【野田聖子さん】大臣が断捨離したのは、 「私の手柄」と「女だから、と120%頑張る志向」

2022/04/25

今月はやましたひでこ先生のご自宅から飛び出して、野田聖子大臣の大臣室、すなわち「聖子の部屋」で断捨離トーク!  野田大臣は50歳で母となり、現在は夫と11歳の長男の3人家族。仕事では内閣府特命担当大臣として女性の活躍や孤独・孤立対策、こども家庭庁の創設などに奔走しています。そんな野田大臣が母、そして政治家として捨てたもの・捨てられないものとは……。

のだせいこ
内閣府特命担当大臣、女性活躍担当大臣、こども政策担当大臣、孤独・孤立対策担当大臣。1960年、岐阜県生まれ。1987年、26歳で岐阜県議会議員に初当選し政界へ。衆議院議員をしながら10年間の不妊治療を経て50歳で母に。息子には生まれつきの障害があり、日常生活に支援を要する。「マイノリティとされる人々の気持ちも当事者として理解できる政治家」として、日本初の女性内閣総理大臣を目指す

やましたひでこ
断捨離®提唱者。1954年、東京生まれ。子育てや介護を経験したのち、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」から着想を得た「断捨離」理論を構築。BS朝日『ウチ、〝断捨離〟しました!』(毎週月曜夜8時)にレギュラー出演。最新刊は『自在期』(ビジネス社)。東京と鹿児島県指宿の2拠点生活

買い物の失敗は引きずらない

【聖子】:服はだいたいネットで買いますが、試着しないので失敗が多くて。最近はリボンがついた可愛いブラウスを見つけ、2980円だったので衝動買い。ところが、いざ着てみたらパツンパツン! 大臣になってから太ってしまったのですが、「XLは買いたくない」という意地があってLにしたせいです(笑)
【ひでこ】:最近脂肪を溜め込んでいるので、いたく共感いたします(笑)。買い物の失敗は私もしょっちゅう。ただし失敗した物は溜め込まず、すぐ断捨離しますけどね。
【聖子】:私も断捨離派です。活用できない物が身の回りにあるのは苦手なので、パツンパツンのブラウスも、議員会館の秘書に潔くあげました。私は買い物のセンスがないので、後悔を引きずらないためにも1万円以上の服はめったに買いませんね。

人に頼るのはカッコ悪いと思っていたけど……

【ひでこ】:日ごろ意識的に断捨離していることはありますか?
【聖子】: 〝自分の手柄〟ですね。若い頃は「選挙で認めてもらいたい」という気持ちが強くて、「この道路の予算は私が取りました!」なんていちいちアピールをしていましたが、やめました。手柄をアピールする時間とパワーを使えば、もっと違う仕事に挑戦できると気づいたからです。

【ひでこ】:認められたい気持ちがあるから手柄アピールをするのですが、人はだれも、他人の自慢話なんか聞きたくない。アピールをすればするほど認められなくなるってことに、みんな早く気づくべきです(笑)。
【聖子】:50歳で息子を授かってからは、「私が何もかもやらなければ」という思考も捨てましたね。息子に障害があることがわかり、仕事もプライベートも人の助けを借りなければ回らなくなって。人に頼るのはカッコ悪いと思っていたので、しぶしぶ人に頼ってみたんです。そうしたら……すっごい楽になった(笑)! しかも周囲の人を巻き込むことで、私一人では実現できないことが次々と形になることに気がついて。この発見が私の仕事のしかたを大きく変えました。

【ひでこ】:「人に頼れない」という人は多いですよ。なぜなら、頼っても断られるかもしれないと不安に思うから。私ごときの頼みなど誰も聞いてくれないだろうという、自分への自信のなさもあるかもしれませんね。
【聖子】:その気持ちはよくわかりますが、思い切ってお願いしてみちゃえばいいと思います。「助けて」って正面切って言われたら、人は案外断らないものですから。人に何かをお願いしたり、巻き込んだりできるようになると、実はすごく生きやすくなるんですよね。誰もが人に「お願い!」って、気軽に言える世の中にするのも私の目標です。

わが子を心配する気持ちは 一生断捨離できなさそう

【聖子】:親になってつくづく思うのは、「私は死ぬまで息子を心配しながら生きていくんだろうな」ということ。私の息子は障害児ですが、おそらく子どもに障害があろうがなかろうが、親は子どもがずっと気がかり。この心配は断捨離できませんね。
【ひでこ】:私も親なので野田大臣のお気持ちはわかります。親は親の人生を生きて、子は子で生きる、みたいに切り分けて考えればいいのでしょうけれど、そう簡単にはいかない。それでも親は親、子は子と割り切るのを目指す、くらいでいいのだと思います。物を捨てるときも後ろめたさはセットなわけで、人生は理屈通りスッパリとはいかないことが多いですから。

【聖子】:その通り。人生はきれいごとではいきませんよね。私の息子は制御不能で理不尽。「障害児は天使のようだ」みたいなことを言う人もいますが、うちの子は全然違うんですよ。理屈が通じない、いたずらが激しい……。家で息子とさんざん格闘したあと国会に行くと、「ああ、ここはなんて制御された場なんだ……」と思えて。国会は、意見が食い違っても言葉で接点を見いだすことができますからね。だから仕事でつらいことがあっても、「いやいや、うちの子に比べればまともだ」と、息子のおかげで心のバランスを保っています。

打ちのめされても リカバリーできるように、余力2割を残しておく

【聖子】:かつて私は、「女性は仕事でどう頑張っても男性の八掛けで見られる。だから男性の1・2倍の仕事をして認められよう」と思い、全国津々浦々を馬車馬のように駆け回っていました。それでも評価されず、45歳のときには大きな挫折を経験。そのときから私は、「頑張るのは8割まで」と決めました。仕事をしていればつらいことはあるし、失敗もする。でも2割の余力を残しておけばリカバリーできますから。
【ひでこ】:当時の報道をよく覚えていますよ。大きな試練に裏付けられた気づきですね。野田大臣に限らず女性は全力で頑張ってしまう傾向がありますが、それでポッキリ折れてしまう人も多い。大事なのは「とき、ところ、人」で、力の出し方を変えていくこと。今は頑張りどき、ここではゆるめる、この人の前では休憩(笑)などね。

【聖子】:これからの人生にもきっと、予期せぬことが起こる。たとえそこで打ちのめされても、「ぼよよよ~ん」って復活できるように、いつも力は抜いておきたいですね。
【ひでこ】:したたかに、しなやかに。力みの断捨離ですね。お見事です。

撮影/久富健太郎(SPUTNIK) ヘア・メイク/Hachi 取材・文/宇野津暢子、『サンキュ!』編集部  


参照:『サンキュ!』2022年6月号 連載「断捨離対談 ひでこの部屋」より。掲載している情報は2022年3月現在のものです

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