家事分担の前に「夫婦の会話」がないことが問題だ!
2018/10/09
男と女は考え方が違う、ということをよく耳にしますが、夫婦再生カウンセラーの下木修一郎さんによると、「男は結論が欲しい、女は共感が欲しい」のだそうです。心当たり、ありませんか?下木先生に、夫婦の会話不足が引き起こす家事シェア率の低さについてご意見をもらいました。
夫に家事を頼む前に、まずは夫婦の「会話不足」に気づくべし
「家事シェア」なんて言葉が普及していますが、夫に家事を依頼するのって、実はなかなかハードルが高いものです。だって、子どもに関する話は山ほどしても、夫婦間の会話が減っているのが現状ですからね。
特に、パートナーの「がんばりを聞く」というコミュニケーションが不足しています。お互いのがんばりが当たり前になっちゃってる。夫の帰宅後にお疲れ様と言ってますか?ご飯を作った後にありがとうと言われていますか? 昔は言っていたのに、いつのまにかなくなっていますよね。
「がんばりを聞く」というコミュニケーション不足が起こす感情は2つ。
“承認不足”と“不平等感”です。「私の方が育児も仕事もがんばっているのに」とか「なんでわかってくれないの」という感情ですね。これは女性に限らず男性だってある感情。
ほおっておくと大変。会話不足どころか、貯まりすぎると怒りへと発展します。まずは爆発する前にそこからメンテナンスしていきましょう。
相手がしてくれたことをノートに書いてみよう!
では、質問です。昨日、パートナーがあなたのためにしてくれたことを5つ上げてください。そんなにない?それとも思い出せない?おそらくどちらもでしょう。普通の生活をしていると、パートナーはあなたのために5つ以上のことを必ずしています。
思い出すために、お互いにノートに書き出してみましょう。お風呂掃除をしてくれた、ご飯をついでくれた、子どもの服を着せてくれた…けっこうあるものです。それでもわからなかったら、ぜひパートナーにたずねてください。これこそ立派な会話です。そして書き終ったら、このノートを相手に見せましょう。
書き出すことで見える3つのメリット
①相手のがんばりが見えてきます。私がアレをやっている時に彼はコレをやってくれていたんだなーといった感じです。
②精神的ゆとりが生まれます。自分に関心をもっていることがわかるからです。
③家事分担できる割合が見えてきます。お互いの家事や仕事が視覚化されるからです。
ノートを書いてみるとわかるのですが、一番最初に分かることは「相手を見ているようで、見ていない」ということです。
しかし書いていくうりに、相手が愛情をもってくれているんだ、という気づきを得られ、とても豊かな気持ちになれます。
お互いが見せ合うことで、相手が自分のことを書いてくれたことに嬉しく思います。
他者が自分のことを書いてくれること、承認、評価。嬉しいものです。
相手から関心を持たれることは、とても幸せなことですね。
そして、文字による視覚化で、互いの負担が見えてきます。
こんなにやってくれていたんだ。もう少し俺もやってみようかな、という気持ちになります。
男と女が求めるものはそれぞれ違うけど、埋め合わせるのも夫婦
冒頭にも触れましたが、夫は結論が欲しい、女は共感が欲しい。妻はついつい「いつも私ばかりトイレ掃除。たまにはやってもらうために、ほったらかそう」といった、“気づいてもらいたい衝動”が働きます。でも夫はずっとトイレ掃除をしないでしょう。そんな駆け引きはまったく通じず、結論が欲しい夫には「トイレ掃除してほしい」と言う、ただそれだけなのです。
いっぽう、夫も共感を求める妻のために「トイレ掃除って大変だなあ」の一言をかけてあげるべきなのです。たったその一言のコニュニケーションが、思いやりを生み、ひいては今はやりの「家事シェア」にもつながっていくのです。
「聞く」というコニュニケーションは家事シェアに限らず、夫婦の関係性を一層深く良いものに変えていきます。だまされたと思って、ぜひ「ノートに書き出す」ことをやってみてください。お互いが見え、ゆとりも生まれ、家事分担がより明確になることでしょう。
*2018年9月「夫婦と家事に関するセミナー(パナソニック)」にて発表された内容を一部まとめています
■教えてくれのは……下木修一郎さん
夫婦再生カウンセラー。夫婦再生カウンセリング名古屋代表カウンセラー、NPO法人日本結婚教育協会 愛知支部員。各TV,女性誌に多数出演、youtubeでも絶大な人気を誇る。
取材・文/サンキュ!編集部