話の通じない夫に対抗する「○○なりきり大作戦」。想定外の効果まで現れた!?

2023/04/22

とにかく理屈っぽくて、ただの愚痴にもアドバイスを返してくる夫。なおこさんは結婚生活にほぼ失望状態でした。ただ、カウンセラーのよしおかさんから、夫の子ども時代を想像して相手の気持ちに寄り添うことなどアドバイスを受けて、再び向かい合う気持ちに。あれから1カ月後、夫婦関係になにか変化はあったのでしょうか?

夫婦げんかになりそうなときは、女優になりきりました

編集部:前回、なおこさんがスッキリした笑顔で悩み相談を終えられたのが印象に残っています。その後、ご主人との関係はいかがですか?

なおこさん(以下なおこ):前回、夫が私や息子たちに出会えたことを幸せに思っているはず、とよしおか先生に言っていただいて、重苦しかった心がすごくスッキリしました。「夫とうまくいかないのは私のせいかも」と自分を責める気持ちもあったので。

よしおかさん(以下よしおか):そうでしたか。気持ちがラクになったんですね。

編集部:先生のアドバイスを受けて、何かトライしてみましたか?

なおこ:夫とケンカになりそうなとき、感情に流されないように「〇〇さんならどう振る舞うかな?」と考えてみました。

よしおか:冷静になるために第三者を思い浮かべて自分の意識から離れる方法ですね。

なおこ:はい。それで夫婦ゲンカがすごく減ったんです。

編集部:おお、すご~い!

なおこ:そうしたら息子たちにもいい影響があって。緊張しやすい長男が高校受験に無事合格して、二男はお友達とのトラブルが多かったけど、最近はなくなりました。

よしおか:家族の土台は夫婦関係なので、それが安定すると子どもの心も安定するんです。

なおこ:はい、まさに。最近、ダブルワークで野菜や花を種から育てる農園パートを始めたのですが、子育てと似ているな~と思ってワクワクしています。ゆううつだった毎日が楽しくなって、体も軽いし人と会うのもおっくうじゃないし、流れが変わった気がします。

編集部:夫との関係のほかにもいろいろな変化があったんですね。

よしおか:前進しましたね!

編集部:先ほどの「〇〇さんならどう振る舞うかな?」と考えたら夫婦ゲンカが減った話を具体的に聞かせてください。

なおこ:長男の入学手続きをしめきり間際までやっていなくて、夫に「早くしないと間に合わないよ」とあきれられたことがあったんです。カチンときたけど、大好きな石原さとみちゃんをイメージして「パパの圧がこわい~。でもパパが言ってくれたから間に合うよ。ありがと~」と言ってみました(照れ笑)。

よしおか:いい感じ!

なおこ:夫の反応に変化はなかったけど、前なら「パパだって失敗するでしょ!」と言い返す状況で「ありがとう」と言えた自分を褒めたいです(笑)。

よしおか:こんなに早く変われるなんて、なおこさんは本当に素直な人。アドバイスを素直に受け取って、すぐやってみようという姿勢が変化につながったと思います。

なおこ:一歩引いて状況を見るようにしたら、怒りの感情もコントロールできるようになってきた気がします。

身にしみついた夫への態度を変えるには時間が必要

編集部:怒りがわいた瞬間に気持ちを切り替えられるなんて、なおこさんの反射神経はすごい!でも「わかっちゃいるけどできない」という人も多い気がして……。

よしおか:アドバイスを聞いて「なるほど~」と思っても、いざ日常に戻るとうまくできないのはごく普通のことです。なおこさんの変化の早さは私も驚くほどで(笑)。身についた習慣を変えるのだから、時間がかかる方もたくさんいらっしゃいます。

編集部:むしろ、すぐに変われないのが普通なんですね。

よしおか:はい。だからしばらくは、前と同じ反応をする自分に抵抗しながら頑張って変えていく感じですね。

編集部:なるほど。すぐできなくてもあきらめず、少しでもできたら自分を褒めて、続けることが大事ですね。

苦しんだことも自分のストーリーの一部。大切にしてほしいです

よしおか:それとなおこさんの場合、すでに変わる準備ができていたんじゃないかな。

編集部:というと?

