早期リタイアがあなたも可能に!? 30代・40代から注目を集める「FIRE(ファイア)」とは
2021/10/06
「FIRE(ファイア)」という言葉を耳にしたことはありませんか?アメリカ発祥の「早期リタイア」を選択するライフスタイルで、今日本でも、とくに30代、40代のかたにFIREを目指す人が増えているとか。節約アドバイザーの丸山晴美さんに、FIREの詳しい内容と現状を教えてもらいました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2021年9月時点の取材情報を元にしています。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「FIREってなに?」!
若いうちに経済的に自立して人生を謳歌する「FIRE」という生き方
「FIRE(ファイア)」とは「Financial Independence, Retire Early」を略した言葉で、直訳すると「経済的自立と早期リタイア」という意味。アメリカ発祥の新しいライフスタイルで、若い時から収入の大半を貯蓄や投資に回して経済的自立を果たし、早期リタイアして人生を謳歌するという考え方です。
今、日本でもこのFIREという生き方を目指す人が、20〜40代に増えていると言われています。私自身、さまざまなご家庭の家計診断をしていて、「早く会社や仕事を辞めて自由な時間を持ちたい」と望むかたが増えていると肌で感じます。
「早期リタイヤ」という生き方は、日本でも昔からありました。ただ、かつては終身雇用が根づいていたので、早期リタイアといっても、定年の60歳より少し早い55歳くらいで始めるイメージ。リタイア後は海外旅行などをして、優雅に悠々自適な暮らしを楽しむという、特権的なものでした。
一方、FIREは、30代や40代でも条件さえそろえばリタイヤできるという考え方。贅沢な生活を目指すのではなく、自分の時間、自分の人生を自分で決めたいという思いが強いのが特徴です。
終身雇用がくずれて景気も悪くなり、コロナ禍にも襲われた今の時代では、どんな会社や仕事も、明日はどうなるかわかりません。ならば自分の身を自分で守りながら、自分らしい人生を選びたいと考える人が増えているということなのでしょう。
節約派から贅沢スタイルまで。FIREにもさまざまなスタイルあり
ひとくちにFIREと言っても、実際にはいろいろなタイプがあります。以下の3つは主なものですが、ほかにもさまざまなものが出てきているようです。
リーン(Lean)FIRE
Leanとは「やせた、引き締まった」という意味も持つ単語。リーンFIREは徹底的に節約して、できるだけ少ない金額でできるだけ早くリタイアするFIREです。リタイア後も切り詰め、少ない生活費でやりくりするので、贅沢はできません。
ファット(Fat)FIRE
FatはLeanと逆に、「太った、脂肪」という意味です。ファットFIREは十分な資産を形成し、リタイア後も余裕のある生活水準をキープするタイプです。
バリスタ(Barist)FIRE
ある程度の資産を形成して早期リタイアしたら、それまでのフルタイム仕事は辞めますが、パートやバイト、ネットを利用した仕事などで生活費を補填しながら生活するFIREです。リタイア後も働き続けるので、少ない資産でも実現しやすく、リタイア後の生活もそれほど切り詰めなくても維持できます。
副業で収入を得るタイプを別に「サイドFIRE」と呼ぶこともあるようです。
実行するには「自分が働かなくてもお金が増える仕組み」を持つことがカギ
タイプによっては簡単にできそうに見えるFIRE。しかし、すべてに共通して忘れてはいけないのは、「リタイアした後もお金がかかり続ける」と言う点です。
若くしてリタイアすればするほど、その後の期間が長くなるので、必要なお金は大きくなります。その間には予測していなかった大きな出費が必要になる場合もあるでしょう。
比較的少ない資産でできて、節約生活が大前提となるリーンFIREでも、リタイアするまでに数千万円貯める必要があると言われています。
短期間にそのような大きな資産をつくるには、節約と銀行の預貯金だけではまず不可能です。そこでFIREの前提となっているのが、「投資運用」をすることです。この点が、いかにもアメリカらしい感覚でしょう。
仕事による収入以外に投資運用による収入を得られれば、早く大きな資産がつくれますし、リタイア後もその運用益を生活費として活用できます。
つまり、FIREをするには、こうした「自分が働かなくてもお金が働いてくれる仕組み」をしっかりつくることがポイントなのです。
さらに、若いときから金銭感覚を磨きつつ、節約もしっかり行うところもFIREの特徴です。リタイア後も節約生活をずっと続ける根性も必要で、パートナーがいる場合はパートナーの理解も必要なため、向き不向きがあるライフスタイルと言えるでしょう。
さて、あなたはFIRE、目指しますか?
取材・文/かきの木のりみ