「子連れでの不妊治療に罪悪感」「2人目を望むのは親のエゴ?」――“2人目不妊”の実情とママの苦悩

2019/05/11

「卵子の老化」など、妊娠にはタイムリミットがあることが近年、メディアなどでも取り上げられるようになりました。

第1子の妊活は広く一般的に知られるようになりましたが、じつは2人目をなかなか授かることができずに悩む人が増加傾向にあります。なかには受診者の約4分の1が2人目の不妊治療を受けているというクリニックもあるそうです。そしてそこには、2人目妊活ならではの苦労や苦悩があります。

現在、神奈川県に在住のMさん(43歳)は、約7年に及ぶ不妊治療の末、ようやく第1子となる長男(6歳)を授かり、その後第2子の二男(3歳)も不妊治療をして授かりました。

“2人目不妊”で感じたつらさや悩みなどについて、当時を振り返って話してもらいました。

(取材・文/みらいハウス 福井良子)

すぐに授かると思ってスタートした第1子の不妊治療

――いつごろから不妊治療を始めたのですか?

28歳で1歳年上の夫と結婚して、1年ぐらいたったころから不妊治療を開始しました。20代で不妊治療を始めた理由は、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)があったからです。

初めは産科が併設されているクリニックを訪れ、妊娠から出産までお世話になろうと考えていました。当時はまだAMH検査(※注1)は行われていませんでしたが、医師から「卵子の在庫数が少ない」と告げられ、ショックを受けました。

その後、夫の転勤のため、愛知県から神奈川県へ引っ越すことになり、別のクリニックへ通院することに。しかしそこでも妊娠できず、さらに別のクリニックへ移りました。そこのクリニックでは、体外受精を2回行いましたが、2回とも卵が育たず受精卵ができませんでした。そのとき31歳。「まだ31歳なのに卵が育たないなんて」と相当落ち込んだことを覚えています。

再び、夫の転勤で愛知県に戻ることになり、また違うクリニックで治療を続けました。そのときに以前から患っていた卵巣嚢腫の手術を行ったあと、顕微授精を3回行いましたが、妊娠には至らず、また別のクリニックに通院しました。そこでも卵が育たず受精卵すらできない周期が何度も続き、1年ほど治療をお休みすることにしました。


――一度治療を休んだあと、もう一度取り組むようになったきっかけは?

やっぱり子どもが欲しい、その思いで再開しました。ちょうどそのタイミングで、人気の不妊専門クリニックが、近くに分院を開院することがわかり、すぐにそのクリニックへ通院することにしました。それからは毎周期休まずに通院しました。

また、そのタイミングで知人にコーチングもお願いしたんです。その方は、ふだんは企業の管理職向けのコーチングをしている方で、不妊の悩みについても特別に相談に乗ってくれました。コーチからメンタル面でのサポートをしてもらったことで、「あきらめなくてもいいんだ」と自信が持てるようになりました。そうして約1年後に妊娠が判明。37歳で待望の長男を出産しました。

※注:アンチミューラリアンホルモン(または抗ミュラー管ホルモン)を測る検査。卵巣の中に卵子がどのくらい残っているかを調べるための血液検査で、卵巣年齢、卵巣予備能検査とも呼ばれる。

長男が1歳のとき、2人目の不妊治療を開始

――1人目の妊娠で大変な苦労をしながら、2人目の治療を開始したのは、どのような理由から?

結婚当初から、よく夫婦で「子どもは2~3人はいたらいいな」と話していました。長男が生まれてからもその思いは変わらず、「彼が1歳になったら、また考えよう」と話していました。

そして長男が1歳を迎え再びクリニックを受診。採卵すらできない周期が半年ぐらい続いたため「やはり年齢的に厳しいのかな」と弱気になっていたところ、夫から「妊娠できる年齢は限られている!」と背中を押されたのです。費用面での不安に関しても「お金は後からどうにでもなる!」と言ってもらえました。

夫はものすごくポジティブな考えの人で、「男の子が2人いていっしょにキャッチボールをするのが夢なんだ」と強く願っていました。その熱い思いが治療に踏み切る後押しだったかもしれません。

