ヨガは体と心にアプローチする哲学~連載「はじめよう!フェムテック」
2022/08/17
2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀総編集長と東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。
番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。
<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
大学卒業後、出版社3社の編集部を経て、1995年ベネッセコーポレーションに入社。『サンキュ!』編集長を長く勤め、現在はK&Fメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務める。29歳の長女一人。
●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった31歳。
<ゲスト>
●山下千絵さん Chie Yamashita
ヨガインストラクター。1977年生まれの44歳。大学卒業後、グッチ・ジャパンに入社。その頃、世の中の流行にのってヨガを始めハマる。会社を退職後、オーラソーマプラクティショナー、NLP心理学のトレーナーとして活動。その経験と続けてきたヨガによって、体が健康になるだけでなく、心も前向きになっていくことを実感。2014年に月経血コントロールヨガ、2015年に体軸ヨガのインストラクターの資格を取得し、ヨガを教える活動を開始する。現在、定期的にレッスンを開催。心と体は切り離せないというホリスティツクな健康観が、幅広い年齢層の女性から共感を呼び、支持されている。https://www.street-academy.com/steachers/34419
まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組の第2フェーズ。今回のゲストは、山下千絵さんです。「心理学なども学ばれ、心と体、双方のアプローチで女性の健康を考えサポートしてこられた山下さん。ヨガインストラクターとして、のべ1万人もの人にヨガを指導してきたそう。今では日常生活に広く浸透しているヨガですが、改めてヨガの考え方とその魅力について教えていただきました。お話を伺いながら、ヨガは女性の健康&幸せ=フェムテックにつながっていくなぁと思い、私もヨガを始めようかな」(伊久美)
毎日トイレで1分間の呼吸法を実践! 集中力がアップする
■東島アナ「今回は、最近オンラインでも人気を集めているヨガについてです。ゲストは、横浜と都内でヨガのインストラクターを務めていらっしゃる山下千絵さんです。のべ1万人以上に月経血コントロールヨガを基盤にした“Chieヨガ”を教えていらっしゃいます。ヨガについて知っているようでわからないことが多いので改めてお伺いしたいのですが、そもそもヨガはどんなものなのでしょうか」
■山下「“ヨガはポーズをとるエクササイズ”と認識しているかたが多いかもしれませんが、ヨガは古代インドが起源で、現代まで引き継がれている哲学です。体だけでなく、心にもアプローチするものです」
■伊久美「ヨガは女性たちに大人気なので、私も何度か体験したことがありますが、哲学という概念はなかったですね」
■山下「そうですよね。ポーズだけでなく、瞑想とか呼吸法もヨガなのです。すべて、“今、この瞬間に集中する”ために行うのです」
■伊久美「“集中力を高める”という目的は、わかりやすいですね」
■山下「みなさん、自分にとって楽しいことだと自然に集中していると思うのですが、そうでないと集中することが難しくて、気もそぞろになりますよね。ヨガは、“今この瞬間に、集中する”という力を高めてそれを養ってくれるのです」
■伊久美「すごくいいことを伺いました。取り組まなくてはいけない仕事に対して、集中力を高めたいなぁと思っていて、そういうことに役立ちますよね?! 私、ヨガ始めます(笑)」
■東島アナ「その場で、集中力を高めていけるということですよね。最近では大学の講義でもヨガが取り入れられていますが、ヨガに関する医学的な研究は、今どのような扱いなのでしょうか」
■山下「ヨガは、今症状がでている病気を解決するというものではなく、健康を維持し、病気にならないようにする、予防の知恵が集結したものだと思います。交感神経と副交感神経のバランスを整えてくれますし、自然治癒力とか免疫力を高める作用があるということは、さまざまな研究で報告されています」
■東島アナ「私はホットヨガを不真面目に続けているのですが(笑)、そこでは、時々瞑想がレッスンに含まれています。ただ、なかなかできなくて、寝てしまうのです(笑)。眠るというのは瞑想になっていないですよね?」
■山下「そうですね(笑)。体が疲れているかたは寝てしまうことがあります。そういうときは寝てください。そして、体が元気なときに、ゆったり座って瞑想にトライしてみてください」
■伊久美「瞑想はなるべく疲れていないときに行うべきなのですね! 座って、あぐらをかいて、無心になろうと努めればよいのでしょうか」
■山下「伊久美さんは、“無心になってください”といわれて、無心になれますか」
■伊久美「いやぁ、なれません(笑)。どうしたらいいでしょうか。というのは、日常の中で、みんなができることじゃないかなぁと思ったので、スムーズに瞑想できるコツを知りたいです」
■山下「コツは呼吸法にあります。例えば、目をつぶって、吸う息が3秒なら吐く息を6秒、吸う息と吐く息の比率を1対2にしてカウントしてください。数えなくてはいけないので、結果、他のことが考えられず集中できます」
