【医師が解説】ちょっとしたことで変わる!自律神経を整える朝昼夜のルーティン
2024/11/23
自分の意思でコントロールすることができない「自律神経」。ちょっとした環境の変化やストレスを受けるだけでも乱れてしまいます。しかし逆に言えば、ちょっとした心がけで整えることもできるんです!そこで、医師の小林弘幸さんに、自律神経を整える習慣を伺いました。
そもそも自律神経とは?寒暖差の大きい季節は乱れやすいので注意しよう!
自律神経には、血流をコントロールする役割があります。これは体温の調整にも欠かせない機能ですが、寒暖差が激しいとその調整に大きな負担がかかり、自律神経が乱れやすくなります。さらに季節の変わり目は日照時間も大きく変化するので、いつも通り過ごしているつもりでも生活リズムが崩れやすくなり、これも自律神経を乱す要因の一つ。この時期はいつも以上の対策が必要と心得て、日々の行動をよりよいものに変えていきましょう。
毎日新しい自分でスタートする
人間は後悔する生き物。つい過去のモヤモヤに引きずられがちですが、それではストレスが溜まるいっぽう。自律神経にもよくありません。振り返ることで解決できるならいいですが、そうでないならきっぱり断ち切ることも大切。毎朝「今日も新しい1日が始まった」とワクワクした気持ちでスタートすると、不思議と何事も前向きに取り組めます。
駅までの道のりを早足で歩く
コロナ禍以降、日々の運動量が少なくなっているせいか、本来朝に高まるべき交感神経が、高まりにくい人が増えているようです。そのままの状態で1日を過ごすと、生活リズムが崩れ、自律神経もますます乱れて悪循環に。まずは朝の通勤時に早足で歩いて交感神経のスイッチをオン!背筋を伸ばしテンポよく歩けば、酸素や栄養も全身に行き渡ります。
通勤中はひとつのテーマについて考える
満員電車などに乗っていると、肉体的な負担が相まって些細なことにイライラ……という経験はありませんか?ストレスは自律神経の大敵!そんなときは意識を「ひとつのテーマ」に向けてみましょう。もちろん、テーマはなんでもOK。自然と意識が思考に向かうので、周りのことが気にならなくなりますよ。頭のなかもクリアになって、一石二鳥ですね。
気になったら行動してみる
やりたいこと、気になることがあっても、「〇〇が終わったら」「〇〇ができたら」と条件をつけて、ついつい後回し……。よくある話だと思いますが、それってもったいない!例えば、「今日会社帰りにジムに行こう!」など、気になること(=ワクワクすること)があるなら、行動に移しましょう。ワクワクは、自律神経にもいい影響を与えます。
温度調整できる羽織るものを持ち歩く
「寒い」「暑い」など、気温によって感じるストレスは、些細なようで意外と自律神経を大きく乱します。快適に心地よく過ごせるよう、温度調整できる上着やストールなどを用意しておきましょう。また、窮屈な服や靴などもストレスになるので、普段からシーンに合った過ごしやすい服装を心がけて。
39~40℃の湯船に15分つかる
入浴をシャワーで済ますと、夜に高まるべき副交感神経の働きを低下させ、睡眠の質が悪くなるって知っていましたか?逆に、湯船にきちんとつかれば睡眠の質がよくなります。ただし熱すぎる温度は逆効果。睡眠の質うんぬん以前に、病気を引き起こすこともあるんです。おすすめは39~40℃に15分。初めの5分は首まで、後の10分はみぞおちまでつかりましょう。
「腸のゴールデンタイム」に向けて、腸にいい食事をとる
自律神経は腸内環境とも密接に関わっていて、腸の働きがよくなると自律神経も整います。そこで注目したいのが「腸のゴールデンタイム」。これは夜10 時から深夜2時までの間を指し、腸が栄養を吸収する働きが活発になります。夕飯時(夜8時ごろまで)に発酵食品や食物繊維など腸にいい食材を取り入れておくと、摂取した栄養が効果的に吸収されますよ。
●腸にいい、おすすめ食材
【発酵食品】
発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌には腸内環境を整える働きがあります。とくにビフィズス菌は40代を境に減少するので、積極的にとりましょう。
【食物繊維】
食物繊維は善玉菌のエサになることで、腸内環境を健やかに保ちます。なかでも現代人は水溶性食物繊維が不足しがち。きのこや海藻などのネバネバ食材に注目して。
<教えてくれた人>
医師 小林弘幸さん
順天堂大学医学部教授。自律神経研究の第一人者として、メディア出演多数。著書に『腸の名医が30年かけてたどり着いたお腹が弱い人のための30秒腸活』(アスコム)。
参照:『サンキュ!』2024年12月号「自律神経を整える朝昼夜のルーティン」より。掲載している情報は2024年10月現在のものです。監修/小林弘幸 編集/海老澤まりこ(風讃社) 取材・文/児玉知子 編集/サンキュ!編集部