2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。
番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。
<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、『レタスクラブ』編集部、ハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。32歳の長女一人。
●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。「はじめよう!フェムテック」を機に女性の健康や幸せについてさらに考えるようになり、知識のアップデートを心がける34歳。
<ゲスト>
●加藤雅俊 Masatoshi Kato
薬剤師・体内環境師・薬学研究者。大学卒業後、製薬会社に入社。研究所にて血液関連の研究開発に携わる。プロダクトマネージャー就任後、全国の病院を見てまわり毎年患者数が増えている医療現場に疑問を抱く。薬に頼らずに若々しく健康でいられるための食事+運動+心のケアを一緒に研究し、1995年に予防医療を目指し起業。ホリスティックな観点から健康をとらえ、サロンやセラピスト養成のためのアカデミーを展開。モデルや俳優の体内環境のケア、プロ野球チームやアスリートのコンディショニングケアも担当する。最新刊は 『1週間で勝手に血圧が下がっていく体になるすごい方法』(日本文芸社刊) 。YouTube『加藤雅俊の体内環境塾』 も好評発信中。
認知が広がりつつある「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートしたこの番組。ゲストは、薬剤師で体内環境師の加藤雅俊さんです。「この番組ではすっかりおなじみの加藤さん。今回は不足しがちな栄養素の一つである鉄分について、詳しく教えていただきました」(伊久美)
「鉄」補給には赤い食材! サプリは「ヘム鉄」と書かれたものがおすすめ
■東島アナ「ゲストは、この番組でおなじみの薬剤師で体内環境師の加藤雅俊さんです。今回は、フェムテックやフェムケアの記事でもよく見かける栄養素・鉄分について伺います。日本女性の半数は鉄分不足と言われているのですが、その理由はどこにあるのでしょうか」
■加藤「人間の体の血液は、酸素や栄養などを運搬する働きがあり、主に細胞に酸素を運んでいるのが赤血球です。その赤血球を動かしているのが鉄なのです。特に女性は生理があるので、男性と比べて鉄不足になりやすいわけです。また過度な健康志向やダイエットもその原因となっています。鉄が不足すると赤血球が細胞へ酸素を運べなくなり、結局貧乏な血、貧血になります」
■伊久美「貧乏な血か(笑)」
■加藤「貧血は、体内に酸素が行き渡らないので、頭痛やめまい、ふらつき、疲れやすいという症状が出てきます」
■東島アナ「これまで貧血や鉄分不足という認識はなんとなくありましたが、仕組みを知ることは大事ですね。改めて知識を増やしていきたいところなのですが、不足しがちな鉄分は、どのような食材で摂れるのでしょうか」
■加藤「赤血球を動かしているのは鉄。つまり赤血球の運転手が鉄っちゃん、鉄なのです。運転手がいないと、酸素は運べません」
■伊久美「運転手が鉄分の鉄ちゃん!(笑)」
■加藤「ただし、鉄が運転手になるには条件があって、鉄の周りにタンパク質をくっつけていないと機能できません。この鉄の構造をHeM(ヘム)と言い、鉄の周りにあるタンパク質のことをグロビンと言います。ですから、全体構造としてヘモグロビンというわけです」
■伊久美「なるほど~。これ、紙芝居でイラスト付きで見たいです(笑)」
■加藤「私も大学でこのように習いたかったです。ヘムという構造をもつ鉄がヘム鉄。サプリにヘム鉄とか非ヘム鉄と表記されて売られていますが、なんのことだかわかりませんよね!? 植物由来の非ヘム鉄は、タンパク質がくっついていないので、運転手としては不向きです。簡単に言うと、体内で“鉄募集”と号令がかかった時に、いろいろな鉄が集まってくるのですが、免許証をもっていない非ヘム鉄は、肝臓へ行きタンパク質をもらってこなくてはならない。ただ、往復3日もかかります。一方、タンパク質がくっついているヘム鉄はすぐに動ける。だから、動物性がよいのです」
■東島アナ「動物性の鉄、具体的な食材で言うと、なにが当てはまるでしょうか」
■加藤「やはり赤い色の食材ですね。例えばレバー、マグロ、赤身の肉です」
■伊久美「なぜ赤なのですか」
■加藤「金属の鉄をイメージしてください。鉄って酸素が加わると赤くなります。鉄をずっと焼くと赤くなりますよね。あれは、鉄に酸素が大量に入るので赤くなるのです。一方、酸素がなくなってくると黒っぽくなります。例えばマグロの刺し身は、時間がつと酸素が減り赤黒くなってきますよね」
■東島アナ「そうですね。赤色というのは、一つの目安ですね。どのようにいただきましょう?おすすめ料理はありますか」
■加藤「レバニラ炒めですね。あとはマグロの刺し身やカツオのたたき。赤身の肉だったら豚カツです。ビタミンも豊富ですし」
■伊久美「豚カツはヒレとロース、どちらがよいでしょうか」
■加藤「ロースです。ロースの脂身はオレイン酸が含まれているので、コレステロール値を下げてくれます」
■伊久美「ヘルシーなイメージのヒレを選んでしまいがちですが、ロースなのですね!」
■東島アナ「最近では、南部鉄器や鉄瓶で沸かしたお湯のお茶を飲んで鉄分を摂るという方法もよく耳にするようになったのですが、こちらはいかがでしょう」
■加藤「昔の人は、動物由来の鉄を摂るというわけです。その代わりに鉄瓶や鉄の包丁やフライパンを使ったり、漬物には鉄くぎを入れたり。このようにして、毎日少しずつ鉄を摂っていました。ですから、鉄瓶でお湯を沸かしてお茶を飲むというのは、最高じゃないですか!」
■東島アナ「おしゃれな鉄瓶も売っていますよね。また、選択肢の一つとして、鉄のサプリを摂るというのはどうでしょう」
■加藤「購入する際、ヘム鉄と非ヘム鉄があれば、ヘム鉄と書かれたものを選んでほしいです。また、多く飲めばよいというものではないので、用法用量は守ってください」
■伊久美「数あるサプリの中で、ヘム鉄と書いてあるものを選ぶというのは目安になりますね」
■加藤「植物性の鉄は動物性に比べると運ばれるのに3日もかかるし、5分の1くらいの吸収率しかないのです。だから動物性を摂っていただきたいです。非ヘム鉄を摂っても、ほとんど尿で流れてしまいます」
■伊久美「まずは、ヘム鉄を摂ることから始めますね」
■東島アナ「難しくなりがちなお話を分かりやすく教えていただき、ありがとうございました」
●次回も、薬剤師で体内環境師の加藤雅俊さんをゲストにお迎えします。
合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」
【番組インフォメーション】
『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にニッポン放送でオンエア。お聴き逃しのかたは『radiko』のタイムフリー機能で、放送1週間後までお聴きになれます。
●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/
●撮影/寿 友紀