心理の専門家&先輩ママ・パパに聞く!子どものかんしゃく対策
2021/12/22
「キーッ」とかんしゃくを起こしたり、ぐずぐず泣いたり…。今までにない子どもの様子に、とまどうことはありませんか?実はこの時期は、かんしゃく・ぐずぐずが増えるものです。その理由から対策までを、専門の先生にうかがいました。
<お話をうかがった先生>
吉川はる奈先生
埼玉大学教育学部教授。臨床心理士。専門は保育学、発達臨床心理学。共著に『子育て支援の心理学』(有斐閣)など。2人の男子の母。
※取材時の情報です。
かんしゃくちゃんになった場合
「○○したい!」という気持ちをうまく言葉にできず、かんしゃくで自分の気持ちを表現してしまう……いざ起こしたときは、どう対処すればいいのでしょうか。よくある例を追いながら、吉川先生にアドバイスしていただきました。
【ケースその1】かんしゃくの理由がわからない→気持ちの切り替えを手伝って
子ども:(何だか落ち着かないよー。だっこしてもらおっと)
お母さん:はいはいだっこね。
子ども:(やっぱりだっこじゃいやだーおろしてー!!)
お母さん:あらだっこじゃないの?
お母さん:じゃあ ねんねするの?
子ども:(違う!違う!だっこー!!)
お母さん:どうしてほしいのかさっぱりわからないわ。
子どもの気持ち
まだまだ自分で自分の気持ちがはっきりわからないこともある時期。一度かんしゃくを起こすと、おうちのかたにだっこしてもらうなどしても、なかなか収まりがつかないことも少なくありません。
対処法
なかなかかんしゃくが収まらないときは、子どもの気持ちの切り替えを手伝うのがおすすめです。例えば外に連れ出すなどして環境を変えると、気分転換しやすくなるでしょう。
【ケースその2】叱ったわけではないのに爆発?→気持ちが静まるのを見守る
お父さん:はい鈴木です。あっ田中さんこんにちは。
子ども:(あれほしい!)
お父さん:はいはいそうですか…。
子ども:(ねえあれ取って!)
お父さん:待っててね。今大事な話をしているんだよ。はいわかりました。
子ども:(叱られたー!!)
子どもの気持ち
やりたいことができなくて機嫌が悪くなっているところに、「待って」と言われて、さらに機嫌が悪くなったのでしょう。
対処法
まだ自分の感情をコントロールするのが難しい時期です。こんなときは、言葉で注意するとさらにかんしゃくが激しくなる場合もあるので、気持ちが静まるのを見守りましょう。だっこするのもいいですよ。
お父さん:(だんだん落ち着いてきたね)
かんしゃくちゃんわが家の対処法
【いけない理由を言葉で伝えています】
かんしゃくを起こしておもちゃを投げたときに、「投げて壊れたら、捨てなきゃいけないよ。それでもいいならどうぞ」と、いけないということを繰り返し伝えたら投げなくなりました。
(神奈川県 せっちょん)
【おもちゃや絵本で気分をチェンジ!】
食事中にかんしゃくを起こして、食器や食べ物を投げようとしたときは、食事を中断。おもちゃや絵本で気分を変えたり、膝の上に乗せて一緒に食べたりすると機嫌が直ります。
(滋賀県 maipod)
【「ダメ」は使わずまずは共感しています】
「ダメ」は使わず、「これがほしいのね」などと、まずは行動を肯定する言葉がけをしています。すると受け入れてもらっていると感じるようで、落ち着くことが多いですよ。
(福岡県 autumn)
※ウィメンズパークアンケートより
かんしゃくちゃん対策のまとめ
【理由を探すより気持ちの切り替えを】
かんしゃくには理由やきっかけがあるものですが、それがわかったところで、かんしゃくが収まるとは限りません。子ども本人も、かんしゃくを起こしているうちに理由を忘れてしまい、収まりがつかなくなってしまうこともあります。そのため、無理に理由を探したり、感情を静めたりしようとしないことが、かんしゃく時の対処のコツ。それよりも、気持ちを切り替える手伝いをする方がおすすめです。
例えば外に連れ出したり、好きなおもちゃを差し出したりなど、気持ちを別のものに向けるのもひとつの手。徐々にお子さんにとっての"気持ちの切り替えのポイント"のようなものがわかってくることもありますので、まずはいろいろと試してみてください。
【「ダメ」だけではなく別の遊びの提案もして】
一方で注意したいのは、「ダメ」と禁止するだけで終わりにしないことです。子どもは、目の前のことが全て。自分では「これがダメならあっちで遊ぼう」というような切り替えはできませんので、「ダメ」だけでなく、「こっちのおもちゃで遊ぼうか」などと、別のことを提案するといいでしょう。
なお、おうちのかたの中には、かんしゃくを恐れるあまり、つい「ダメ」と言うのをためらってしまうかたもいるかもしれませんが、「いいこと」「悪いこと」をはっきりと伝えるのは大事なことです。今はわからなくても、徐々に理解できるようになっていくはずです。
参照:〈こどもちゃれんじ〉