「大掃除」をしない夫婦は将来離婚の危険性が高い!? 熟年離婚する夫婦が「やっていない」こと3つ
2023/12/04
熟年離婚をする夫婦には「やらないこと」に共通点があるそうです。恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに解説してもらいます。
夫婦間の亀裂を生むのは小さなできごとの積み重ね
厚生労働省の「人口動態統計」によると、同居していた期間が20年以上で離婚に至った、いわゆる「熟年離婚」が増えています。
例えば、1980年だと熟年離婚に該当する件数は約1万1,000件で、離婚全体に占める比率も7.7%程度でした。これが2019年では約4万件へと増加し、離婚全体に占める比率も19.4%にまで上昇しています。
もはや他人ごとではない「熟年離婚」。気づかないうちに夫婦間に入る亀裂を生むのは、毎日の小さなできごとの積み重ねです。私が主宰する恋人・夫婦仲相談所に訪れた多くの熟年離婚夫婦の日常からわかってきた、離婚する夫婦が「やっていないこと3つ」。
これをひも解いてみましょう。
その1:相手の目を見て話すことをしない
「夫婦の会話量」は夫婦仲を測るバロメーターの1つです。
とくに用事もないのにグダグダと何時間もおしゃべりができるホットな恋人同士の関係からスタートし、夫婦の年月を重ねるうちに徐々に会話は減ってゆきます。馴れ合いにもなり、簡略化されてゆく夫婦の会話。
そのうちに、話しかけても「うん」とか「へえ」という短い相づち程度になります。それがさらに「知らない」「別に」のように突き放した返事になってくるころには、夫婦関係はだいぶ冷えてきています。そして最終形は話しかけても無視、無反応。ここまでくると熟年離婚に片足をつっこんだようなものです。
しかし、熟年世代になると夫婦仲の「冷え込み」は会話量だけでなく、別なところにも出てきます。それが「アイコンタクト」。
夫婦の会話はあるけれど、何だか冷たい雰囲気。そんな夫婦をよく見ると、「相手の目を見て話をしていない」という共通した特徴があります。例えば食事中に対面で座っていて、会話があるのに視線はお皿の上ばかり。あるいは新聞を読みながら適当に相づちを打つ。
何かほかの動作をしながら、宙に向かって話しているのが現状です。パートナーがあなたから視線をそらし、目を見ないで話を進める、返事をするようでしたら、危険信号点滅と思ったほうがよいでしょう。
その2:相手への「褒め言葉」が出てこない
「おはよう」「おかえりなさい」といった挨拶。「ありがとう」「助かったよ」といったお礼や感謝の言葉。
これらも夫婦間の愛情を測るバロメーターです。挨拶やお礼がない夫婦は冷え切っていると断定できます。そしてこれらの言葉とともに夫婦関係を測るのが、相手への「誉め言葉」の有無。
じつは挨拶やお礼の言葉は、意識をしなくても反射神経で口をつくこともあります。心がまったくこもっていない「ありがと」や「はいはい、おはよう」を聞いたことがありませんか?
「誉め言葉」は自分から相手のいいところを観察して探さないと口からは出てきません。そして、相手のいいところを探すことは、欠点を探すことより数倍労力がかかります。
その証拠に、今、頭の中にパートナーのいい点と悪い点を10個ずつ思い浮かべてみてください。おそらく、いい点よりも悪い点のほうが瞬時に頭に浮かぶでしょう。
相手のいいところは、かけら程度でも愛情がないと見つけられないのです。それをわざわざ言葉にして誉める行為も、相手へのリスペクトがないとできません。ハードルがとても高いのです。
すなわち、相手への愛やリスペクトの証拠が「相手への誉め言葉」。となると熟年離婚をする夫婦の間に「誉め言葉」がまったく存在しないのは納得いただけるでしょう。
その3:大掃除など協力が必要な作業で協力しない
ちょうどこのシーズンで言うと、「年末の大掃除」が典型的な「夫婦が共同でやる面倒な作業」の例です。
まず「夫婦が何かを共同でやる」ということが億劫になるのは、夫婦仲が冷えている証拠。なぜなら一緒に何かをしようとするには、事前に分担など予定を合わせるところから始まり、実際の作業中も相談や協力をするなど、濃密なコミュニケーションが必要になります。事前の買い物や、道具がどこにあるかの確認など二人で動くことが山積み。
「そんなコミュニケーションが必要なことはやりたくない」というのが、不仲な夫婦の普通の姿です。そしてその共同作業が「大規模な掃除」のような「できれば外注したい面倒な作業」であれば、なおさらやりたいとは思わないでしょう。
とくに「家の掃除」というのは、これからの自分たちの生活環境をよりよくするという、「未来に向けた作業」になります。自分たちの未来にパートナーと一緒にいる姿を想像できない夫婦は、家の中が汚れていたり、散らかっていることに無関心になりがちです。むしろ「私がきれいにしても、こいつが汚す」という苛立ちを芽生えさせる場合もあり。
つまり、年末に大掃除をする/できる夫婦は、自分たちが一緒に過ごす未来のために、面倒な作業を一緒に行うことをいとわない夫婦であり、離婚とは無縁。逆に大掃除をしない夫婦は、自分たちが一緒に過ごす未来に関心がない、離婚予備軍と言えるのです。
「エアコンの掃除手伝ってよ」「金払って業者に頼めばいいじゃん」――この会話が成立したら、結婚観のすり合わせをする時期かもしれません。
亀裂が入っていたら、小さいうちに修復のアクションを!
長い時間をかけて、静かに広がっていく夫婦の間の亀裂。今回ご紹介した視点で、パートナーとの関係をぜひ見直してみてください。
「小さいけれど亀裂が入っている」と感じたなら、小さいうちに修復のアクションをとりましょう。ちなみに仲よし夫婦は年齢問わず、大掃除のあと、ご褒美ディナーに行ったり、2人でお風呂に入り背中を流し合いっこしたりします。
仲よし夫婦はとことん仲よしです。大掃除を踏み絵として試してみてください。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。