教えて!いいガマンにつながる先輩ファミリー&専門家のワザ
2022/02/28
日々起こる、いろいろな困り事…。具体的にどう対処したらいいのでしょうか。おうちのかたの対処法について、塩谷先生にアドバイスをいただきました。
<お話をうかがった先生>
塩谷香(しおやかおり)先生
國學院大學教授。児童学修士。専門は保育学。保育園長として保育の現場に長年携わってきた経験を生かし、子どもが進んで取り組みやすい生活習慣の身につけ方のアドバイスを行う。『0-5歳児生活習慣のスムーズ身につけガイド』(学研プラス)など、監修書多数。
【ケース1】買い物のとき、店内を走り回る
「鬼さんが来るよ」とおどすと、途端にやめます。[神奈川県/たーちゃんママ]
【NG!】おどすのではなく理由を伝えるなどのコミュニケーションを
「鬼さんが来るよ」は、効果は絶大かもしれませんが、恐怖心が残るだけで、何がよくて何が悪いのかを学べません。「広いから走りたくなっちゃうよね。でも、ここはお買い物をする所だから、走るのは公園でしようね」などと説明しましょう。
ただ、広くてわくわくするものがいっぱいあるスーパーマーケットで走り回りたくなるのは、2・3歳なら当たり前。それを止めるのはとても難しいので、短い時間で済ませたり、ネットスーパーを利用したりなど、子どもにガマンをさせずに済む対策を考えられるといいですね。
【ケース2】電車やバスなど、公共の場で騒ぐ
絵本より何よりラムネなどのお菓子が一番落ち着きます。[東京都/困ったちゃん]
【多少はOK】2・3歳なら多少のお菓子はいいでしょう
4・5歳になれば、事前に「電車はいろいろな人が乗っているから、騒ぐと迷惑になるんだよ」と話しておくのも効果がありますが、2・3歳ですと、話をしておいてもそれが今のことだと理解するのが難しいんですね。ビスケットなどこぼれるお菓子は避けて、ラムネなどを少しずつならいいでしょう。
ただし、食べたいだけあげるのではなく、「次の駅に着いたら1個ね」とか「次は何色がいい?」「どっちの手に入っているかな?」など、親子でおしゃべりを楽しみながら間をもたせられるといいですね。
【ケース3】お風呂に入るのをいやがる
「お風呂体操しよう」と誘ったらノリノリに![愛知県/みくパパ]
【OK】いやがる理由を聞いてから楽しく誘いかけを
「お風呂体操」というのはいいアイディアですね。子どもがお風呂や歯みがき、トイレなどをいやがるときは、子どもなりの理由があるので、まずは気持ちを受け止めて、理由を聞いてみてください。そのうえで、「そうか。一緒にお風呂体操したかったのになー」と言えば、より興味が向いて、誘いにのりやすくなります。
また、入りたくない理由が「おもちゃでまだ遊びたい」なら、「遊びたいんだね。じゃ、このままにしておくから、お風呂から出てまた遊ぼう」などと、気持ちに寄り添った受け答えをすることも大切です。
【ケース4】おやつをたくさん食べたがる
隠れて食べたりしているので、見つけたら怒って取り上げています。[大阪府/beni]
【NG!】怒るのではなく、きちんと言い聞かせましょう
怒って取り上げてしまうだけだと、子ども自身が納得できていないので、心が満たされず、隠れ食いにもつながりがちです。2・3歳の時期はおやつの量や時間を自分でコントロールするのは難しいので、おうちのかたが時間を決め、子どもが勝手に取り出せないような所に保管するなどの工夫をしましょう。
時間ではないのに「お菓子が食べたい」と言われたら、「お昼ごはんが食べられなくなるから、今はやめようね。お昼寝のあとに食べられるよ」など、見通しをつけた受け答えをしてみてください。
【ケース5】友だちとおもちゃの取り合いに…
ついついわが子に譲ってあげなさいと言ってしまいます。[福岡県/頑張るパパ]
【おしい!】子どもの気持ちを優先した受け答えができるといいですね
つい「ダメ! 貸してあげなさい」「◯◯ちゃんのだからガマンしなさい」と言ってしまう、おうちのかたの気持ちもわかります。でも、子どもにとっては納得がいかないので、決していいガマンにはつながりません。
大切なのは、気持ちを受け止めること。例えば「◯◯ちゃんも△△ちゃんも、ふたりともほしいね~。じゃあ、◯◯ちゃんが先だったから、先に遊んで、あとで貸してあげてね」と間に入るだけで、「はい」と渡す子もいれば、取り合いを忘れてしまう子も…。気持ちに寄り添うことで、「納得のいくガマン」につながります。
【ケース6】下の子のお世話中、何か要求してくる
ちょっと待ってと言っても何回も言ってくるので、怒ってしまいます。[青森県/さくママン]
【おしい!】どれくらい待てばいいか、見通しを伝えましょう
「ちょっと待っていてね」だと、いつまで待てばいいのかがわからないので、何回も言ってくることに…。なので、「オムツ替えが終わったら遊ぼうね。だから待っていてね」とか、「◯◯が済んだらやるからね」とか、具体的な見通しを伝えましょう。
さらに、オムツ替えや授乳で手が離せないということであれば、「オムツを持ってきてくれる?」「哺乳瓶を取ってきてくれる?」などと頼むのもいいですね。また、赤ちゃんが寝たら「もう赤ちゃん寝ちゃったから、抱っこする?」と甘えさせることでも、ずいぶん落ち着きますよ。
3歳を過ぎると聞き分けもよくなってくるので、日頃から言葉で伝えることを大切に!
いいガマンにつながる先輩ファミリーのワザ
◆冒険に行くイメージで歩くことが遊びに
いつもより長く歩くときは、「冒険に行くぞ!おー!」などと声をかけて、日常とは違う雰囲気を演出します。ただ歩くのではなく、目的を達成するために歩くというムードにすると、ちゃんと歩いてくれます。[東京都/カウカウ]
◆お菓子のガマンを減らすワザ
お菓子を袋のまま持っていくと、一度に全部食べたがるので、ガマンさせるのがとても大変です。1回分を少なくして小分けにしておくと、量は少なくても子どもは食べきったと満足するようです。[福岡県/けんたママ]
◆絵本持参で移動時間を楽しく
ビー玉を持っていって、片方の手に隠し「どーっちだ!」と当てる遊びをしたり、絵本を持参してお話を読んだり、シールを貼ったりして、移動時間に飽きないようにしています。[大阪府/りりこ]
※2015年度制作モニターアンケートより
先生からのメッセージ
いろいろな人とふれあう中で子どもは成長するもの。
2・3歳は、いろいろな人とふれあう中で、していいこと、してはいけないことなどを学んでいく時期です。同じことをしても注意されたりされなかったりする中で、「これは、みんなが悪いことだって言っているな」「絶対にこれはしてはいけないんだな」ということを理解していくのです。
ですから、「人に迷惑をかけないように、たくさんガマンさせなくては」「やりたいようにさせていたらわがままになってしまう」などと、おうちのかたが考えすぎない方がいいですよ。おじいちゃんやおばあちゃん、知らないおじさんなど、いろいろな大人に接して、叱られたりほめられたりする経験をする中で、子どもは成長していきます。
※取材時の情報です。
参照:〈こどもちゃれんじ〉