『ある日~真実のベール』普通の大学生が一夜にして殺人犯に!?キム・スヒョン主演ドラマの見どころを韓ドラマニアが徹底解説!

2024/11/05

『星から来たあなた』ではツンデレな宇宙人で、『サイコだけど大丈夫』では心の傷を癒していく青年で。幅広い世代の女性をときめかせ、韓流トップ俳優として圧倒的な人気を誇るキム・スヒョン。
そんな彼がこれまでとは異なりハードな役柄に挑戦したのが『ある日〜真実のベール』です。

原作はイギリスの『クリミナル・ジャスティス』。
一夜にして殺人事件の容疑者になってしまう平凡な大学生の恐怖や絶望を、キム・スヒョンが高い演技力で見事に表現した社会派犯罪ドラマ!
韓ドラマニアで韓国ドラマライターのJUMIJUMIさんに徹底解説してもらいましょう。

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韓国留学を機に韓国の文化に魅了される。年間50作品以上の韓国ドラマを視聴し、またライターとして情報発信も積極...

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あらすじ:些細な好奇心から人生のどん底へ。殺人事件の容疑者となった大学生は無罪を証明できるのか。

出典:Amazon

平凡な大学生キム・ヒョンス(キム・スヒョン)は、父親が仕事で使っているタクシーに乗って友人の元に向かっている途中、ある女性と出会います。
ヒョンスは不思議な魅力を放つその女性グクファ(ファン・セオン)に流されるように彼女の家まで行き、お酒や薬物にも手を出し、勢いのまま一夜を共にします。
しかし翌朝目覚めたヒョンスが目撃したのは、血塗れで倒れているグクファの姿でした…。

怖くなったヒョンスは慌てて証拠隠滅を図り逃走しますが、検問中の警察官に止められ飲酒運転の疑いで警察署に連行。
そこでグクファの家から持ち出したナイフが見つかり、目撃証言とも一致したことで殺人罪で緊急逮捕されてしまいます。「自分は殺していない」と主張しますが警察は聞く耳を持ちません。

偶然居合わせた弁護士のシン・ジュンハン(チャ・スンウォン)は、ヒョンスの目を見て無実だと感じ弁護を引き受けますが、捜査をすればするほどヒョンスにとって不利な証拠が出るばかり。警察も検察もメディアもヒョンスを犯人だと確信しています。
そして拘置所に送られたヒョンスですが、彼の本当の地獄はここから始まります…。

あっという間に人生のどん底へと転がり落ちたヒョンス。厳しい状況の中、ヒョンスとシン弁護士は無罪を勝ち取ることができるのでしょうか?真犯人は誰なのでしょうか?
いいえ、ヒョンスは本当に無罪なのでしょうか…?

見どころ:それぞれ違う正義、地獄の拘置所生活が1人の青年を変えていく…。

見どころ1:恐怖・絶望・焦り・苛立ち…感情が画面を超えて伝わってくるキム・スヒョンの演技に鳥肌!

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崖を転がり落ちるようにどんどん追い込まれるヒョンスは、時間の経過と共に様々な感情に飲み込まれていきます。
変わり果てた姿になったグクファを見つけた時の恐怖、現場や警察署からどうにか抜け出そうとする焦り、緊急逮捕された時の絶望、この先どんなことが待ち受けているのかわからない不安…。
そんなヒョンスの感情は画面を超えて、痛々しく生々しく観ているこちらに伝わってきます。

そして最初は絶望の淵で弱々しく泣いているだけだったヒョンスですが、地獄のような日々から自分自身を守る方法を手探りで身につけていきます。
第1話のヒョンスと最終話のヒョンスをぜひ見比べてください。全くの別人です。現実に打ちのめされたヒョンスが変わっていく姿にぜひご注目ください。


ストーリーの大半は拘置所や裁判所が舞台で、派手な演出がある訳でもなく、静かに淡々と話が進んでいきます。そんな中でも筆者がどんどん本作に引き込まれた要因は、キム・スヒョンの誤魔化しのない演技力でした。
まだ心のどこかに希望を残していたヒョンスと、完全に希望を見失ったあとのヒョンスは、目の輝き方まで違うのです。

元々高い演技力を認められていましたが「こんなキム・スヒョンは観たことがない」と驚愕しました。
これまでは王様や宇宙人など特徴的なキャラクターを演じてきましたが、「どこにでもいる普通の大学生」という役柄はキム・スヒョンの演技力の真髄を発揮させるものとなりました。

見どころ2:それぞれの正義が凌ぎ合う!助演陣の演技に圧倒される!

