小学校生活の擬似体験を楽しみながら、お子さんの自信を育て、入学後に必要な力も伸ばせる遊びがあります。それが「1年生ごっこ」。入学への期待が膨らむこの時期にお子さんと一緒に楽しめる「1年生ごっこ」のやり方をご紹介します。
<お話をうかがった先生>
浅川陽子先生
(あさかわようこ)●江戸川大学こどもコミュニケーション学科特任教授。約30年間の幼稚園・小学校の教員歴がある。お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター講師を経て現職。著書に『ほんとうにあったお話(1年生から6年生)』(講談社)、『ことばの生まれ育つ教室』(金子書房)など。
「1年生ごっこ」で遊ぶ前に…小学校の1日と入学後に必要な力をチェック!
【入学後に必要な力】
●人前で話す力
ほとんどの小学校では、始業前に「朝学習」や「朝会」の時間を設けています。最近は、みんなの前でスピーチするなど、朝の時間帯をコミュニケーションの時間にあてる学校が増えています。
●困ったことを伝える力
小学校生活では、困っていることを先生や周囲に伝える力が必要です。「消しゴムを忘れました」などと言えることが、問題解決のための第一歩になります。
●予想・判断する力
トイレには休み時間のうちに行っておくなど、先を予想して「今のうち」に行動する力を備えたいもの。また、ケガをしたら自発的に保健室に行くなど、自ら判断する力も大切です。
●時間内に行動する力
例えば音楽の授業では、教科書や楽器など必要な道具をそろえて、休み時間のうちに音楽教室に移動するなど、小学校では限られた時間内に行動することが多くなります。
●先生の指示をよく聞く力
小学校では、「机を向かい合わせにして、ノートを開いて、○月△日と書きましょう」などと、先生が3つぐらいの指示を一度に出すことがあります。
●持ち物を整理・管理する力
小学校になると、「自分の持ち物」が一気に増えます。使ったものを元の場所に戻す、家で使うものやおうちのかたに渡すものは持ち帰るなど、持ち物を自分で管理できるようになりましょう。
●交通ルールを守る力
1年生は早く授業が終わるため、1年生だけで下校する場面が多くなります。交通ルールを守って、安全をしっかり確認しながら登下校する判断力を養いましょう。
小学校では、登校後の身じたくや片付けを10分程度でこなします。限られた時間内にやるべきことをやる力をつけておくと安心です。
また最近の授業では、グループ活動や意見交換の時間が増え、人前で話す機会が多くなっています。見たことや考えたことを伝える経験を積んでおくといいですよ。
忘れ物をしたときなどは、黙っていないで、先生や友だちに助けを求めることも大切。ご家庭でも、お子さんが自分の失敗を話したら、叱るだけでなく、きちんと言えたことを認めるようにするといいですね。
小学校生活で必要な力が自然に身につく「1年生ごっこ」にご家庭でトライ!
●「人前で話す力」「困ったことを伝える力」が育つ!
「生活科の発表ごっこ」
商店街で「季節の食べ物探し」、公園で「ケガをしやすい場所チェック」など、テーマを決めて調べ、家族の前で発表します。お店の人に質問するのも、いい経験になりますよ。
●「人前で話す力」が育つ!
「劇ごっこ」
お子さんの好きな絵本を題材に、登場人物になりきって劇遊びをしましょう。言葉での表現力を楽しくみがくことができ、学校での劇活動の予行練習にもなります。
●「先生の指示をよく聞く力」「時間内に行動する力」が育つ!
「体育の準備ごっこ」
「○時までに体育着に着替えて、服をたたんで、縄跳びの縄を持って外に出ましょう」などと指示を出します。いくつ指示通りにできるか、ゲーム感覚で挑戦して。
●「時間内に行動する力」が育つ!
「給食の時間ごっこ」
「給食の時間は○分までです」と伝えて、15分程度で食べてみましょう。また、給食では皮つきの果物が出ることがあるので、果物の皮を手でむく練習をしておくのもおすすめ。
●「持ち物を整理・管理する力」が育つ!
「お掃除の時間ごっこ」
本棚などの整理をお子さんに任せてみましょう。「本棚スッキリ大作戦を開始します」などと作戦名をつければ、思わずやる気に。「本は好きなように並べてね」と任せると、自分で判断する力を養えます。
●「予想・判断する力」「交通ルールを守る力」が育つ!
「通学ごっこ」
通学路をお子さんと一緒に歩いてみましょう。歩きながら「友だちと横に広がって歩くと危ないよ。なぜでしょう?」「この曲がり角では何に気をつけたらいいかな?」などと話して、お子さん自身に考えてもらうと、先を見通して危険から身を守る力が育ちますよ。
「1年生ごっこ」は、この時期の入学準備としておすすめです。ご家庭で学校ごっこを楽しむと、「小学校でも、同じようにやればいいんだ」と安心できるし、学校生活に近い体験を積むことで、入学後に必要な力も自然と身につきます。
1年生ごっこを楽しむコツは、教えようとしないこと。あくまでごっこ遊びだから、狙い通りの展開にならなくてもOK。おうちのかたも気楽に、一緒に遊びましょう。無理じいしたり、「そうじゃないよ」とダメ出ししたりせず、できたことをほめてお子さんの自信を育てましょう。
万全でなくても大丈夫!気楽に楽しく入学準備を
「園と小学校では、ずいぶん違うんだな」と、改めて心配になったかたもいるかもしれませんね。でも、適度な「段差」は、子どもの成長には欠かせないもの。ギャップにとまどいながらもがんばることで、子どもは伸びていくのです。準備を万全にしようと思わなくても大丈夫。今は手を出しすぎたり、「こうしたら」と先まわりして指図したりせず、お子さんが自分で考えて行動したことをほめて、勇気づけるようにしましょう。そして、入学後に段差を乗り越えて大きく成長するのを、楽しみにしましょうね。
※取材時の情報です。
参照:〈こどもちゃれんじ〉