「ここまで来たら“離婚が正解”」のラインはどこ?専門家監修「離婚可視化シート」を記入して合理的に考えてみる

「ここまで来たら“離婚が正解”」のラインはどこ?専門家監修「離婚可視化シート」を記入して合理的に考えてみる

2024/12/30

「眼の前の相手と永遠の愛を誓ったなんて嘘だ!昔とぜんぜん別人じゃないか。永遠に同じ空気を吸うなんてありえない。離婚するっきゃない」

結婚式当日、ほとんどの夫婦は「一生この人と愛し合うんだ」と心躍らせたことでしょう。それが、いつの間にかストレス&イライラが爆発して“離婚”の文字が脳内を駆け巡る。

でも子どもが嫌がるだろうし、教育費も家賃も1人では払いきれない。子どもが成長するまでなんて、10年以上先のこと。私(俺)10年、耐えられるんだろうか。

モヤモヤを抱えながら、離婚を先送りにしているかたがたがひっきりなしに筆者の運営する夫婦仲相談所にやってきます。

今回の記事では、離婚を切り出す”適切時期”を、いろいろな角度から考えて見ましょう。もしかしたら離婚しないほうが幸せな一生をすごせる場合もあるかもしれません。

なお、本気記事の作成にあたってはMYパートナーズ法律事務所所属の弁護士、吉成安友氏に監修をしてもらいました。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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いつ離婚すればいい?誰かおしえて

裁判所が公表する2023年度の「司法統計」によると、婚姻関係事件(離婚調停)の申し立て理由のランキング1~5位は、以下のようになっています。

【男性】
1位:性格の不一致
2位:精神的な虐待
3位:異性関係
4位:浪費
5位:家族親族と折り合いが悪い

【女性】
1位:性格の不一致
2位:生活費を渡さない
3位:精神的な虐待
4位:暴力
5位:異性関係

男女とも1位は「性格の不一致」。抽象的な言葉ですよね。でもお2人はつき合ったんでしょって突っ込みたくなる。育ってきた背景などが異なる2人が夫婦になるわけですから、元々性格は一致しなくて当たりまえ。その溝がなかなか埋められないカップルが多いことを示しています。

また、「精神的な虐待」が2位と3位。「浪費」と「生活費を渡さない」が4位と5位となり、モラハラなどの精神的辛さと、お金が少ないと生きてゆけないの理由が上位に入っていることも注目すべきポイントです。

夫婦仲相談所でもこの2つに関する相談は多く寄せられます。

精神的な虐待は「暴言を吐く」「物を壊すなど威嚇する」のような相手に恐怖感を与えるものだけでなく、「無視する」「わざとため息をついたり、舌打ちをしたりする」「嘘をつく」のように相手を不安にさせたり不愉快にさせるものもあり、内容はさまざま。

パートナーのこのような行為を虐待とは思わず、自分を責めてメンタルに障害を抱えてしまったり、自信を失って相手に支配されてしまったりすると、その環境から抜け出すことが難しくなります。

一般的に離婚に踏み切るまでに時間がかかる例が多いのも、精神的虐待を理由とする離婚の特徴です。

経済的理由での離婚の相談は、近年の厳しい経済状況や格差の広がる社会状況を反映して、増加していると感じます。

共働き家庭が当たりまえになった昨今ではありますが、やはりまだ女性側の就労がパートなど非正規である場合も多く、パートナーの収入がないと生活が立ちゆかない例も少なくありません。子どものお迎えや、病気時の対応も母親に頼るケースが多いと聞きます。

しかし、離婚に踏み切れるだけの経済力がある女性はまだいいほうで、経済的に弱い立場であるからこそ、離婚に向かって動けない女性もたくさんいます。

どんな夫・妻だったら離婚したほうがよいのか。どこまでひどい仕打ちを受けたら離婚を切り出すのか。その線引きは一言では決められません。

それぞれが自分の離婚理由を過去、現在、未来にわたって考え、合理的に考えることが必要です。

そこで、以下のように離婚すべきかどうかを考えるシートを作成してみました(著作:恋人・夫婦仲相談所)。

夫婦仲のプロ監修「離婚可視化シート」でラインを考える

「ここまで来たら“離婚が正解”」のラインはどこ?専門家監修「離婚可視化シート」を記入して合理的に考えてみる

シートの縦軸は主な離婚理由です。

ランキングに上がっていた経済面、モラハラやDVなどの問題行動、浮気、性格の不一致による日常生活の問題の他、「愛情」「性生活」「家庭への貢献」「介護や看護」などを追加し、10項目に整理をしてみました。筆者の専門分野セックスレスは、性生活に括りましたが、実際はセックスレスだけでも10項目できるのでそれはまたの機会に。

横軸はそれらの課題を時系列に考える欄です。「過去に問題があった」「現在問題がある」「将来発生するリスクがある」という視点で、各理由について考えてみます。

たとえば下記は実際に、夫婦間に問題を抱え、離婚しようかと悩んでいる綾香さん(42歳 仮名)に記載していただいた例です。

「ここまで来たら“離婚が正解”」のラインはどこ?専門家監修「離婚可視化シート」を記入して合理的に考えてみる

もともと綾香さんの夫は結婚前から多額の借金のあるかたで、その返済に向けて複数の仕事を掛け持ちしていました。2人の信頼関係は十分にあったものの、夫の長時間労働から生まれる日常生活でのすれ違いや、家事育児への不参加という過去の問題がありました。

現在、綾香さんの夫は転職し、長時間労働はなくなったものの借金返済問題は継続中。過去のすれ違いから生まれた価値観の相違から、2人の信頼関係や会話の減少、セックスレスの問題が発生してきています。

夫は以前よりも家にいる時間が増えたにもかかわらず、家事や育児への参加は少ないままで、それに対する綾香さんの不満も大きく、家事分担に関する夫婦喧嘩も絶えません。喧嘩が起きるたびに夫が癇癪を起して壁に向かって物を投げるなど、モラハラ的な行動も見え始めています。

最後に未来に目を転じてみると、夫の借金の返済はあと10年ほど続きます。現在の仕事はとりあえず安定していますが、将来性という面では不安。価値観の違いから減ってしまった夫婦間の信頼関係や会話、セックスの回数などは、今後も回復することが難しそうな状況です。夫のモラハラ行動から、綾香さんがメンタルを病んでしまうリスクも考えられます。さらに一人っ子の夫の父母の介護も綾香さんにのしかかってくることが予想されます。

シートで夫婦関係の課題を可視化、新たなステップのヒントに!

こんな風に項目別、時系列に問題状況を整理していくと、何が主な原因で、そこから派生してどのような問題が生まれたのか。そして時間を追うごとにそれぞれの問題の深刻さが変化していくことがストンと胸に落ちます。

これを記入いただいた綾香さんは、問題の数(○)が将来にわたっても減ることが望めないなら、自分の幸せを自分で守るために離婚という選択肢を考える必要がある、という結論を出しました。

しかし夫に浮気など大きな過失はないため、離婚に向けた話し合いを有利に進めるため、まずはカウンセラーに夫のモラハラ行動に対する相談を行い、その回数や実態などを記録し始めたところです。

「夫婦間の問題が何なのかはっきりわからない」「離婚したいけど今一つ踏み出せない」という方は、一度この表を使って、夫婦間の課題を時系列で整理してみてはいかがでしょうか?

モヤモヤが可視化されることで、自分の次のステップへのヒントを得られるかもしれません。

 
 

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