■伊久美「今、やってみます。本当だ(笑)! これって瞑想になるのですか?」
■山下「これは呼吸法ですが、瞑想の入口でもあります。1分でも2分でもいいですよ」
■伊久美「すごくわかりやすい。これはできそう」
■山下「多分、1日1分行うと決めるとできないので、例えばトイレに行ったときに、座ったと同時に、目を閉じて1分だけこの呼吸法を行ってみてください」
■東島「トイレへ行くなど、1日の中で必ず行うことに紐づけておくとできそうですね。呼吸法を続けることで、人間本来の機能が高まっていくことにつながっていくのはうれしいです」
心身一如、ヨガを通して心と体を整える
■東島アナ「山下さんご自身は、フェムテックに関してどのようにお考えですか」
■山下「日本では、“社会人になったら、体調を自己管理するのが当然” というムードがありますよね。でも、女性の体調はホルモンバランスの変動があるので、なかなか難しいです。少しでも体調を安定させるためにヨガは役立つと思います。男性と張り合って生きるのではなく、女性ならではの “やさしさ・育む力・コミュニケーション能力” を発揮できる状態をキープして、みんなが暮らしていけるようになることが理想です」
■伊久美「“男性と張り合うということではなく、女性ならではの能力を発揮する” というのは、素晴しいですね! そのためにヨガが役立つのですね」
■山下「そうです。自分の体調を整えることは、自分のためだけの幸せではなくて、家族や周りなど、人々の幸せにもつながっていきますから」
■東島アナ「まさに山下さんが今おっしゃったことは、この番組が目指すところでもあります。会社でも、福利厚生などに導入されていくとよいですね」
■山下「すでに取り組みをスタートさせている会社も増えてきています」
■東島アナ「医療分野でも、ヨガが体に与える影響についての研究が進んでいるようですね。体への影響という観点で、山下さんが提案されている “月経血コントロールヨガ” というのは、どういうものなのでしょう」
■山下「尿のことをイメージしてみてください。コントロールするというと、お腹の中で止めるの? と思われるかたが多いかもしれませんが、ふだん皆さんは尿を垂れ流すことなく、自然にコントロールしていますよね? ヨガにより体の外側のコリをほぐし、内側の筋肉をしなやかにすることで、同様に月経血コントロールもできるようになっていくのです」
■東島アナ「コントロールがうまくいくと、どんなメリットがありますか」
■山下「月経血コントロールは、経血を膣の中に溜めておいて、トイレでまとめて出します。生理中、マメにトイレに行けない状況などで、助かりますよね」
■東島アナ「月経血コントロールヨガは、閉経後は関係ないのでしょうか」
■山下「いいえ、女性はいくつになっても子宮を意識することが大切です。私の生徒さんには60~70代の女性も多いです。体力・体調をキープするという意味合いが強いかもしれません。一生自分の足で好きなところに遊びに行けて元気でいられる、心と身体をキープしてほしいという思いでレッスンをしています」
■東島アナ「心に効く。ヨガが心や精神に与える影響は大きいのですね」
■山下「体は体、心は心と考えられがちですが、心と体はつながっていて、切り離せないものです。なので、心を整えたかったら、身体を整えればいいし、身体を整えたかったら、心を整えればいいと思っています」
■伊久美「つい、心と体は別と考えがちかもしれませんね」
■山下「体の変化は目に見えやすいのですが、心の調整がうまくいっているかどうかはわかりにくいですよね。私は心理学を勉強していたので、人間の健康に対して精神面からアプローチしてサポートしていく仕事を考えていた時期もありました。でもヨガのように体からのアプローチするほうが効果を伝えやすく、多くのかたに実感していただけるなぁという手応えがあって、ヨガを教えることにしたのです」
■伊久美「なるほど。ヨガで体を整えると、心も整いポジティブになれるということですね。ほかにふだんの生活の中で、健康のために、ここには気をつけてほしいというアドバイスはありますか」
■山下「早寝早起きですね。睡眠の質を上げるためには、寝る前には食べない。消化を終えてから眠るということを心がけてほしいと思います。続けることで、本当に体調が改善していくのを実感し、よく眠れるようになりますよ」
■伊久美「心がけてみたいと思います」
●次回は、株式会社明治・マーケテイング部本部の吉田菜々絵さんをゲストにお迎えします。
合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」
【番組インフォメーション】
『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!
【イベント インフォメーション】
女性の“健康”と“活躍”を支援する「Femtech Tokyo」開催!
女性のライフステージにおける様々な課題を解決できる「フェムテック・フェムケア」を手がける企業が集まるイベント、第1回 Femtech Tokyoに、ニッポン放送「はじめよう!フェムテック」と『サンキュ!』が協力媒体として参加します。当日は、様々な企業が生理・妊活・妊娠期・産後・プレ更年期など女性の心身の悩みを解決するコンテンツを展示する予定です。
2022年10月20日(木)~22日(土) 会場:東京ビッグサイト
展示会の詳細&入場のお申込み(無料)はこちら→ https://www.femtech-week.jp/ja-jp.html
●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは27年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/