「夫婦別寝」がマンネリ打破になるかも!メリット・デメリット、提案方法などを専門家に聞いた
2024/03/19
夫婦で寝室を別にするメリット、デメリットはなんでしょうか?別寝を提案するタイミング、方法と合わせて「恋人・夫婦仲相談所」の所長を務める三松真由美さんに解説してもらいます。
適切な夫婦別寝にはメリットもアリ!
少し前になりますが、東京ガス都市生活研究所が「あなたはパートナーと同寝室ですか?別寝室ですか?」という調査をしました。
夫婦が別の寝室で寝る割合は20代で約6.7%、30代で約14%、40代で約24.6%となっており、同じ部屋でも別々の寝具を利用する方を含めると20代で約45%、30代で約67%、40代では約78%が「夫婦別寝」となっています。
一方、子育て世代向けのWEBサイトkufuraの調査では20代から50代の平均で夫婦別寝は38.6%、同じ部屋で別々の寝具の方を含めると74.4%。世代別に見ると夫婦が別の寝室に寝る方は20代で14.3%、40代で42.1%。同じ部屋で別々の寝具の方はどの世代でも30%台だったそうです。
もちろん、2つの調査は対象が異なるため、単純に比較することはできませんが、私の周りでは夫婦別寝が増加傾向にあります。結婚して新居を選ぶ際、「夫婦同寝」の一択ではなく、夫婦の生活スタイルに合わせて、柔軟に寝室の在り方を選ぶような意識に変わってきたと言えるでしょう。
「夫婦同寝=円満、夫婦別寝=不仲」と考える方も多いかもしれませんが、適切な別寝にはメリットもあります。
夫婦別寝のメリット
1.生活時間帯が違っても相手の邪魔にならない
早く寝たいのに相手が遅くまでゲームをしている、寝ていたら夜中に帰ってきたパートナーの物音で起きてしまったなどの不満や、相手への申し訳なさなどが解消される。
2.いびきや寝相などに悩まされず安眠が確保できる
いびきや寝言がうるさい、相手の寝相が悪くてベッドの端しか使えない、寝具の引っ張り合いになるなど、寝具をシェアすることへの不満がなくなる。
3.室温や照明、寝具などが自分好みにできる
寝室が暑い/寒い、寝具が軽い/重いなど、それぞれの好みに合った状態を選べる。
4.夜泣きなど子供の対応を分担できる
一緒に寝ている場合は夜中の子どもへの対応で2人とも寝不足になってしまうが、別々なら、前の日に対応しなかった方が交代できる。
夫婦別寝のデメリット
1.会話が減る
子どもに聞かせたくない話、夫婦喧嘩の仲直りなど、寝室で2人きりになることでできる大人の会話をするきっかけがなくなる。
2.「夜の営み」のお誘いがしづらい
わざわざ相手の部屋をノックして訪ねていかないといけないので、ちょっとスキンシップがしたい、服を着たまま抱き合って眠りたい、服を脱いで肌と肌を合わせたいなど、さまざまな「営み」がしにくくなる。
3.冷暖房費などのコスト増
冷暖房費や寝具代などが2部屋分になることでコストが倍になる。
4.体調の変化などに気づきにくい
睡眠時無呼吸症候群、EDなど、同室にいるからこそわかる相手の健康リスクや体調の変化がわかりにくい。
夫婦別寝へスムーズに移行するには?
