いつもの「ナポリタン」を劇的においしくする“ひと工夫”を紹介
2019/11/06
サッと作れて、味つけもシンプルな「ナポリタン」。だれが作ってもある程度のおいしさは保証されますが、実はいつもの工程にひと手間加えるだけで、お店で食べるような仕上がりになるんだとか。グルメライターとしても活躍する増田剛己さんに、取材を通じて知った秘伝の「ひと手間」を教えてもらいました。
そもそも、おいしいナポリタンとは?
ナポリタンは不思議な料理です。パスタを使っていて、名前には「ナポリ」が含まれるのでイタリア料理なのかな? と思うかもしれませんが、イタリア料理店で見かけることはまずありません。ナポリタンがいただけるのは、ファミリーレストランを除けば、昔ながらの洋食屋さんや喫茶店がメイン。
そしてもう1つ不思議なのが、材料も調理方法もシンプルな料理のはずなのに、家で作ったナポリタンとお店でいただくナポリタンでは、だいぶ味が異なるところ。調べてみると、その差は少しの「ひと手間」にあるようです。
近年、立ち食いそばのような感覚で楽しむ路面スパゲティー、略して「ロメスパ」と呼ばれるお店のナポリタンに注目が集まっています。今回はそんなロメスパ店で出されるようなナポリタンを、プロに聞いたテクニックで再現する方法をご紹介します。
コツ1:太めのパスタを通常のゆで時間よりも1、2分長く!
とあるロメスパ店のスタッフに話を聞いたところ、ナポリタンで使うパスタはできるだけ太麺がいいとのこと。上の写真で使っているのは2.2mmの太麺です。この太さになると、普通のスーパーにはなかなかお目にかかれないので、ネット通販などで購入する必要があるかもしれません。
また、ゆで時間も重要なポイント。パッケージに表示されているゆで時間よりも、1~2分長めにゆでましょう。パスタのおいしいゆで方としては、少ししんを残した状態にするアルデンテがよく知られていますが、ナポリタンの場合はその逆。しんがなく、全体が柔らかくなっている状態がベストです。
コツ2:麺は一晩ねかせると、もちもち感がアップ!
おいしいナポリタンの特徴といえば、もっちりとした食感。コツ1で紹介した「太麺&ゆで時間長め」はそれを再現するためのひと手間ですが、よりお店の味に近づけたいなら、もうひと手間加えましょう。ただし、結構時間がかかるひと手間なので、余裕があれば、です。
新橋にあるロメスパ店のご主人に伺ったのは、ゆで上がった麺を一晩ねかせるというもの。ねかすことで、いわゆる麺が伸びた状態になり、もちもち感がよりアップします。ねかせる際には、ゆで上がった麺にオリーブ油をよくからめて、1食分(200~300gが目安)ずつラップに包んで冷蔵庫へ入れるのがプロのやり方。余った場合は冷凍保存しておきましょう。
コツ3:材料や調味料はできるだけシンプルに!
せっかくひと手間かけて作った“もっちり麺”の味を存分に楽しむためにも、具材は入れすぎないのがおすすめ。写真は1人分の材料。一晩ねかせた麺、玉ねぎ4分の1個、ピーマン1個、しめじ数本、ウインナーソーセージ2本、ケチャップ大さじ3、ウスターソース大さじ1。調味料もいろいろと入れたくなるところですが、できるだけシンプルなほうがおいしく仕上がるそうです。
コツ4:まずはケチャップを加熱して、酸味をとばす
いよいよ調理です。ここで重要なのは、最初にケチャップを入れること。用意したケチャップの半量をフライパンに入れたら、加熱し、酸味をとばします。続いて具材を入れ、そこに少量のオリーブ油を加えて、残りのケチャップと混ぜたら麺を入れます。この時点で具材はほとんど炒めていません。
本格的に炒めるのは、最後の調味料ウスターソースを加えたあと。中火で麺と一緒に具材を炒めていきましょう。
コツ5:ちょっと焦がすのがポイント
浅草にあるロメスパ店のナポリタンは、絶妙な焦げの存在もおいしさを演出する重要なポイントになっています。今回のレシピはケチャップの量がやや少なめで薄味なのですが、それは焦がすことでケチャップの風味や香りがより強調されるから。また、薄味のほうが、粉チーズやタバスコをかけることでおいしくなるそうです。
肝心の焦がし方ですが、中火で5~6分程度炒めましょう。料理を焦がすのはやや勇気がいりますが、ひるまずにやりましょう!
ちなみにロメスパ店のナポリタンにはケチャップ味だけではなく、カレー味、オイマヨ味(オイスターソースとマヨネーズ)なんてのもあります。今回紹介したひと工夫を参考にしつつ、いろいろなアレンジを楽しんでみるのもおすすめです。
監修・文/増田剛己
WEBや雑誌などで散歩関係の記事を書いているフリーライター。主な著書に『歩考力』(ナショナル出版)、『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎新書)などがある。