行動経済学を利用するとお金遣いが上手になる!小遣いを増やしたいと思ったときはどう行動する?

2025/03/15

先入観や経験、直感などに頼って理にかなわないお金の使い方をしてしまう……そんな習性が人間にはあるんです。お金に関する心理を「行動経済学」で知り、今も将来も幸せに暮らせるお金の使い方を身につけましょう!

経営学者。ビジネス知識を体系的に学べるオンラインスクールを主宰。『60分でわかる! 行動経済学超入門』(技術...

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60分でわかる! 行動経済学 超入門

行動経済学とは心と行動がお金遣いにどう影響するかを探る学問。理由がわかれば、 行動を変えられます!

「欲しい服があるけど高いから」とケチって安い服を買い、結局着なくて後悔したり、妻小遣いはなしで頑張るつもりが生活費を無駄遣いしたり。「人はときに不合理な行動をするもの。そのせいで自分にとって有意義なお金の使い方ができないことがあります」と中川さん。「だけど、お金を使うのは幸せになるためです。行動経済学は、人間のお金にまつわる不合理な行動を心理学を使って解き明かす学問。今はお金を上手に使えない人も、行動経済学でその理由を理解すれば行動が変わります。そして、自分を本当に幸せにするお金の使い方ができるようになりますよ!」。

お金使いが下手な人の心のクセ行動経済学で解決できます!

日常生活でついやりがちなマズいお金の使い方をピックアップ。その心理と対策を行動経済学に詳しい中川さんに聞きました!


●キャンプをしてみたい!
でも、グッズを買いそろえたり調べたり、面倒そう……。いつもの公園でいいや。

それは新しいことよりルーティンを選びがち【現状維持バイアス】といいます。

人には現状を変えたり新しいことを始めるのに抵抗を覚える心理があります。だからやりたいことがあっても、手間や費用を考えると面倒になって「ま、いっか」となりがち。初めの一歩を手軽に踏み出すと気持ちが変わるかも。


【こう解決】
300円のキャンプグッズを家で使うなどすぐできそうなことから始めてみよう。


●パンケーキそこまで興味ない
けど、いつも行列の店だから行ってみよう

それは“みんなが評価しているか”を基準にしがち【バンドワゴン効果】です。

人気店を良いお店と思い込んだり、大勢が欲しがる物を「私も欲しい!」と錯覚する習性をバンドワゴン効果といいます。「みんなが買っているから」と流行や話題につられてお金を使っていると、本当の満足はなかなか得られません。


【こう解決】
「みんなも行列にひかれているのかも」と疑って商品の魅力で比較しよう。


●この服少し派手だけど着てみたい!
でも、ママ友やご近所さんからどう思われるかな……やめとこ。

それは周囲からの目線を気にし過ぎる【スポットライト効果】と言います。

「周りが自分の言動を見ている」という先入観が強い人は、他人にどう思われるかが気になって“他人軸”で消費行動をしがち。でも人は他人のことをそれほど気にしていないのが現実。自分の気持ちに正直になってお金を使おう!


【こう解決】
「他の人も、自分のことで忙しい」と考えて自分軸で選択しよう。


●小遣いを増やしたい
けど、夫より年収低いし、やりくり頑張るって宣言しちゃったし増やせない。

それは「自分はこうあるべき」に縛られがち【一貫性の法則】です。

人には過去に決めたことや習慣、他人に宣言したことに矛盾する行動を取ることに違和感を覚えるクセが。でも小遣いを適度に増やしても問題はないはず。人間は本来気まぐれな生き物なので、自分で自分を縛る必要はないですよ。


【こう解決】
自分で作り上げた“あるべき像”は自分で解き放とう!


●ボーナス入った!
せっかくだし、あれ買ってこれ買ってるんるん♪あれ!?なくなっちゃった!

それは費目分けされていないお金は気軽に使いがち【メンタルアカウンティング】と言います。

日本語で「心の会計」。人は心の中で「食費4万円」などお金を使う目的と予算を決めており、反対に目的が決まっていないお金は浪費しやすい傾向が。ボーナスや臨時収入をつまらないことに使ってしまいがちなのはそのため。


【こう解決】
臨時収入も、自分にとって満足度の高い使い道を考えて使おう。

お金遣いが下手なのは日本人の特徴だった!

お金の使い方には日本人特有の遺伝子型や人間の脳が持つ考え方のクセが大きく影響するそう。性格や意志の問題だけではなかったんです!


1 日本人は、遺伝子レベルでネガティブに考えがちだから
日本人は不安を感じやすい遺伝子を持つ人の割合が約8割と世界最高レベル。地震や台風、火山噴火など自然災害が多い土地で生き延びてきたことが影響していると考えられています。

2 慎重さは美徳だけど、リスク回避力が強過ぎるから
日本人は得するより損失を避けようとする傾向が強く、元本割れしない預貯金を好みがち。大きく殖やすチャンスがあってもお金が減る可能性もある投資をやる人が少ないのもそのせい。

3 日本人じゃなくとも人は、イメージできないことを行動にうつせない生き物だから
「〇〇が欲しい!」「□□をしたい!」というイメージがなく、反対に「老後はお金がないと不安」というイメージが強いと、貯める・削るを優先して自分の心を満たすためにお金を使えません。


●ADVICES
「バケットリストの書き方」で、自分がやりたいことを書き出し、「NISAの出口戦略」で老後資金のことをイメージすればポジティブにお金を使えるようになる!



<教えてくれた人>
やさしいビジネススクール 中川功一さん
経営学者。ビジネス知識を体系的に学べるオンラインスクールを主宰。『60分でわかる! 行動経済学超入門』(技術評論社)。

参照:『サンキュ!』2025年3月号「人生を100倍豊かにする賢いお金の使い方」より。掲載している情報は2025年1月現在のものです。監修/中川功一 構成/出下真紀 取材・文/神坐陽子 編集/サンキュ!編集部

 
 

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