最近はフルタイムで働く夫婦も多く、短時間で質の良い睡眠をいかにとるか、また日中のストレスをいかに解消できるかということが寝室に求められる価値として高まっています。寝室が「2人のスペース」から「パーソナルスペース」に変わりつつあるとも言えます。
そのため、夫婦別寝はもちろん、同室で間仕切りありの別スペースや、別寝具といった「折衷型」に注目が集まるのも必然かもしれません。
もちろん、住宅の間取りやそもそもの床面積から「夫婦の寝室はこの形でしかありえない」という制約がある方もいらっしゃるでしょう。さらには、欧米と違い日本は「子どもと添い寝」の文化があるため、子どもの有無や年齢、性別などによっても、夫婦の寝室の選択肢は変わってきます。
夫婦同寝、夫婦別寝のどちらが良い悪いではなく、自分たちに合った形を夫婦関係や家族の形に併せて、柔軟に変えていく、そして、そういう話し合いが夫婦間でちゃんとできることが大切です。
「夫婦別寝を提案したら、浮気を疑われた」「『あなたと一緒に寝ることがストレス』と言われて気持ちが冷えた」など、今まで同室だった夫婦が別室に移行する際には、夫婦間で喧嘩になったり、話し合いが大きなストレスになったりすることもよくあります。
それでは夫婦別寝はどんなタイミングで、どんな風に提案すると夫婦間のトラブルにならず、気持ちよくスタートできるのか。以下、解説します。
■タイミング1.寝具の買い替え
ベッドや寝具の買い替えタイミングに合わせて、ダブルサイズからシングルサイズ2点に買い替えるのはよくあるパターン。とくに夫婦でマットレスの硬さや掛布団の重さなどの好みが分かれる場合は、これをきっかけにそれぞれが好みのものを購入することで別寝への一歩を踏み出すことが多いです。
■タイミング2.子どもの成長
乳児がベビーベッドを卒業し、添い寝をするようになったので、夫が別の部屋に寝るようになった、というのは典型的なパターン。あるいは子どもが男女であることから、子どもが同性の親と同室に寝るようになったといったきっかけもあります。
■タイミング3.引っ越しや模様替え
部屋の大きさや部屋数が変わるきっかけは寝室の使い方を大きく変えます。子どもがいる場合はその成長も視野に入れながら、長期的な部屋割りを考えることになります。
■タイミング4.生活スタイルの変化
子どもを授かったなど家族構成の変化はもちろん、働き方では在宅勤務が日常になって通勤時間がなくなり、家事の分担や、やり方が変わることも夫婦の寝室の変化のきっかけになります。そのほかには家の中でペットを飼い始めたといった変化が寝室に影響を与えることもあります。また、家族そろってテレビ視聴ではなくスマホやタブレットでそれぞれがバラバラの時間に動画やゲームを楽しむなど、くつろぎ時間の在り方の変化がくつろぎスペースである寝室の在り方を再検討するきっかけになることも見逃せないポイントです。リモートワークの部屋が寝室しかないというケースもありますね。
さらに、中年からシニア世代にとっては生活習慣病など家族の健康や体調の変化が寝室に与える影響も大きいと言えるでしょう。
夫婦別寝への提案、具体的にはどうやる?
ここからは具体的に夫婦別寝への提案方法について紹介していきましょう。
■提案方法1.同室別寝具から実施してみる
いきなり別室にするのは相手の抵抗感が強そう、という場合は同室で別寝具からスタートするのがおすすめです。せっかく分けるなら寝具を2つ並べるだけでなく、間にカーテンを引けるようにしたり、家具で軽く仕切るような間取りにしたりするとよりプライベート感が増します。さらに照明をそれぞれで分けて点灯できるようにする、エアコンの風の出方を工夫するなど、課題となっていた点を解消できるような間取りを考えてみてください。
■提案方法2.曜日限定で実施してみる
たとえば、平日は片方が朝早く起きる、仕事から帰ってくるのが遅いなど、生活時間帯が異なる場合、「平日は夫婦別寝で週末は夫婦同寝」のように曜日限定の「夫婦別寝」にしてみましょう。これだけで、お互いの睡眠時間が確保できて、夫婦がギスギス、イライラしなくなるような例もあります。
■提案方法3.期間限定で実施してみる
たとえば、冷房をガンガンかけたい夫と、冷え性の妻だとしたら「夏の間は夫婦別寝」というような「期間限定」の実施も比較的ハードルが低いです。冷房が必要ない季節になったら夫婦同寝にもどってみると、一定期間、別寝を経験したことで、同寝が新鮮に感じられて会話が増える、といった事例もあります。もちろん、別寝が快適ならそのまま継続するのもOKです。
■提案方法4.お泊まり日を作って、同寝をイベント化
別寝室を基本としつつ、たとえば隔週、月1回などタイミングを決めて同寝の日をつくることもおすすめです。例えば隔週金曜日の夜、あるいは月末の土曜の夜など2人がくつろげる日を「お泊りデー」に設定します。その日はどちらかの寝室でおしゃべりしたり、一緒に動画を見たり、ちょっとお酒でも飲んだり、楽しく夜更かししてみる。あるいはちょっと素敵なアロマオイルでも用意して肩もみやマッサージで疲れを癒しあって、盛り上がったらそのまま営みに突入するのもブラボー。
夫婦別寝がマンネリを打破し、夫婦仲をリフレッシュしてくれることもあります。
ぜひ、自分たちなりの素敵な寝室タイムを演出してみてください。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。