子連れで通院することに「罪悪感」が……

――“2人目不妊”の通院、どのような苦労があったのでしょうか。

初めに通った神奈川県のクリニックは子連れOKでした。ただ、長男の治療のときに子ども連れの患者さんを見て、私自身あまりいい気持ちがしなかったので、いざ自分が子連れで通院するとなったとき「私たちのことを見て、嫌な思いをする人もいるだろうな」と罪悪感を覚えました。

また受診中は長男を抱っこしながらの採血や、おなかにのせて内診など、私の都合で長時間待たせたり不自由をさせたりしてしまって、長男に対しても「申し訳ない」という思いが強かったです。

一方、そのあとに新幹線で通った愛知県のクリニックは子連れおことわりだったので、クリニックの近くにある保育園を2~3ヵ所探して、ようやく預け先を見つけることができました。近くに両親など頼れる親族もいなかったので、預け先の確保には本当に苦労しました。


――急な通院時などの対応は?

採卵日などは前日に急に予定が決まることもありますが、急な申し込みでも預かってくれる預かり先を探すのがとくに大変でした。

「採卵日は朝7時半に来てください」と言われ、なんとか預け先を見つけたのですが、選択肢もなくてあまり雰囲気がよくない園にあたってしまい、いつもは泣かずに笑顔でいる長男が、その保育園に預けるときだけ嫌がって泣きました。

心のなかで「ごめんね」と謝りながら、私も泣きたい思いに駆られながら子どもを預けてクリニックへ向かいました。

「2人目を望むことは単なる親のエゴなのか?」という悩み

親と子の手が白い花を渡す
Hakase_/gettyimages

――1歳の長男を連れて通院するのは大変なことだったと思います。

遠方なので週1回程度の通院にしてもらうなど配慮してもらったのですが、さすがに毎週のように新幹線での移動となると、初めは喜んでいた長男もだんだんと疲れてグズりだすようになりました。そのたびに「静かにしなさい」と怒ってばかりで、長男には負担をかけていたと思います。

「病院に通っていなければ、今ごろは子育て支援センターや公園で遊んでいられるのに」と思うこともあり、長男に我慢を強いてまで治療を続けることに意味はあるのだろうか、2人目を望むことは単なる親のエゴなのではないだろうか…と心底悩みました。

今思えば、2人目ができないことの悲しみよりも、治療に費やす時間によって息子と過ごす時間が奪われてしまっていることが、いちばんつらかったかもしれません。そんな思いを抱えながら通院を続け、半年が過ぎたころに二男の妊娠が判明しました。


――2人目の不妊治療を考えているかたに向けて伝えたいことはありますか?

2人目の不妊治療中は、長男のときに感じたのとは違う、また別の思いで悩んだというのが正直なところです。実際に子どもがいると自分の我慢だけではすまない状況がたくさん出てきます。そういう状況が続いたときには「なぜ子どもが欲しいのか」ということを深く掘り下げて考える必要があるようにも思います。

まずは目の前のお子さんと向き合うことを大事にしてほしいと思います。治療中はどうしても時間的に余裕がなくなることも多いですので、例えば「1日30分でもじっくり子どもと過ごす時間をつくる」というような工夫をするのもよいと思います。

◇◇◇

Mさんは、不妊治療がつらいとき、ときには涙を流して「治療をやめたい」と夫に漏らすこともあったそうです。そのたびに、夫婦で子どもについて何度も話し合いました。

「自然に子どもを授かりたい」。子どもが欲しいと願うカップルであれば、だれしも一度はそう思うのではないでしょうか。しかし、自然に妊娠できるカップルばかりではありません。不妊治療には、時間やお金など多くの犠牲も伴います。

さらに2人目の不妊治療となると、上のお子さんの預け先などの問題も加わります。場合によっては、1人目との時間を優先させるために、治療をやめることも “2人目不妊”における選択肢のひとつでしょう。

「自然に妊娠できていたら、子どもを持つ意味を夫婦で向き合って考えなかったかもしれない」というMさんの言葉が印象的でした。

取材・文/みらいハウス 福井良子
東京・足立区にある育児期の女性支援拠点「みらいハウス」のライティングメンバー。キャリアコンサルタントや不妊カウンセラーの資格を持ち、女性のキャリア相談や、不妊経験のあるママたちの支援などに取り組んでいる。1児の母。

構成:サンキュ!編集部

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