夫と話をするとただ疲れます。 この先、この人と 一緒に生きていけるのでしょうか？

「ちょっと変わっていておもしろい」と思って結婚した夫ですが、会話がかみ合わず、ただ疲れる毎日。一番近くにいる人なのに愚痴を聞いてもらうことさえままならず、孤独を感じています。離婚を考えたこともあるそうですが、まだやり直す手はあるのでしょうか？専門家に相談してみました。



【相談者】
なおこさん（仮名）
43歳　神奈川県

夫（43歳）、長男（15歳）、二男（10歳）の4人家族。結婚16年目。週2～3日パートで働いています。趣味はヨガ。夫は高校の理系教師です。

【回答者】
心理カウンセラー
よしおかゆうみさん

家族問題のエキスパート。幼稚園教諭を20年務めた後、思春期カウンセラーなどを経て、現在は夫婦や親子など家族問題のカウンセリングに携わっています。相談者数は2万組以上。https://www.happymagic.jp/

変わっているところが好きで結婚したけれど、 自分の気持ちを話してくれず、 いまだに夫のことがわかりません

なおこさん（以下なおこ）：夫はつかみどころがなく変わった人で、そこがおもしろいと思って結婚しました。結婚したらいろいろ話して相手を知り、家族としてやっていきたかったけれど、ずっと話がかみあわなくて。今も夫のことがよくわからないんです。

よしおかさん（以下よしおか）：それは、どんなふうに？

なおこ：忘れられないのは、長男が2歳のときの出来事です。

よしおか：育児も大変なころですね。

なおこ：「仕事のトラブルで呼び出された」と言って外泊したことがありました。でもそれは作り話で、1人の時間が欲しかったそうなんです。素直に話してくれれば「パパも育児を頑張ってるよね。気分転換してきて」と送り出したのに。浮気まで疑ってしまいました。

よしおか：それは、つらかったですね

なおこ：こんなふうに自分の気持ちを言わず、予想外の行動をすることが今もあります。

愚痴を聞いてほしいときも 言葉の間違いを指摘されたり。「共感」がないんです

よしおか：ふだんの会話はどうですか？

なおこ：一緒に映画を見たら感想を語り合いたいのに、それは「いい映画だね」でおしまい。仕事の愚痴にも理屈でアドバイスが返ってきます。私は「大変だね」と言ってほしいだけなのに……。

よしおか：そうなんですね。

なおこ：「保育園は厚生省の管轄なんだって」と話し出したときには、すぐ「厚生省じゃなくて厚労省ね」と訂正されました。何げない会話でも小さな間違いを指摘されて、私は「ああ、まただ」って傷ついちゃう。

よしおか：うんうん。

なおこ：子育てや家のことも私の対応を否定されがちで、結婚以来そういうことが積み重なって今に至ります。

よしおか：気持ちが伝わらないのはとてもつらいですね。

子どもとは仲良し。周囲の評判もいい。だから「悪いのは自分？」と思うとつらいです

よしおか：2人の息子さんとパパの関係はどうですか？

なおこ：2人ともパパが大好きでよく会話をしています。夫は買い物や家計管理も得意で、周りから「子育ても家事もしてくれていいパパ」と評判がいいんです。だからママ友に夫への不満を話しても「そうなの？」とわかってもらえず、悪いのは私？と落ち込むことも……。

よしおか：お話を聞いていると、なおこさん、つらかっただろうなって思います。共感を得たくても得られないという思いが十数年続いて。

なおこ：「なぜ私の気持ちをわかってくれないの！」とケンカになることも多く、離婚を考えたりもします。最近は夫のことを考えると鬱っぽくなるので距離を取って、仕事やヨガなどに意識を向けているんです。

よしおか：なおこさん、がんばっていますね。

なおこ：だけど気が晴れず、根本的な解決になっていない気がして。だからやっぱり夫とうまくコミュニケーションが取れたらって思います。

ご主人はなぜそんな態度になる？子ども時代のことを想像してみましょうか

よしおか：夫婦関係は自分とパートナーだけの関係と思いがちですが、実はとても根深いんです。自分やパートナーが育った家庭環境、子ども時代の親子関係や親の夫婦関係などの影響が、今の夫婦関係に出やすいことがわかっています。

なおこ：そうなんですね！

よしおか：つまり今の2人のことを考えるだけでは状況を変えるのは難しい。そんなときは相手の子ども時代や家庭の様子（家族関係）を想像してみると、解決の糸口がつかめるかもしれません。

なおこ：自分の子ども時代のことは振り返って考えることも多い気がしますが、相手のそれを想像してみるんですね。やってみようと思います。


夫の子ども時代を想像するという意外なアプローチに、ハッとした様子のなおこさん。具体的にどんなことを想像してみたらいいのか？そこから何が変わるのか？気になります。

イラスト／髙栁浩太郎　取材・文／神坐陽子　構成／サンキュ！コメつぶ