一般的に、夫婦不仲の理由と言えば「性格の不一致」「暴力」「異性関係」「金銭的問題」などが頭に浮かびますが、意外な理由で不仲となるケースもあるそうです。
そこで今回は、「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに、過去に寄せられた、意外な夫婦不仲事情を紹介してもらいます。

子どもよりも自身の夜型生活を優先する夫(シオリさん 34歳・仮名)のケース
結婚6年目のシオリさん夫婦。彼女が30歳のときから不妊治療をはじめ、3年たってやっと授かった女の子が、今のシオリさんの宝物。慣れない育児に悩みながらも子育てしています。
「夫はフリーランスのWEBエンジニアで、自宅を仕事場にしています。会社員と違って働く時間や場所は自由ですから、結婚後も2人で海外旅行に行くことができたり、妊娠中も空いている平日の買い物に同行してくれたりなど、メリットがたくさんありました。
もともとうちのマンションは、リビング&ダイニング+夫婦の寝室+洋室1という間取りです。洋室が夫の仕事部屋で、複数のパソコンやモニター、本や書類であふれています。夜型で主に夜中に仕事をする夫は、作業に飽きると深夜にリビングに出てきて、ゲームをしたり、音楽をかけて筋トレをしたり、夜食を食べたりします。そのころ私は夫婦の寝室のベッドで寝ているので、夜中のリビングは夫が好き勝手に使える彼のパラダイスでした」。
2人だけで暮らしているあいだは、うまくまわっていたシオリさんの家庭。しかし、赤ちゃんが生まれたことで、生活に変化が出始めました。
「夫婦の寝室にはベビーベッドを置くスペースがなく、仕方なくリビングに置くことになりました。今までのように深夜に夫がリビングに出てきて、明かりをつけて物音をたてると、赤ちゃんが目覚めて泣き出します。最初はあやしたりしていたようですが、しだいに面倒になったのか、赤ちゃんのことは完全無視…泣き声をかき消すように、さらに大きな音で音楽をかけて、平気で筋トレをしています。私が『せっかく寝付かせた赤ちゃんを起こさないで』と文句を言っても、『俺だって家族のために仕事をしているんだから、休憩ぐらいしてもいいだろ!真っ暗なままでリビングにいろって言うのか』と、まったく反省したり行動をあらためたりする様子がありません。
おかげでうちの子は睡眠が不規則なためにミルクもあまり飲まず、体重も増えず、いつもぐずぐず泣いています。このままではこの子の心身の成長に問題がでるのではと心配です」。
子どもか夫かという2択であれば、「子どもを選びます」とシオリさん。当面は、夫が夜型の自分勝手な生活を反省してあらためるまで、実家に避難する予定とのことです。まだ離婚には至っていませんが、このままでは時間の問題かもしれません…。
風呂キャンセル界隈から「風呂不要」に過激化(ハルナさん 32歳/仮名)のケース
結婚2年目のハルナさん夫婦。マッチングアプリで知り合った2人はアニメ好きという共通の趣味から一気に距離が縮まり、交際半年でゴールイン。子どもはいない共働きカップルです。
「お互い実家暮らしで同棲をしなかったので、結婚して初めてわかったことがいくつかあります。夫はお風呂が大嫌いです。会社から帰宅すると、部屋着に着替えて夕食を食べてそのままソファーでスマホをいじったりゲームをしたりしながらゴロゴロして寝落ちします。そして朝を迎えるとスーツに着替えて、髪だけ直して会社に行きます。そしてまた帰宅後は同じ行動パターン。3日目に帰宅したときに、さすがに私が『風呂に入るまで夕飯は禁止』と怒ると、しぶしぶお風呂に入ります。黙っていたら3日目も風呂なしです。これが通常運転です。ちなみにセックスレスです。汚いひとと触れ合いたくないですから。
本人いわく、実家暮らしのころからお風呂が面倒で、昔からできるだけ風呂に入らないように生活していたのだとか。今もオフィスワークで汗をかかないし、肌や髪もドライ気味で脂ぎったりしないから毎日洗わないほうが調子がいいと、まったくあらためる気がありません」。
ハルナさんの夫は、昨今話題になっている「風呂キャンセル界隈」の人でした。これだけでも十分に夫婦不仲の原因になりますが、じつは夫にはさらなる問題があったのです……。
「夫は最近、私がお風呂に入ることを否定してくるようになりました。たぶん私が、風呂に入れとうるさく言うのが不満で、逆切れして攻撃してきているのだと思います。『人生に風呂は無用』と考えている夫は、もちろん風呂掃除はしないので、私が自分で掃除をしてお湯を沸かして入ります。すると『水道代がもったいない』、『ガス代がよけいにかかる』、『お金のむだづかい』とか『世界では飲み水に困っている人もいるのに』、『地球温暖化の原因を作っている』『石けんを使うことで環境破壊をしている』など…あれこれ説教をしてきます。自分が不潔なことを棚に上げて、偉そうに語るのがほんとにストレスです」。
風呂のことを除けば夫に不満はないと話すハルナさんですが、毎日のように行われる「風呂に入れ」VS「風呂に入るな」の言い合いに疲れ、離婚を考えているとのこと。
「きっと夫はこのまま一生風呂キャンセル界隈のままだと思いますし、私もむだな争いをしたくありません。まさか、こんな理由で離婚を考えるなんて、思ってもいませんでした」。
パートナーの習慣の把握と見直しは重要!
今回紹介したような「生活パターンの違い」「習慣の違い」は、小さなことかもしれませんが、話し合ってもなかなか変わることがむずかしいものでもあります。そして少しずつため込んだストレスが爆発したときが、離婚を決断するときとなります。
不満がジリジリ積もる離婚を避けるためには、結婚前に同棲や長期の旅行など、できるだけ相手のふだんの生活パターンや習慣を知ることができる機会を持ち、将来それがどんな影響をもたらすか、シミュレーションしておくことを結婚前の皆さんにアドバイスしています。
風呂キャンセルでセックスレスカップルになるなんて、とんでもない。セックスレス予防のためにもパートナーの習慣の把握と見直しを。