仕事に対して働く時間が短すぎ、いつもギリギリ。「年収の壁がなければもっと働けるのに」

立ちはだかる130万円の壁。時給が上がっても給料は増えない! やることはあるのに働く時間が増やせない! 

2024/01/25

スーパーマーケットでパートで働く小野さん(仮名)。

子育てや家事を優先してパートタイムを選択してきましたが、接客一筋でやりがいを持って働いてきました。スーパーのお仕事って、実は結構面白いんです。

が、できることややりがいが増えていくと、感じるジレンマもある様子…。

今回は、働く上での悩みやこれから目指したいことについて聞きました。

時給が上がっても年収の壁は変わらないから、働く時間を減らしていくことになる…

編集部: スーパーでのパート、とても楽しそうですが、不満はないのでしょうか?

小野:パートで働いていると、時間の制限が大きいです。年収の壁問題はありますね。年収103万とか130万とかの中でやっていくと、自分のやる仕事に対しての時間が足らないというのはあります。

私の場合、夫の社会保険の扶養から外れない年収130万円までとするためには、週4回1日4時間の範囲内。これが結構きつきつで、毎日時間に追われる感じなんです。

年末になるとさらに時間を絞るので、これもあれも間に合わないとかになるのですが、次に回さざるを得なかったり、他の人にお願いするしかなかったりとか。

編集部:なんだか切ない気もしますね。やってしまいたいのにできないというのは。

小野:今は時給も上がってきているので、なおさら働く時間が短くなっちゃうんです。時給が上がっても壁の額は同じなので、みんなどんどん働けなくなっちゃっています。

かといって新しい人を入れるっていうほどでもないし、難しいところなんですよね。

発注の仕事だけだったらいいのですが、売り出しをやるからどうするかを考えたり、ディスプレイを変えたりとか、そういうのもあって……。時間がないんです。

編集部:話は変わりますが、職場の人間関係ってどうですか?

小野:多少言い方のきつい人もいますけど、私は「はいはい」という感じですね(笑)。

むしろ職場がストレス発散になっているというか。年上の方も多いので、子どものこととか旦那の愚痴みたいなこととか、プライベートの悩み事なんかも話して、仲間みたいなところがあります。本部の方に「ここの店は私語が多い」なんて言われてしまうくらいです(笑)。

主婦が多いけれど、ママ友ともまた違う感じです。シングルの方もいるし、ご両親と同居してる人とか、いろんな環境の人がいるから、いろんな意見が聞けるというのはいいところだと思います。

編集部:それはいいですね。お金ももちろんだけれど、人間関係も重要ですものね。

安くなったタイミングで、大量に仕入れてみる。売り切ったときの達成感!

編集部:小野さんが担当している発注のお仕事には、資格などは必要ですか?

小野:何か資格が必要ということはないのですが、発注の仕事って観察と経験が大切というか。

季節によって売れるものがあったり、テレビで紹介されるとすごく売れちゃうとか、そういうのもあるので、いろんな情報に気を張り巡らせるようにしています。他のお店に行って売り場をよく見てみたり、何がいくらくらいなのかな?とか、チェックするようにしています。パート仲間との情報交換も欠かせません。

基本的には今はタブレットに情報が入っているので、それに沿って発注するのですが、プラスアルファで多めに発注したりする感じですね。

編集部:責任重大ですね。発注数を見誤ったりはしないんですか?

小野:緊張はします。発注しすぎてやばいってこともあります。でも、きっとこれ売れるなと思うものは、結構当たります。

例えば……、野菜ってよく高騰するじゃないですか。それがたまにガクッと安く入る時があるんです。

そういうのを一気に何十箱とか取って、大丈夫かなとドキドキするんですが、それが次の日きれいに空になっていたりすると「やった!」って思います。

大型店でさらに大きな発注をしてみる。商品そのものを決めてみる……そんなトライもしたい

編集部: ちょっと賭けみたいな感じで面白そうですね。じゃあ、発注の仕事に磨きをかけていきたい?

小野 そうですね、今は小さめの店舗なのですが、大きいところだと品数がまず違うので、大きい店舗でも挑戦してみたいなというのはあります。

店によっても傾向があって、若い人って無添加のものだとか、オーガニックとか見てるなあとか、結構そういうところにお金かけるんだとか、極端に分かれていたりするのも面白いです。若い人が多く来るお店だとまたちょっと違いますよね。

編集部:人間ウォッチングもしなきゃいけないし、マーケティング力が必要ですね。

小野:あんまりお買い物したことがなかったり、今の価格を知らないとか、そういう人だとこの仕事は向いてないかもしれないですね。

このお野菜はいつの季節に出るのか、いつが美味しいのか、こういう気温だからどういうお野菜を使うかとか。やっぱり冬になるとサラダっぽいものはあまり売れなくなってきたり、鍋系のキノコとかそういうものが売れたりとか、天気にもよりますし。

編集部:料理や家事をしっかりやっている主婦にこそ向いている仕事かもしれないですね。

小野:それはそうだと思います。その方が楽しめると思いますし。

パート仲間にはおすすめ上手な人もいるんですが、彼女はすごく料理が上手なんです。だからいろんなレシピを知っていて、これにも使えるよとか、あれに入れてもいいよとか、おすすめできるんですね。引き出しをたくさん持っているからすごいなと尊敬しています。

編集部:今後ですが、どうなっていきたいと考えていますか?

小野 今パートでやっていることをステップアップして、エリアトレーナーになりたいと思っています。

そういう人になると、今度はバイヤーさんと話ができるんです。決められた商品だけじゃなくて、新しく仕入れる商品も決められるんです。

例えば、鍋の素とかチョコレートとか季節ごとに商品があって、その都度バイヤーさんと話をして、じゃあ、今回は何を入れましょうみたいな話ができるので、それができたら面白いなと思っています。



スーパーの仕事は、仕入れ先の産地や製法など知れば知るほど面白いという小野さん。主婦力を生かすことで、さらに世界を広げ、飛躍できる可能性があることを教えてくれました。

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【話を聞いた人】
●小野舞子さん(仮名)43歳
夫、長女(22歳)、二男(14歳)の4人家族。結婚21年目。高校卒業後、接客業につき、結婚を機に専業主婦に。子どもが大きくなったタイミングで再び接客業のパートを始める。

○お仕事データ
勤務形態 パート
勤務時間 1日4時間 週4日
年収 約130万円
お仕事内容 スーパーのパート管理代行。
発注業務、受付、電話対応などが主な仕事内容。

小野舞子さん(仮名・48歳)
小野舞子さん(仮名・48歳)

イラスト/すぎやまえみこ 取材・文/尾崎真佐子 企画/サンキュ!コメつぶ編集部

 
 

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