あなたの気持ちやお悩みにこの本、処方します!

2025/03/08

癒やしも、トキメキも、生きていく知恵も‥‥‥特別な経験やお金を積まなくても、ぜーんぶ本から得られるのかも。『サンキュ!』本誌でおなじみの読書のプロ・書店員Yが、今必要な1冊をセレクト!!

書店の案内カウンターで働く1男1女の母。23年に惜しまれつつ終了した本誌連載は『書店員は見た!本屋さんで起こ...

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書店員は見た!

今日も書店では素敵なドラマと本との出合いが生まれています!

今年も、私が働いているモールでは、催事場がチョコレート色に染まり、書店近くのカフェでも甘い香りが漂います。そう、季節はもうすぐバレンタイン。もちろん、書店でもお菓子のレシピコーナーが増設されて、チョコは渡す、ではなく食べる専門の私でさえも何だかウキウキしてしまうのです。
その日もお菓子の本のコーナーでは、女子3人組が本を開いていました。簡単で映えるのはどれか、盛り上がりつつ、でも真剣に悩んでいる様子はかわいらしく、つい目がいってしまいました。と、あれ?そのうちのひとりに見覚えがあります。数年前、やっぱりバレンタインの季節にレシピ本を買いにいらっしゃったご家族の、上のお子さんではないかしら?よく似ているように見えるものの、最近のわたくしときたら、若い女子がみんな似て見えるものでじゃな……(老化)、「うん、分からん」と呟き、作業に戻ろうとブックトラックに手をやると女子たちが「じゃあ店員さんに聞いてみようよ」と話しているのが聞こえてきたので、「何かお探しですか?」と声をかけると、見覚えのある女の子が「私、前にも本を探してもらったことがあります」。(同一人物で間違ってなかった!)
話を聞くと、お菓子と一緒に手作りの小物をプレゼントしたいそうで、そのための本がどこにあるかという問い合わせでした。以前は、彼氏に作るお菓子の本を探していたはず……。今回もそうなのでしょうか。本を選ぶべく「若い男性が使う小物ですか?」と聞くと、彼女は首を振って「両親と妹に」。「春から留学するんです。出発する前に家族にプレゼントをしたくて、でも恥ずかしいから、バレンタインのお菓子と一緒にさりげなく渡したいかなって」。
相談しながら本を選び、予算で悩んでいた彼女に、友人2人が「お菓子の本は、私たちからの友チョコ代わりにするよ!」と、割り勘して買ってくれました。「それで私たちにもお菓子作ってね!」。
かわいくて尊い3人組を見送り、ほっこりした気持ちになった私。お菓子も小物も、うまくできますように!

ふつうの材料だけで作るお店みたいなスイーツレシピ
megu'café(KADOKAWA)¥1,815

本に載ったいろんなお菓子を何度も作った私が言うんだから間違いない。この本はすごく良い!特別な技法も材料もいらないのにまさかカヌレを作れるとは!

小さなダーニング刺繍
ミムラトモミ(誠文堂新光社)¥1,540

ミムラさんのダーニングは乙女心に突き刺る。本書は"小さな"がポイント。ブローチなんてもだえるかわいさ!今回のお客さまはキーホルダーにアレンジするそう。

私の栄養になる本

【知らない世界を見たい】誰もが知る巨匠の仕事観に背筋が伸びる!
気鋭のクリエイターの著者(今はもう、すごい方ですよね!)が、巨匠たちに会いに行く!巨匠たちが何を大切にしているのか、積み上げてきたもの、仕事観……。絶対に損はさせないので、ぜひ読んでほしい!!

仕事。
川村元気(文春文庫)¥759

映画プロデューサー、作家として躍進を続ける川村元気が、12人の巨匠に学んだ、仕事で人生を面白くする力!

【こんなふうに年を重ねたい】最愛の人を失っても人生は続くのだ
作家夫婦が向き合う、病と死。つづられたエピソードを「寂しい」のベールが覆っているようで、胸が苦しくなるのだけれど、ページを繰る手は止められない。こんなふうに相手を思える夫婦になれたら……。

月夜の森の梟
小池真理子(朝日文庫)¥770

大反響を呼んだ朝日新聞連載のエッセイ。かけがえのない人の病とどのように過ごしたのか。喪失エッセイの傑作。

【元気が欲しい】悩みがない人なんてどこにもいない
マッチョなオカマ・ゴンママが営むスナックに集う人々の笑って泣ける物語。悩みなく生きている人なんて、この世のどこにもいないんだから、私も精一杯生きなければ!と、読むたびに誓うのです。


大事なことほど小声でささやく
森沢明夫(幻冬舎文庫)¥781

映画化もされた話題作。スポーツジムとバーを舞台にした連作短編集。人情味あふれるエピソードが満載。

【背中を押してほしい】トットちゃんの生命力は大人になってもまぶしい
黒柳さんは、幼少期から私の憧れ。子どもの頃から、ずっと手放すことなくそばにある大切な一冊です。有名な、校長先生との対話のシーンは何度読んでも泣ける。どんなに時がたっても色あせない名作!


窓ぎわのトットちゃん新組版
黒柳徹子(講談社文庫)¥880

戦後最大のベストセラー。トットちゃんがユニークな教育のトモエ学園で、友達と伸び伸び成長していく物語。

【何度も読みたい】
その気持ち、分かる!大切な人と分かちあいたい
本当に大切な物は、はかれない物の中にあると思うのです。はかれない物をはかるユーモラスなイラストと、「分かるー。それ、はかってほしいわー」な内容にほっこり。疲れた夜のお供にも、ギフトにも。

はかれないものをはかる
工藤あゆみ(青幻舎)¥1,760

イタリア在住の作家が、「はかれないもの」を49の詩とユーモラスな絵で紡ぐ。日本語、イタリア語、英語の3カ国語併記。

<教えてくれた人>
書店員Yさん
書店の案内カウンターで働く1男1女の母。23年に惜しまれつつ終了した本誌連載は『書店員は見た!本屋さんで起こる小さなドラマ』(大和書房)として発売。

参照:『サンキュ!』2025年3月号「あなたの気持ちやお悩みにこの本、処方します!」より。掲載している情報は2025年1月現在のものです。漫画/加藤マユミ 監修・エッセイ/書店員Y 取材・文/杉澤美幸 編集/サンキュ!編集部

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