小松菜、マスタードほうれん草

小松菜の驚くべき栄養成分~加熱による変化や効能を高める食べ方も伝授します~

2025/01/30

当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。

葉物野菜のなかでも、食べる機会が多い小松菜。ほうれん草と見た目が似ていますが、葉に丸みがあり、根元が白い方が小松菜です。

そんな小松菜は、β‐カロテンをはじめ、ビタミンC、カルシウム、鉄が豊富です。

そこで今回は、小松菜の栄養素について解説していきます。小松菜を使った、簡単で栄養バランスの良いメニューもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みくださいね。

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小松菜の栄養素と効能

小松菜の栄養素としてとくに注目すべきなのはβ‐カロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄、そして食物繊維です。

それではさっそく、それぞれの栄養素と働きをみていきましょう。


●β-カロテンの抗酸化作用がスゴイ!
野菜の色素成分であるβ‐カロテン。小松菜100g(おおよそ2株)あたりに含まれるβ‐カロテン量は3,100μgです。

同じ葉物野菜であるチンゲン菜のβ‐カロテン量は100gあたり2,000μg含まれることからも、小松菜に含まれるβ‐カロテンは多いとわかります。

β‐カロテンの特徴的な働きは、活性酸素と呼ばれる、身体を酸化してダメージを与える物質を取り除く『抗酸化作用』です。なお活性酸素は微量であれば問題ありませんが、多量になると動脈硬化などを引き起こす要因にもなります。

健康のためにも抗酸化作用を活用するとよいですね。

さらに、β‐カロテンは体内でビタミンAとして働き、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。のどや鼻の粘膜の健康を維持して風邪や病気になりにくい体を造るためにも、β‐カロテンをしっかりと摂っていくとよいでしょう。


●ビタミンCで美肌に
小松菜100gあたりのビタミンC量は39mgですので、成人男女の1日の必要量(100mg)の39%を補えます。

なお、私たちの皮膚や軟骨などを構成するコラーゲンが作られる際に、ビタミンCも必要になります。そのため、ビタミンCは健やかな肌を作るために欠かせない栄養素です。

ちなみに水溶性のビタミンは体に蓄えられないため、小松菜などの野菜を活用して、毎日こまめに補っていきましょう。


●カルシウムが骨を丈夫にする
小松菜100gあたりのカルシウム量は170mgです。牛乳おおよそコップ半分(100ml)に含まれるカルシウム量は110mgですので、小松菜のカルシウム量は多いといえます。

参考までに1日あたりのカルシウムの推奨量は、30-60代の男性は750mg、女性は650mgと定められています。

カルシウムは、骨や歯の構成成分です、カルシウムは日本人に不足しがちな栄養素ですので、さまざまな食べ物から意識して補うことが大切です。


●鉄で貧血予防
小松菜は鉄も多く、100gあたり2.8mg含まれています。

鉄といえばひじきを思い浮かべますが、鉄窯で茹でたひじき100gあたりの鉄は2.7mgですので、小松菜に含まれる鉄の量が多いとおわかりいただけるのではないでしょうか。

実は小松菜に含まれる鉄は非ヘム鉄と呼ばれ、あまり吸収が良くないものです。そのため、小松菜を食べるときには、鉄の吸収を良くする動物性のたんぱく質やビタミンCと一緒に摂るようにしましょう。

なお30-60代の男性は1日あたり7.5mg、女性は6.5mg(65歳以上は6.0mg /月経ありの場合は10.5mg~11.0mg)が鉄の推奨量です。不足しないよう、取り入れていきたいですね。


●食物繊維が腸内環境を整える
小松菜には食物繊維も含まれ、100gあたりに含まれる量は1.9gです。

参考までにレタス100gあたりの食物繊維量は1.1gですので、野菜の中では小松菜に含まれる食物繊維は多いといえます。

ちなみに食物繊維は、便通を促し整腸作用が期待される栄養素です。18~64歳の場合、男性は1日21g以上、女性は1日18g以上が食物繊維の目標量として定められていますので、毎食欠かさずに摂るようにしたい栄養素です。

小松菜はカルシウムの吸収率が悪い?

お伝えした通り、小松菜にはカルシウムが多く含まれていますが、乳製品と比較してカルシウムの吸収率はあまり良くありません。

なぜなら野菜の一部には、カルシウムの吸収を妨げる物質が含まれている場合があるからです。そのため効率よくカルシウムを摂取するには、吸収を促す栄養素が必要になります。


●ビタミンDと一緒に摂取しよう
カルシウムの吸収を良くする栄養素として、ビタミンDがあります。

そしてビタミンDはきのこ類や魚に多く含まれる栄養素ですので、小松菜と一緒に摂取するとよいでしょう。

茹でると栄養素が変化する?

