天邪鬼(あまのじゃく)とは?子どもが天邪鬼な性格になる原因や対処法も解説
2022/08/18
「天邪鬼(あまのじゃく)な性格」というと、少しネガティブなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
あまのじゃくな態度が多い子どもと接するのは、親としても大変なもの。しかし、子どもがあまのじゃくになってしまう原因を見つけ、適切に接してあげることで改善できる場合があります。
まずはあまのじゃくの意味を改めて知り、子どもがあまのじゃくな性格になってしまう原因を探りましょう。そこから適切な接し方を学び、子育てに役立ててみてください。
「あまのじゃく」とは?
あまのじゃくの意味や語源を知り、子どもに言葉の意味を教えてみましょう。自分の性格や振る舞いがあまのじゃくだということに気づくだけでも、態度が改善するかもしれません。
「あまのじゃく」の意味
あまのじゃくとは、わざと人に逆らうような言動をすること。
いわゆる「ひねくれた性格」で、素直な気持ちを表に出せません。本心とは異なることを言ってしまうので、接するのが面倒くさく思われてしまいます。
また、他者に対して批判的であることが多く、認めたり褒めたりするのが苦手です。家族や恋人に対しても素直になるのが難しく、あまのじゃくな大人は社会的に孤立してしまう傾向にあります。
「あまのじゃく」の語源
あまのじゃくの語源は諸説あります。
▼あまのじゃくの語源
・民話に出てくるモノマネがうまい鬼
・昔話に登場する悪い妖怪
・伝説に出てくる悪神
・仁王などの仏法守護神にふまれている子鬼
民話に出てくる物まねがうまい妖怪は、人の心を読むことに長けており、それを逆手に悪さばかり行います。モノマネがうまく、人をからかったり困らせたりする悪い妖怪です。
日本古来の伝説や神話も、いたずらや悪さばかりする妖怪や鬼として言い伝えられています。それぞれが異なる説話ですが、あまのじゃくの由来は悪い意味合いのものばかりです。
「あまのじゃく」を英語で表現すると
あまのじゃくを英語で表現する場合、いくつか言い方があります。
▼あまのじゃく(天邪鬼)の英語
・orneriness
・perverse person
・twisted person
・contrary person
「orneriness」とは、心が狭く不愉快な態度ばかりとる人のことを表します。「ornery(気難しい)+ness(性質)」という形で、「ornery」は意地悪や怒りっぽいという意味を持ちます。
「perverse person」は、ひねくれた人という意味です。「twisted person」は、性格が歪んでいる人や奇人、変人という意味を表します。
「contrary person」の「contrary」とは反対な、裏腹なという意味を持つ形容詞です。「person」と続けることで意固地な人、へそ曲がりの人という意味になります。
「あまのじゃく」な人の特徴や原因、改善方法は?
ここからはあまのじゃくな人の性格について、専門家の意見をご紹介します。説明をしてくれたのは、たけつな小児科クリニックの竹綱庸仁院長です。天邪鬼な子どもの具体的な特徴や原因、改善方法について詳しく聞きました。
教えてくれたのは・・・
あまのじゃくな人にはどんな特徴が見られる?
Q:あまのじゃくなこどもの特徴はどのようなものがありますか?
子どもがあまのじゃくであるかどうか、という以前に、子どもが友だちとのコミュニケーションをとることが困難という場合、その子どもが発達障がいなのか、性格的な問題なのかを判断する必要があります。
あまのじゃくな子どもは、他人の意見を理解したうえで、コミュニケーションをとっているわけなので、言語理解や情報に対する理解、適応はできていると考えられ、性格的な要素であると考えられます。子どもの性格を形成する上では、家庭環境の影響が大きく、あまのじゃくな性格を持っている子どもの場合、親の愛情不足や、逆に過保護に育てられた過去、信頼していた人から友だちから傷つけられた、裏切られたなどの背景から自己肯定感が低い場合に多く見られます。
したがって、引込み思案な性格や、仲のいい友だちがおらず一人でいることが多いなどの子どもはあまのじゃくな性格の可能性があります。
Q:あまのじゃくな子どもの特徴について、男女で違った特徴はありますか?
前述のとおり、あまのじゃくな子どもは家庭で受けた愛情の大きさに影響されることが多いため、性差の影響は大きくないと考えられます。とくに入園後、小学校の低学年ころまでは、子ども自身の本能(欲望)が強いため、他人の気持ちを考える能力が未熟であり、性差はほぼないと思われます。
しかし、小学校中学年(3年生)以降は自分以外の友だちの気持ちなどを推理し、行動するという視点の変化が芽生えることに加えて、私の経験上、男子よりも女子の方が思春期を迎える時期が早いため、学童期では女子の方が男子よりもあまのじゃくな性格になる可能性が高いと考えられます。
Q:大人にもあまのじゃくな人がいると思いますが、どのような特徴がありますか?
自己肯定感が低いという点では子どもと同じですが、年齢が上がるにつれ、人生経験が増え、子どもより信念や自我の形成が強くなるため、他人から否定されることであまのじゃくになってしまう場合があります。
したがって、プライドが高い人や他人に負けたくないなど、自己を否定されないために子ども以上にあまのじゃくになりやすい傾向になると考えられます。
「あまのじゃく」な性格になる原因、改善方法は?
Q:あまのじゃくな性格になる原因として、何が考えられますか?
あまのじゃくな性格は子ども、大人にかかわらず、根底に自己肯定感の低さが存在します。先程もお話ししたように、あまのじゃくな性格になるかどうかは環境因子にも左右され、子どもの環境因子と大人の環境因子では多少異なります。
子どもがあまのじゃくな性格になる場合、家族(両親)が共働きかどうか、兄弟の有無、兄弟がいた場合、何番目の兄弟なのか、兄弟間の年齢差などで、親から受けた愛情の大きさが変わってくることであまのじゃくになる可能性が変化します。一方、大人のあまのじゃくな性格の場合、家庭環境以上に、人生における挫折(トラウマ)や交友関係、職場での役職など、自己のおかれている環境を維持するため、あまのじゃくな性格になることが考えらえられ、子どもと成人のあまのじゃくになる原因は異なる部分もあると考えます。
Q:あまのじゃくな子どもの性格は改善できるでしょうか?
子どものあまのじゃくは周囲の愛情、とりわけ家庭での愛情が希薄であることが原因で、自己肯定感が低下するため起こります。したがって、あまのじゃくな子どもを改善させるには家族に状況を説明し、子どもと一緒にいる時間を増やすように促したり、子どもの長所を見つけてあげ、長所を伸ばし、自己肯定感を上げてあげることであまのじゃくな性格が改善する可能性があります。
Q:あまのじゃくな子供に対する上手な接し方・注意点はありますか?
あまのじゃくな性格は自己否定感の強さからくるものであり、子どもの発言に対し、否定的な言葉を投げかけないことが重要です。例えば「テストの点数で60点をとってしまった」と子どもから話された際に、「なんでそんな点数を取ったの」と話すより、「じゃぁ、今度は80点を目指そうか」など、家族や周囲の大人が子どもを否定しない(肯定する)ように接することが重要となるとよいでしょう。
まとめ
以上、あまのじゃくの意味や性格について解説しました。
竹綱院長が言っていたとおり、あまのじゃくな性格の子どもは家庭環境に問題を抱えている可能性があるため、もし自身の子どもにそういった傾向が見られた場合は親子関係における愛情のキャッチボールをしっかり行うことを意識したいですね。