お子さんごとの「便利さ」に合った方法を相談して決めます。

選んで残すを促す

「自分のもの」という意識も強くなるので、全部が大切です。ものが増えて収納とのバランスが崩れたら、「仲間分け」をするときに「この中で一番大切なのは?」と優先順位を考え、選んで残すことを促しましょう。

スタートを知らせる

お子さんは「何かをし終えた」と「次の何かを始める」が連続した行動になりがちです。「次の何か」をする前に、今使ったものを元に戻す「片づけのスタート」を教えてあげましょう。

「片づける」が身につくルールとアイディア

年少さんでも片づけやすい環境は、視覚的なルールづくりにポイントがあります。ゆとりのあるルールがお子さんもおうちのかたも楽しく片づけられるコツです。

親子が向き合える今の時期、片づけをサポートしながら、「あれ?いつの間にかこれは使わなくなったのか」「この本に今夢中なんだな」とお子さんの変化に気づくことは、成長の再確認にもなります。「一緒に片づけ」は、おうちのかたにとっても、思い出をきざみ込む経験となるでしょう。

枠:「ここに片づける」の枠を決める

小さな物で満たされた数字を持つ多色のボックス
Madhourse/gettyimages

大人でもつい床の隅にものを積み上げたり、壁ぎわに寄せたりして片づけを済ませてしまうことがあります。「使ったものを片づけて」と言われたお子さんがこれをまねてしまうと片づけが身につきません。片づける場所を棚や箱などのわかりやすい「枠」として決めて、そこに必ず戻すことを最初のルールにします。

棚:「見える化」で片づけやすくする

おうちのかたには「見えないほうがスッキリしていて、片づいている」と思うものの管理も、お子さんには、見えているほうが便利なうえ、楽しいことも。本やおもちゃなど、使用頻度の高いものは、「見える」状態で収納できるようにすると管理能力も伸びます。

壁:「選ぶ」ことで十分な余白もつくる

園での作品や思い出の写真などで、壁一面がお子さんのもので埋め尽くされていませんか? 余白を残すために「選ぶ」ことも管理能力を育む練習になります。掲示スペースをマスキングテープの枠取りやボードなどで決め、そこに何を飾るかを月に一度、親子で相談しながら「選ぶ」ことを楽しみましょう。

参照:こどもちゃれんじ

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND