日本語で辞表を持つ人の手

夫が突然の早期リタイア……「俺はFIRE目指すぞ!」と鼻息荒いんだけど、妻はどうすればいいの!?

2021/11/16

ある日突然、夫が早期リタイアを宣言……した場合、妻はどうすればいいのでしょうか?恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに対策を教えてもらいました。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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「もしかしたら俺でも……」と希望を持つ夫たち

近年、新しい早期リタイアの形である「FIRE」に注目が集まっています。FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった言葉で、「経済的自立と早期リタイア」という意味。

かつては「早期リタイア」といえば、スタートアップ企業の社長などがビジネスに成功し、自社を高額で大手企業に売却することで若くして大金をゲットし、その後は趣味や慈善活動をしながら自由気ままに暮らすイメージのものでした。

しかし、FIREは単に所有している多額の資産を消費して残りの人生をすごすのではなく、生活費を資産運用で稼ぎ、不労所得で生きていくというスタイルが主流。一般的な早期リタイアとは違って、たとえ大富豪でなくても一定の資産と投資のテクニックがあれば実現可能ということで「もしかしたら俺でも……」と希望を持つ人が増えているのかもしれません。

もちろんFIREが流行る以前も「脱サラして釣り師になりたい」「四国で農業民宿をやろう」などの言動で周囲をギョッとさせる夫はいました。いずれにせよ子どもがいて、家のローンもあって……という状態から突然のリタイア(あるいはリスタート)宣言をされた、妻の動揺は図りしれません。

「そんな夢みたいなこと言ってる場合じゃないでしょ。そんな余裕があるなら、私だって専業主婦がしたいわよ!」と、一喝したくもなりますよね。

今回は、もし夫が急にFIREなどの「ほんとに実現するのかさっぱりわからない夢」を語り出したときの対処について考えてみましょう。

【対処法1】計画表の制作&プレゼンを依頼する

プロジェクト、統計、インフォグラフィック、ビッグデータ、職場のミレニアル世代を発表する若い男性マネージャー
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夫が夢を語ってきたとき、頭ごなしにそれを否定しても、盛り上がってしまっている夫は聞く耳を持たないでしょう。

そんなときには、まず夫に計画表を作ってもらい、その内容についてプレゼンしてもらう機会を設けましょう。そして、その計画表にはやりたいことの実現に向けた計画に加えて、「家族の年表」もまとめて書いてもらってください。

夫個人の計画だけだと「40歳で○○する、45歳で○○を得る」など、とてもシンプルなものになりがち。しかし、実際には既婚男性のライフスタイルはもっと複雑な要素から成り立っています。

「40歳で退職する」と並行して「長男の小学校入学」「次男の保育園入園」などの教育資金の具体的な必要金額も入れ込みます。塾代なども正確に記入させましょう。「英会話教室が月1万円。1年で12万円……これを2人分だから24万円。長男はサッカー教室が月に5,400円で、これを6年分……」といった具合です。

金銭面での現実を突きつけられることで、将来の出費や子育ての負担が把握でき、FIRE生活への夢は急速にしぼんでいくでしょう。自分が担っている家族への責任感を意識してもらうには、妻が口頭で言うより、自分で気づくように仕向けることが効果的なのです。

【対処法2】第三者の意見を聞く

オフィスで働く若い男性キャラクター、窓の街並みビュー、職場のミレニアル世代
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同じ内容のアドバイスでも、妻が言ったら耳を貸さないが第三者であれば従うというケースはあるでしょう。その第三者が専門家であればなおよしです。

自治体の相談窓口のほかに、FPやそのほかの専門家とのマッチングサービスもあります。イマドキなら「やりたいこと」の専門家とSNSなどでつながって、情報をもらうこともできるかもしれません。最近はコロナ禍で、対面でなくオンラインで相談できるところも増えているので、利用のハードルも下がってきているのではないでしょうか。

もちろん「計画を諦めてほしい」ときだけでなく「計画を進める前に」専門家の意見を聞き、自分たちのプランを再検討するのも有効でしょう。

【対処法3】期限を設定したうえで「やってよし」と許可する

はいまたはいいえ、質問に答える若い女性のキャラクター、デジタルテンプレート、代替案
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さまざまな手段を講じてもパートナーの気持ちが変わらない場合、最後の手段としては「期限を決めて試してみる」ということになるでしょう。

「あのときお前が止めたから、俺の人生は……」とこの先ずっと愚痴られるぐらいなら、可能なものは実際にやってもらってみる。うまくゆけば万々歳。その際にはきちんと期限と目標を決めることが大切です。

「○月までに○○に合格しなかったら終了」
「○月末で、それまでの成果を確認する」

などの達成目標やゴールを掲げて、それの達成/未達成で判断するやり方です。これであれば、どんな結果であれ本人もあきらめがつきやすく、意外とあっさり結論が出るかもしれません。

とは言えお金のことは妻も勉強しておいて損はなし

FIREを目指す夫に、現実を知らせる方法を挙げましたが、お金を増やす方法を意識するという意味で妻もFIREをとおして、金融のことは知っておいて損はありません。

とりあえず、読みやすそうな金融関連の本を3冊程度は読んでみてください。なぜ夫がキラキラした目で語るのかが理解できるかもしれません。そしてもし「よし、力をあわせてFIREしよう!」となれば、それはそれで夫婦関係が強固になって結果オーライ。

FIREに向かうにせよ、地道にがんばるにせよ、夫婦の共通の話題で、将来を考える時間が増えるのはとてもいいことです。毎晩、ワクワクしながら夢を語る時間はかけがえのないものです。


夢が何もない人もつまらないけど、夢ばっかりの人もむずかしい。夢を追うなとは言いたくない。パートナーとしては、相手の夢のリアルな着地点を上手に探してあげられるといいですね。


◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

 
 

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