よしおか:日々自分と向き合ってきた「今までの積み重ね」があって、今回最後のピースがそろったというか……。「ああ、今までの苦労はそういうことだったんだ」ってクリアになったのかな、と。

なおこ:まさにそうです。ここ数年、自分の心を観察してきて、カウンセリングやコーチングの講座を受けたりもしました。そこで気づいたことや学んだことを実際やってみるけどできなくて、落ち込んではまたトライして、ということを何度も繰り返してきたんです。

編集部:そうだったんですね……。

なおこ:でも先生と話して、心の大掃除というか苦しみがサーッとなくなって、いろんなことが感覚でわかりました。

よしおか:私も、日ごろから自分から逃げないで見つめる姿勢が大切なんだなって、なおこさんから学びました。

編集部:なおこさんは苦しんだ時間が長かったそうですが、それも意味があったということでしょうか?

よしおか:そうですね。苦しんだことを負のことととらえずに、それも自分のストーリーの一部で、大切な過程だと思ってほしいですね。苦しんだからこそ、人として成長できた部分も大きいと思いますから。

夫のきつい返答には「そういう考えもあるのね!」と驚くフリして、うまくかわそう

なおこ:先生、1つ伺ってもいいですか?

よしおか:はいどうぞ。

なおこ:さっきお話ししたように、夫とぶつかりかけても感情的にならないことはできてきたのですが、夫のきつい言い方にどう言葉を返せばいいか、わからないんです。

よしおか:そうね。前回、夫の子ども時代を想像して夫の気持ちに歩み寄り、今すぐ変わってほしいという気持ちを手放したじゃないですか。

なおこ:はい。

よしおか:そのときの感覚を忘れず、きつい言い方をされたときにも思い出してほしいんです。相手の感情に引きずられないためにもね。

なおこ:それはできている気がします。

よしおか:いいですね!そうしたら、まず相手の言い分を「そういう考え方もあるのね」と言って受け止めます。そのとき「なるほど~!そういう考えもあるのね!」と大げさに驚いてみると、自分の気持ちもその場もなごむんじゃないかな。

なおこ:なるほど!

よしおか:それからひと呼吸おいて相手の言い分を考えてみると、意外と一理あったりするので、意見を取り入れてみるのもいいと思いますよ。

編集部:「そういう意見もあるのね、ちょっと考えてみるね」といったん話を終わらせて、落ち着いて考える時間を持つのもよさそうですね。

よしおか:そうですね。なおこさん夫婦のように異質な者同士は、ぶつかることも多い反面、自分にはない視点や考え方を吸収できて成長できる相手なんです。だから相手と違う部分を、相手や自分を責める材料ではなく「自分を耕す材料」として受け止めることは、とても大切ですよ。

なおこ:本当にそうですね。

野菜や花を育てるように夫育てを楽しんでみます

よしおか:ただ、夫が責める言い方やきつい言い方をしたときは、我慢せずに気持ちを伝えましょう。

なおこ:上手な伝え方が知りたいです。

よしおか:夫の意見を受け止めたうえで、「でもそういう言い方をされるとヘコむから、こう言ってくれたら傷つかないよ」とか「こういうやり方もあるよって普通に提案してくれたら、グサッとこないかも」と言ってみたらどうかな。

なおこ:それならぶつからずにすみそう!

よしおか:「そんなの面倒くさい」と夫に言われても、なおこさんの思いはきっと彼の中に残りますから。そして人は「自分の意見を受け入れられた」という感覚があると、自然と心を開くもの。彼も「傷つける言い方をしてるんだ」と自分の非を受け入れて、言い方を変える努力をしてくれるでしょう。

編集部:相手の意見を受け止めるって大事。いろんなところで効いてきますね。

よしおか:彼は言い方がわからないだけだと思うので、なおこさんが言い方をレクチャーしてあげましょ(笑)。「今のを冗談ぽく言ってみて」とか「もう一度笑顔で言ってみて」とその場で練習してもらってもいいですね。

なおこ:そうやって遊んじゃうんですね。

よしおか:雰囲気を変えて伝えると、意外と受け入れてくれますよ。カチンときたら「夫育てのチャンスが来たー!」と思って楽しんでみて(笑)。

なおこ:野菜やお花と同じように(笑)。

よしおか:そうそう!夫婦が一緒に生きていくには、相手の気持ちや人柄を尊重しながら、自分の気持ちを伝えることが必要で、それが愛なんですよね。

なおこ:それにはコミュニケーションが大事ですね。

よしおか:そうなの。伝え方を工夫して、いかに相手に伝わったか、なんです。夫婦でゆっくり成長する過程をぜひ楽しんでくださいね。

なおこ:はい!先生には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

編集部:想像以上によい結果になって本当によかったです。なんだか……春ですね。

イラスト/髙栁浩太郎 取材・文/神坐陽子 構成/サンキュ!コメつぶ

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