「早食い」や「ドカ食い」をしていませんか?心当たりのある人は、もしかしたら生活習慣症のもと「慢性炎症」になってしまうかも。慢性炎症になると免疫細胞が過度に活性化され、さまざまなトラブルを引き起こすことが、最近の研究でわかってきました。そして緑茶に「慢性炎症」を予防・抑制する効果があるということも!
2022年6月24日(金)にオンライン開催された「第6回 伊藤園健康フォーラム」では、農学、栄養学の専門家を招いて「慢性炎症」の予防法&改善方法をディスカッション。そこから見えた、美しく健康を保つ食&お茶習慣をご紹介します。
早食い・ドカ食い・肥満は「慢性炎症」を起こしやすい!?
そもそも「炎症」は体の防御反応の1つで、体内の異物や異常な状態を取り除き元の状態に戻すための働きです。炎症には「急性炎症」と「慢性炎症」の2つがあり、急性炎症はのどの痛みや口内炎、皮膚炎など、症状が出てから短時間で治るもの。慢性炎症は多くは無症状で、体の中で長期に続く慢性的な炎症です。
フォーラムではまず、静岡県立大学食品栄養科学部特任教授で「ふじのくに」みらい共育センター長の合田敏尚氏による「慢性炎症」についての基調講演が行われました。
慢性炎症を引き起こす要因として「早食い」や「ドカ食い」、そして「肥満」があります。これらによって体内で慢性炎症が起こると免疫細胞が過度に活性化され、老化が加速したり生活習慣病になったりしてしまいます。さらにそれが全身のさまざまな器官に飛び火し、脳梗塞や動脈硬化、がん、糖尿病などへと進行しやすくなるのだそうです。
特に内臓脂肪が多いタイプの太り方をすると、脂肪細胞が大きく膨れ、炎症を誘発する物質を放出します。それが老化や生活習慣病、動脈硬化など、さまざまな疾患を引き起こすことになるのです。
また、食後に血糖値が急激に上昇する「食後高血糖」も、慢性炎症を引き起こす原因の1つ。食後高血糖は肥満の人だけでなく、若い人ややせている人でもなるのだとか!特に早食い・ドカ食いをする人は要注意です。
忙しくてつい早食いになりがちな人などは、食習慣を見直すことが必要です。
では、慢性炎症にならないためには、どうしたらいいのでしょう?
実は最近の研究で、緑茶に含まれる成分 ガレート型カテキン「EGCG」を糖と一緒に摂取すると、慢性炎症が抑えられることがわかってきました!食事の際にご飯やパンなどと一緒に緑茶をとることが、自然と慢性炎症を抑えることにつながるのです。
緑茶の成分 ガレート型カテキン「EGCG」は、慢性炎症を防ぐだけでなく脂肪の吸収も抑える!
次に、九州大学大学院農学研究院 生命機能科学部門 食料化学工学講座 食糧化学分野 主幹教授の立花宏文氏による講演が行われました。テーマは「茶カテキンによる慢性炎症抑制のメカニズム」です。
それによると、緑茶にはポリフェノールの一種である「カテキン」という成分が豊富に含まれているのだそうです。カテキンにもいくつかの種類があり、緑茶のカテキンはその半分がガレート型カテキン「EGCG」。
これは緑茶の渋みのもとである成分で、私たちが日常摂取する食品には緑茶にしか含まれていません。
今や慢性炎症は、がんや肥満、糖尿病、動脈硬化のもととして、多方面から注目されているもの。ガレート型カテキン「EGCG」はその炎症反応そのものを抑えることが明らかなになっているのだそうです。
さらには、食事などで体内に取り込まれた脂肪の分解作用をブロックする効果も!分解されなかった脂肪は体に吸収されず、そのまま体外に排出されます。つまり、お茶は肥満そのものを予防する効果もあるのです。
肥満や老化を予防する「食&お茶習慣」の3つのポイントとは
最後は伊藤園中央研究所所長・衣笠仁氏と、三菱総合研究所 ヘルスケア&ウェルネス本部 医療グループ 主席研究員の大橋毅夫氏も加わってパネルディスカッション。「慢性炎症を防ぐ食習慣」のポイントが話し合われました。
「早食いやドカ食い、夜遅い時間の食事は、脂肪を効率よく体に蓄積することになりますから、食事のタイミングと食べ方に注意が必要です。また、血糖値の上昇を防ぐために、糖質の消化吸収の速度を下げる工夫もすると良いでしょう。
例えば、パンなら全粒粉のものを選ぶ、お米には大麦を少し加える、食事の時にお茶を飲むなどは、血糖値の急激な上昇を抑制する効果があります」(合田氏)
「ガレート型カテキン「EGCG」は、黄色野菜に多く含まれるべータカロテン、ニンニク、柑橘類に多く含まれるポリフェノールなどと一緒にとると、効果がよりいっそう上がることが確認されています。食事の際にさまざまな食材とお茶を組み合わせることもポイントの1つです」(立花氏)
つまり、
・夜遅くに食事する生活をやめて、規則正しい生活をする
・早食い・ドカ食い・肥満は慢性炎症のもと。食事と一緒にお茶習慣
・魚や野菜・果物などさまざまな食材を、お茶と一緒にとる。1食は腹八分めで終える
という、昔から良いとされている日本の食文化が、慢性炎症を抑える上でも効果的なのです。
特に大豆製品、野菜類、魚介類、果物、海藻、緑茶は、慢性炎症を抑制する効果があるので積極的にとりたい食材です。逆に肉、油脂、ファストフード、甘い清涼飲料水などは控えめに抑えましょう。
お茶は1日に4〜5杯(1リットル程度)とるのが、最も効果が高くなるそうです。
「ガレート型カテキン「EGCG」は、すでに起こってしまった慢性炎症の進行を抑える効果もあります。まずは食生活を見直してセルフケアすることが、若々しく健康的な体を維持する基本になるでしょう」(立花氏)
どのポイントも、今日からすぐに取り入れられるもの。ぜひ、参考にしてくださいね。
伊藤園では幅広い最先端技術を活かしながら「人生100年時代、お茶で豊かに生きる知恵」への取り組みを今後も続けていきます。
協力/株式会社伊藤園