行動だけで判断しないで! 年中さんの思いやりの育て方
2022/02/22
年中さんは、幼児期で最もストレスを感じやすい時期と言われています。それはいったいどうしてなのか、そしてストレスサインからおうちのかたの関わり方をご紹介します。
<お話をうかがった先生>
帆足暁子(ほあしあきこ)先生
一般社団法人親と子どもの臨床支援センター代表理事。公認心理師。臨床心理士。保育士資格・幼稚園教諭の免許をもつ。「0・1・2歳児 愛着関係をはぐくむ保育」(学研)、共著に『育てにくさをもつ子どもたちのホームケア』(診断と治療社)。
お子さんの「気持ち」に寄り添うことが大切!シーン別おすすめ対応例
【自分の思い通りにしようとする場合】
こういう場合は、まずぶつかり合いを見守りましょう。例えば友だちのおもちゃを取ったら、「返しなさい」と言いたくなりますね。子どもは返すかもしれませんが、それでは相手の気持ちに出合えません。気持ちをぶつけ合うことで、相手にも気持ちがあると気づく体験が必要です。
おもちゃを取ったら、相手が泣いてしまった。自分はほしいものを手にしてうれしいはずなのに、相手の悲しい顔を見ていると、うれしくない…など、人がいやがることをすると自分もいやな気持ちになると感じることが大切。相手の気持ちに気づくことで初めて、おもちゃを返そうか悩む。この体験が、思いやりへつながっていくのです。
【友だちが困っていても黙ってみている場合】
こういう場合は、子どものペースを尊重して見守りましょう。思いやりの気持ちが育っていれば、行動はあとからついてきます。でも行動できないとしたら、何か理由があるはず。恥ずかしがりやなのかもしれません。もしくは、いつも行動を評価されていて、「叱られるかな?ほめられるかな?」と不安で、行動に移せないのかも。
大切なことは、お子さんを信頼し、育つペースを認めること。のんびりやさんを「早くして」とせかすのは、否定しているようなものです。「あなたはそのうちできる」と認められると、お子さんは自信がもて、行動も伴ってきますよ。
【人に「バカ」「嫌い」と言う場合】
こういう場合は、まず理由を聞いてみましょう。行動を「よい」「悪い」で評価すると、ほめたり叱ったりしてしまいがち。悪い行いをしたとき、正論をもとに「よくない」と評価しても、子どもは素直に聞けません。「どうして『バカ』って言ったの?」と、気持ちに焦点を合わせて理由を尋ね、お子さんが自分の気持ちと向き合える手助けをしていきましょう。反対に「えらいね」と行動だけをほめ続けると、ほめられるから行動するというニセモノの思いやりが育ちます。「○○くん、喜んでたね」などと、気持ちに焦点を合わせて対応しましょう。
今、心配になる行動も、 思いやりが育つためには必要な体験
友だちが困っていても知らん顔したり、人が傷つく言葉を言ったり、年中さんは、思いやりと正反対の行動をとることも多く見られます。でも、自己主張して相手とぶつかる中で、お子さんは、相手の気持ちや、自分がどう行動すればいいのかに気づいていきます。お子さんを行動だけで評価するのではなく、気持ちに寄り添った対応を心がけてくださいね。思いやりは少しずつ育っていくもの。今はその準備段階と思って、お子さんを見守っていきましょう。
※取材時の情報です。
参照:〈こどもちゃれんじ〉