小松菜のノリアエ
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小松菜は茹でてお浸しにして食べることも多いですが、栄養素によっては量が変化するものもあります。

では生と茹で、それぞれの栄養素量の変化をみていきましょう。

【小松菜の栄養素量(100gあたり)】

βカロテン ビタミンC  カルシウム   鉄   食物繊維
(μg)   (mg) (mg)   (mg)   (g)
小松菜(生) 3100 39 170 2.8 1.9
小松菜(ゆで) 3100 21 150 2.1 2.4


上記の通り、小松菜を茹でてもβ‐カロテンの量は変化しませんが、ビタミンC、カルシウム、鉄の量は減少します。また食物繊維の量は茹でた方が多くなっていますが、これは茹でることで水分が減り、100gあたりの小松菜の質量が増えたことによるものです。

とくにビタミンCは水に溶けるビタミンであり、さらに熱に弱い性質があるため、茹でることで量が減ってしまいます。そのため、できるだけ短時間で茹でるようにするといいですね。

栄養・効能がアップする食べ方
小松菜の栄養素を効率よく摂取するには、油と一緒に摂るのがオススメです。なぜならβ‐カロテンは、油と一緒に摂ることで効率よく吸収されるからです。

そこで小松菜を調理する際には炒め物や油を使った和え物にすると良いでしょう。

美味しくて栄養バランス抜群な小松菜レシピをご紹介

では、美味しくて栄養バランス抜群な小松菜のレシピをご紹介します。

茹でて食べることが多い小松菜ですが、炒め物にするとシャキシャキした歯ざわりがさらに楽しめます。

具材で使うツナ缶は、小松菜に含まれるカルシウムの吸収を促すビタミンDが豊富です。そして動物性のたんぱく質で、鉄の吸収も良くなります。さらに、ごま油で炒めるので、β‐カロテンの吸収率がアップ。

塩昆布のうま味とツナのコクで、シンプルながらも深い味わいになる炒め物で、あと1品足りない時にもぴったりです。

【小松菜の塩昆布炒め】

【材料】~作りやすい分量~
・小松菜       2株
・ツナ缶(油漬け) 1缶
・塩昆布       12g
・ごま油       大さじ1.5

【作り方】
①小松菜は3㎝幅のざく切りにし、根元と葉の部分に分ける。
②フライパンにごま油を入れ、小松菜の根元を炒め、しんなりしてきたら葉の部分を加える。
③ツナ缶を油ごと加え、さらに塩昆布を入れて炒め合わせて、できあがり。

※塩昆布はメーカーによって味が異なりますので、味をみて調節してください。

小松菜とほうれん草の栄養面での違いは?

では、見た目のよく似ている小松菜とほうれん草は、栄養素にどのような違いがあるのか解説いたします。

【小松菜・ほうれん草の栄養素量(100gあたり)】


βカロテン ビタミンC カルシウム 鉄 食物繊維
(μg) (mg) (mg) (mg) (g)
小松菜(生) 3100 39 170 2.8 1.9
ほうれん草(生) 4200 35 49 2.0 2.8


上記の通り、小松菜の方がビタミンC、カルシウム、鉄が多く含まれています。一方で、ほうれん草はβ‐カロテンと食物繊維量が小松菜を上回ります。

小松菜はシャキシャキとした食感とアクの少ない点が特徴であり、ほうれん草は歯ざわりが柔らかくほのかな甘味があります。自分の摂りたい栄養素や料理に合わせて、小松菜とほうれん草を使い分けると良いでしょう。

まとめ

今回は、小松菜の栄養について解説しました。

小松菜は、β‐カロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄、食物繊維といった栄養素を補える野菜です。

栄養素を効率よく摂取するためにも、ビタミンDや油と一緒に食べると良いでしょう。

ご紹介しました小松菜の塩昆布炒めのレシピもぜひお試しくださいね。

それでは当記事を参考に、健康のためにも小松菜を活用していただければ幸いです。


■参考文献
・食品成分データベース
・e-ヘルスネット 緑黄色野菜 コラーゲン カルシウム 鉄 食物繊維
・健康長寿ネット  ビタミンAの働きと1日の摂取量 ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量 カルシウムの働きと1日の摂取量
・厚生労働省 日本人の食事摂取基準

■教えてくれたのは・・・

シンクヘルスブログ編集部

糖尿病に強みを持つ健康管理アプリを展開するシンクヘルス社のオウンドメディア。ダイエット、糖尿病の食事、マインドフルネスなど幅広い健康情報について、管理栄養士や臨床心理士、運動指導士などの専門家陣が確かな根拠をもとに執筆している。

 
 

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