砂時計と勉強または作業時間の画像。

「情報Ⅰ」って何のこと?2025年度大学入試「共通テスト」で何が変わるの?

2023/08/10

2025年度大学入試から「情報Ⅰ」が受験科目に!親世代の頃からどんどん変化する学校教育、ついていけていますか?今どきの教育・進学事情や新しい教育用語を、専門家にインタビュー取材します。

<教えてくれた人>
・進学指導のプロ 谷本祐一郎さん
ベネッセコーポレーション教育情報センター長。島根県総合教育審議会委員。国内最大規模の「進研模試」のデータ分析などをもとに「これからの大学入試」について指南。メディア取材や講演等も多数。

・ジャーナリスト 宮本さおりさん
夫の米国留学で新聞記者から専業主婦に。帰国後、子育て・教育分野を中心に執筆。『データサイエンスが求める新しい数学力』(日本実業出版社)著者。大学生と中学生の母。

2025年度大学入試から「共通テスト」で何が変わるの?

新たに「情報Ⅰ」という受験科目が加わります。

golubovy/gettyimages

2021年度入試から始まった大学入学共通テストですが、現在の高校2年生が受験する2025年度入試からは新課程を反映した変化が起こります。その一つが、「情報Ⅰ」の登場です。国立大学では、ほぼ全ての募集単位で共通テストの「必須受験科目」となることが決まっています。
実はこの世代では、既に新課程の学習指導要領による学びがスタートしていて、「情報Ⅰ」は高校で必ず履修する科目になっています。これまでも「社会と情報」や、「情報の科学」といった教科はありましたが、「情報Ⅰ」は格段に中身の濃いものとなっていて、「情報デザイン」「プログラミング」「データサイエンス」の3つを主な柱として学びます。具体的には、動画やデジタル素材を使ってPR物を作るなど、デジタルコンテンツを使ったコミュニケーションの方法、データの蓄積と管理、データ分析の方法などを勉強します。
入試で必ず受験しなければならないケースも増える一方で、これだけ盛りだくさんの内容にもかかわらず、まだ「情報」という教科を専科とする教員が不足しているという問題もあります。

「情報」の教科は誰が教えているの?

システム開発、プログラムコード、プログラミング、システムエンジニア、プログラマー、情報技術画像素材
CreativeJP/gettyimages

現在は数学や理科の先生が、追加で情報の免許を取得して教えている学校が多いです。旧課程の授業でも情報にまつわる科目がありましたが、パワーポイントやエクセルの使い方や、情報リテラシーがメインの授業だったため、なんとなくパソコンが得意という先生でも教えられました。しかし、新課程はプログラミングやデータサイエンスなど、学ぶ内容も広くなるため、今後は専科の教員も出てくると思います。(谷本さん)

新しい科目の追加で、受験生にどんな影響がある?

白い背景にシンプルなアナログ壁掛け時計。
kuppa_rock/gettyimages

ただでさえ長丁場の共通テスト。「情報Ⅰ」が加われば、それだけで試験時間はプラス60分となるのですが、加えて国語や数学でも、それぞれの試験時間が10分延長されることが発表されています。予定では、「情報Ⅰ」が追加されるのは最終日の最後の時間となっています。試験時間が増えるため、試験対策はもちろんですが、気力と体力を保てるようにすることも重要になりそうです。(谷本さん)

入試が変わる年は浪人生が減る

※ 大学入試センター公表資料より。
大学入学共通テスト(センター試験)の志願者数のうち、高等学校等卒業者(既卒者)人数の推移

24年度入試は受験で「情報」が必要になるとは思わず学んだ人が多いため、移行措置はあるものの、浪人を避けるために現役志向が高まりそうです。

参照:『サンキュ!』2023年8月号「今どきの教育事情どうなってるの?」より。掲載している情報は2023年6月現在のものです。プロップ制作/川村ちゃん 取材・文/宮本さおり 編集/サンキュ!編集部

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