ドラマはセックスレスをどう描いたか?「したい」夫と「したくない」妻、すれ違いレスの実態も

2025/01/21

1月は新しいドラマの始まる季節。近年はセックスレスをテーマにしたドラマが登場することも珍しくなくなりました。そこで今回は、恋人・夫婦仲相談所の所長でセックスレスの専門家でもある三松真由美さんに、ドラマがどのようにセックスレスを描いてきたかについて解説してもらいます。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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「あなたがしてくれなくても」、「1122 いいふうふ」

セックスレスを真正面から扱ったドラマといえば「あなたがしてくれなくても」。
2023年4月に放送され、当時、かなり話題になりました。主演の奈緒さんが「うち、セックスレスなんです」と岩田剛典さんにストレートにぶっちゃけるシーンに、「ついに主演女優が地上波で『セックスレス』という言葉を発する時代になったか!」と感慨深かったことを思い出します。

また、2024年に話題になったセックスレスを扱ったドラマと言えば、Amazon Primeで配信された「1122 いいふうふ」。

出典:Amazon

「婚外恋愛許可制」という名の公認不倫を取り入れているセックスレスカップルを描いたドラマで、主演の高畑充希さんと岡田将生さんが、後に本当に結婚してしまったことでも話題になりました。原作コミックは、初期からチェックしていまして、剣山で怪我をさせるシーンは怖いけれど、実際にも似たような事件の相談を数々うけていたので、「あり」だなと感じながら読んでいました。

2025年のドラマが描くのは「レスられ夫」

そして2025年のスタートを飾るセックスレス系ドラマが、「それでも俺は、妻としたい」。

こちらは、同じセックスレスでも、「レスられ夫」にフォーカスしたコメディタッチの展開です。原作にも妻の大きな胸にさわりたい夫と不機嫌妻の爆笑夫婦が主役となっているので、ちがった角度でレス問題を考えるきっかけになることでしょう。

妻にエッチを断られ続けるダメ夫「柳田豪太」を風間俊介さん、夫のお願いをニコリともせずに切り捨てる怖い妻「柳田チカ」をMEGUMIさんが演じています。今回のドラマで描かれているような、「妻の拒否」で発生するレスは、セックスレスの基本パターンと言ってもいいでしょう。最近は「夫の拒否」で発生するレスも増えていますが、それでもまだ「夫の性欲>妻の性欲」であるほうが多数派です。

とくに、子どもがいる夫婦の場合、昨今は共働きのカップルがほとんどですから、多くの妻は子育てと仕事、そして家事の大半を担うことが多く、時間に追われて疲れ切っています。「1分でも長く睡眠を確保したい」と思うのも無理はありません。心も体も「ロマンチック」や「エロチック」からもっとも遠ざかってしまうのが30代後半から40代の女性の実情です。妻側から「つき合ってるときは、夫がステキに見えたのに、あれは幻想だったのか」「結婚したら夫は別人に変わった」という言葉も出てきます。

ドラマで描かれる柳田家は、夫が売れない脚本家で仕事がなく、妻が一家の大黒柱として働いているため、もともと夫の立場が弱い。妻としてはそんな夫に魅力を感じないのに、二言目には「今日は?」「ほんとにダメ?」とセックスの話題を持ち出してくる夫にイライラしています。そして、夫の家事や不登校気味の息子への接し方に対してもストレスを感じています。そんな彼女は1人ですごすバスタイムが至福の時間。最初から夫は眼中にありません。

いくら妻に断られても「気持ちが収まらない」と言っている豪太。昔はさぞかし妻を満足させていたのかと思いきや……回想シーンの2人の様子を見る限り、「夫が妻を気持ちよくする」よりも「夫が妻に気持ちよくしてもらっている」様子。これではいくら「したい」と言っても妻が「YES」とは言わないだろうなと、納得です。

「忙しい」「疲れている」は本当の拒否理由ではない?

多くの女性がセックス拒否の理由に、「忙しい」「疲れている」などをあげますが、その背後には「楽しくない、気持ち良くない」という理由が隠れていることもあります。他者に「なぜしたくないの?」と質問されて「快楽を得たことがない」など生真面目に答える人はそうはいません。自分が不感症気味なのか、パートナーのやり方が稚拙なのか、それさえわからないひともいます。

妻側の性が開発されている場合だと「夫の技術が未熟だ」と気づいているはずですが、口外はしません。よって「疲れているからしない」で収めるのが上品な構図になります。

しかし、「忙しい」けれど睡眠時間を削ってでもインスタチェックは必ずしていませんか?

「疲れている」けれど、スマホゲームはどうしてもやっちゃう、ということはありませんか?

楽しいことやワクワクすることは、忙しくても疲れていてもやりたくなるのが我々です。楽しくない、気持ちよくない、明日への活力にならないなど「優先順位が低い」というのが妻の拒否要因になります。

「今はレスではない」かたがたも「質」には注意して

ドラマの柳田夫婦が今後どのような夫婦関係を紡ぎ出すのか、果たしてレスを解消できるのかはわかりませんが、「今はレスではない」かたがたも、今の「質」にぜひ注目してください。

「質」が低いと「優先順位」が下がり、それがセックスレスにつながっていきます。
新しいアプリができたらダウンロードしてみよう!と胸踊るはず。ならば夜の営みにも新しい風を吹かせなければ、沈滞・枯渇・腐敗としたくないイメージばかりふくらみます。

「斬新でワクワクできる」ベッドタイムを2人で作っていくことが、将来のレス防止に向けた大事なアクションなのです。

……と、ここまで書きましたが、ベッドタイムを演出するには、日常の2人の意思疎通がうまくいっていないととてもそこまでリーチしません。まずはレステーマのドラマを一緒に視聴して、意見を言い合うところが第1歩かもしれません。

計算中

 
 

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