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もう1人の主人公と言えるのがチャ・スンウォン演じるシン弁護士。軽犯罪ばかりを扱う三流弁護士でしたが、ヒョンスの潔白の眼差しを信じ弁護を引き受けます。
ヒョンスにまず「警察に何を言われても『分かりません』と答えなさい」と教えるのが印象的。それはこの裁判で無罪を勝ち取ることが容易では無いこと、そして歪んだ司法の現実を知っているから出た言葉です。
やさぐれた話し方や佇まいは確かに三流ですが、時より見せる眼差しや弁論にはプロフェッショナル感が溢れ、「絶対に冤罪を作らない」という正義を見せてくれます。

ヒョンスの事件を担当するのはキム・ホンパ演じる引退間近のベテラン、パク刑事。
状況証拠は山のようにありますが、ヒョンスが殺したという決定的な証拠はありません。パク刑事が欲しいのはヒョンスの自白です。純粋で無知なヒョンスに親切心を見せながら、静かに不利な方向へと導いていきます。
「被害者の無念を晴らしたい」という正義はベテランならではの長年の勘と自信によって、歪んだ形に変わっていくのです…。

もう1人、ヒョンスを追い込むのがキム・シンロク演じるアン検事。世間からの注目が熱いこの事件で結果を残し、昇進することを狙っています。
ヒョンスの過去や人間性の小さな隙をえぐり返し、「容疑者がいかに悪人か」という印象を与えようとします。「犯罪者を決して許さず最も重い罰を与える」という正義は感じられますが、それが真犯人かどうかは関係ないのかもしれません…。

見どころ3:想像を絶する拘置所生活。ヒョンスは自分を守れるのか…。

出典:Amazon

拘置所に送られたヒョンスを待っていたのは、想像をはるかに超えた地獄。新人を歓迎するように理由なくリンチを受けるヒョンスですが、その程度では刑務官も見て見ぬフリです。

所内を牛耳るボス的存在の受刑者ト・ジテ(キム・ソンギュ)は、刑務官とも通じていてタバコや携帯電話なども手に入れています。受刑者たちは誰もジテに歯向かうことができません。
そんなジテはなぜか、ヒョンスに手を差し伸べるのですが…。

ヒョンスと同じタイミングで拘置所に送られた暴力団員のパク・ドゥシク(ヤン・ギョンウォン)はジテを敵対視し、ジテが気に掛けるヒョンスにも執拗に噛み付いてきます。
ドゥシクのせいで何度となく危険な目に遭うヒョンスは刑務官すら信じることができないこの場所で、少しずつ生き抜くための術を身につけていきます…。


実際の拘置所内はこんなにも「やりたい放題」ではないと思いますが、極限状態が続くことでごく普通の青年が全くの別人に変わってしまう過程がリアルに映し出されています。
裁判所では無罪を勝ち取るための戦いを、拘置所では生き抜くための戦いを強いられるヒョンス。あまりにも過酷な現実がそこにはありました。

筆者の感想:何が起こるかわからない、それが人生。子どもに観せたいと思った作品。

友人の誘いを断れず、その場のノリで、女性の前で少しカッコつけたくて、お酒の勢いで…。
そんな気持ちから普段は行かない場所に足を踏み入れ、普段はしないことをしてしまうのは誰にでもあることです。ヒョンスも同じだったはずですが、小さな偶然や不幸が重なった結果は殺人事件の容疑者でした。
ヒョンスは何度も何度も後悔したでしょう。父親のタクシーに乗らなければ。無理にでもグクファを降ろしていたら。お酒を飲まなければ。逃げずに通報していれば…。
何か一つでも違っていれば、こんなことにはならなかったかもしれません。

人生は選択の連続で、時に全く予想できないようなことも起こります。わずかな選択ミスで人生がここまで一変してしまうという現実、そしてそれは誰にでも起こり得ることを改めて諭されました。
そんな意味から筆者は、子どもにもいつか本作を観せたいと思います。理不尽なことが起きるのも現実であり、だからこそ一瞬一瞬の選択を慎重にできるように、自分の行動に責任を持てるように気を付けなければならないと教えたいです。

出典:PR TIMES

俳優陣の演技力に圧倒されながら、筆者は全8話を2日で完走!
真犯人が最後の最後までわからないので、ヒョンスを初めとする登場人物の目つきや息遣いまで全てに意味があるように思えて、取り憑かれるように見入ってしまいました。
イ・ミョンウ監督による、韓国作品らしい嫌な後味が残る演出にもすっかり魅了されました。

■執筆/JUMIJUMIさん…韓国留学を機に韓国の文化に魅了される。年間30作品以上の韓国ドラマを視聴し、またライターとして情報発信も積極的に行う。ただ作品の内容を説明をするだけでなく、食や生活様式など文化面から掘り下げた解説を得意としている。インスタグラムはjumistyle99。

 
 

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