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早期リタイアして人生を謳歌する「FIRE(ファイア)」に必要なお金とは?お金の専門家が解説

2021/10/16

早期リタイアして人生を楽しむ生き方「FIRE(ファイア)」。アメリカで生まれたこのライフスタイルを目指す人が、日本の30代、40代に増えています。日本でFIREするには、実際どのくらいのお金が必要で、どうすれば実現できるのでしょう? 節約アドバイザーの丸山晴美さんに聞きしました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2021年9月時点の取材情報を元にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「FIREに必要な金額」!

FIREに必要なお金は「年間支出の25倍」。でも、本当に大丈夫?

「FIRE(ファイア)」は、若いうちにある程度の資産をつくって早期リタイアする生き方。自分の時間や人生を自分で決めて自由に生きる、という思いが強いのが特徴です。ひと昔前の「55歳くらいでリタイアして、海外旅行などしながら贅沢に暮らす」というリタイアとは、全く異なるライフスタイルです。

日本でも今、FIREが注目されています。実際に日本でFIREをするにはどのくらいのお金が必要か、試算してみましょう。

FIREに必要な資産は、ざっくりと年間支出の25倍とされています。1カ月20万円で生活できる人なら約6,000万円。相当大きな金額ですが、単純計算すると、このお金で生活できるのは25年間です。

50歳でリタイアしたとしたら、75歳前後には資産0円になるということ。しかも、その間に病気や災害などで、突然大きなお金が必要になることも十分考えられます。
つまり、6,000万円では足りないということです。

ではなぜ、「年間支出の25倍」と言われているのでしょう。そもそもアメリカで生まれたFIREは、投資運用を積極的に行い、その運用利益で資産作りやリタイア後の生活を成り立たせていくというプラン。「投資運用」ありきなのです。

資産の中心が「預貯金」の日本ではFIRE実現はむずかしい!?

日本でも「NISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」などによって、投資運用がずいぶん身近なものになってきました。しかし、アメリカに比べるとまだまだ浸透しているとは言えず、投資運用で資産を増やすと言ってもなかなかむずかしいでしょう。

投資運用で短期間に大きな利益を得るには、リスクの高い商品に手を出す必要があります。リスクの高い商品は確かにリターンも大きいですが、逆に元本割れして損するリスクも高いもの。投資運用に慣れていない人が、最も手を出してはいけない方法です。

また、FIREのようなライフスタイルが流行し出すと、「短期間で大きく儲かります」とうたう詐欺まがいの商材や勧誘も多く出てくるもの。早く資産を増やそうとして、こうしたトラブルに巻き込まれないよう注意するリテラシーも必要です。「おいしい話」があっても、まずご自身でしっかりリサーチして勉強し、引っかからないことが重要です。

FIREには「バリスタFIRE」と言って、リタイアしたらフルタイムの仕事は辞めるけれど、週2〜3日だけパートやバイトをするタイプもあります。しかし、意に沿わないバイトをするのであれば、そもそもFIREをする意味があるのでしょうか。

これらを総合的に考えると、日本でFIREを実現するには、かなりハードルが高いと言えるでしょう。しかし、FIREにはサンキュ!世代の皆さんの参考にできる点、ぜひ取り入れたい点もあります。次にそれについてお話ししましょう。

今すぐ生活の中に「自分が働く以外の収入を得る仕組み」をつくろう

お金は「目標」がないと、なかなか上手に貯められません。そういう人がFIREを目標にがんばってみるのは、お金を貯める効果的な方法の1つになると思います。

特に、今の仕事がおもしろくない、好きでやっている仕事ではないという人は、「でも、この先に“好きな生活をする”という目標がある」と思えば、割り切れたりがんばれたりするのではないでしょうか。

FIREの資産作りテクも参考にしたい部分です。現在払っている毎月の出費を、節約などでできるだけ減らすようにして、その減らした分を投資運用に回してみましょう。貯金を減らすことなく、無理なくできる範囲で投資運用を始め、まずは「お金に働いてもらってお金を増やす」仕組みを生活に取り入れましょう。

これは、リタイアせずに普通に老後を迎える人にとっても、とても大事な考え方です。現在の女性の平均年寿命は90歳近く。長生きは素敵なことですが、生きている限りお金がかかり続けます。

現在30~40代の人が貰える年金の額は、今支払われている金額より下がると予想されており、年金だけで生活するのはむずかしいでしょう。その時、貯蓄を切り崩す生活はとても不安なものです。

だからこそ、「仕事以外で得られる収入」を増やしておくことが大切。それがあれば、老後も収入を得ることができ、生活の支えとすることができます。

投資運用に限らず、相続した土地を活用した駐車場経営などでもいいのです。「自分が働く以外の収入を得る仕組みをつくる」ことが重要なポイントです。とは言え、大きな借入が必要となる不動産投資などは、利回りや長期的なメンテナンスにかかる費用などをよく考えてから判断しましょう。

日本人はそういう部分が苦手な人が多いですが、これからはその仕組みをつくれる人が強いでしょう。FIREは不安定な時代を生き抜くために生まれたライフスタイルの1つです。良い部分を上手に取り入れ、生活に活かしていきましょう。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「シングルママのお金に困らない本」(徳間書店)、「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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