生理と閉経・尿もれ、実はわりと真剣な下の方の悩み…プロが答えます
2022/12/01
はっと気づいたら、あっという間に40代。産んでいても、産んでいなくても、あれやこれやと気がかりが出てくるお年ごろ。40代の悩みで最も多いのは、実は「下のほうの悩み」でした。ママ友にも話しにくい、デリケートな悩みにお答えします。
<教えてくれた人>
●対馬ルリ子先生
産婦人科医師。女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長。02年に「対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座」を開院。03年にNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立。理事長として全国の女性医師・女性医療者と連携している。
●丸尾伸之先生
産婦人科医師。淀川キリスト教病院 産婦人科部長。女性支援をライフワークとし、マタニティフェスなどのイベントを通じ妊婦と出産・育児のプロとの交流の場を提供。妊娠・子育て期の体調不良対策がテーマの医療セミナーも行う。
尿漏れ
原因はさまざまですが、『サンキュ!』世代に多いのは、くしゃみやジャンプすることなどにより尿が漏れる「腹圧性尿失禁」。妊娠や出産による骨盤底筋のダメージが、将来尿漏れを起こす要因にもなります。
■専門家からのアドバイス
骨盤底筋の衰えの原因は1.妊娠と出産、2.加齢と閉経、3.肥満の3つです。骨盤底筋が衰えると膀ぼう胱こうの位置が下がり、尿道を締める力も弱くなります。この状態でくしゃみやジャンプなどをするとおなかに力がかかって膀胱が圧迫され、その圧力に尿道を締める力が負けて尿が漏れてしまうのです。1セット25 秒の骨盤底筋トレで骨盤底筋を鍛えれば尿漏れは改善できます(対馬先生)
■骨盤底筋トレ
(1)足を肩幅の広さに開く
(2)おなかには力を入れず、肛門、膣、尿道を順番に締める。おしっこを我慢するイメージ、おならを途中で止めるイメージで締める。5秒キープしたら、ゆるめる
*2を5回繰り返す。筋肉の収縮を感じながら行うのがポイント。
※出産後間もない人が骨盤底筋トレを始める時期の目安は、出産による会陰部の痛みが落ち着いたころですが、医師や助産師に相談し骨盤底筋の回復状況を確認してからにしましょう。
生理と閉経
生理に変化が起こり始めるのは40歳すぎ。閉経は50歳ごろ。とはいえ個人差が大きく症状もまちまちなので、「終わった?」とは同性どうしでも話しづらいテーマ。ならばここで解決!
■Q.閉経っていきなりくる?
毎月の生理が安定して来ていたのに、いきなり閉経するのはまれ。一般的には出血量が減ったり、周期が短くなったり、長く空いたり。逆に急に出血量が増えたり、だらだらと長く出血が続くようになる人も。そして徐々に生理の間が空き、いつの間にかなくなるという経過をたどるのが一般的です(対馬先生)
■Q.生理がなくなる平均年齢は?
早い人は40代前半から。なお更年期は閉経前後10年を指すので、だいたい45~55歳。生理がなくなって1年ほどすると、生理がないことに体が慣れて心身が安定する人が多いです(丸尾先生)
■Q.生理がなくなったらいいことある?
ポジティブな面は確かにあります。生理痛や月経前症候群(PMS)が重かった人は体調や気持ちが安定し、ぐっとラクになることが多いですし、子宮筋腫や子宮内膜症の人はつらい症状も落ち着きます。女性ホルモンに翻弄されなくなった世代の女性の多くは気持ちが穏やかになり、古代ギリシアのアルカイク美術の彫像のような笑みをたたえています。ですから更年期の先のステージも楽しみにしてください(丸尾先生)
■Q.生理がなくなったら女性ホルモンもなくなる?
生理がなくなると卵子はゼロになり、女性ホルモンは分泌されなくなります。加齢による体の不調を感じたら、女性ホルモンを補充するために低用量ピルを飲んだり、閉経前後にホルモン補充療法などを行ったりすることで、なやみや不調を解消できます(対馬先生)
◎女性ホルモン補充療法の効果
(1)更年期症状をラクにする
汗をかく/のぼせる/頭痛/肩こり/気持ちが落ち込む/イライラする/疲れやすい/眠れない
(2)大人のなやみをラクにする
膣や肌が乾く/ぬれにくい/体のかゆみ/ドライアイ/ドライマウス/尿漏れ/トイレが近い/髪のパサつき/髪の量が減る など
(3)病気の予防
骨粗しょう症/動脈硬化/認知症/大腸がん など
※女性ホルモン補充療法ができない人
・乳がん、子宮体がんの治療中の人
・重い高血圧、心臓病、肝臓病の人
・血栓症、心筋梗塞の病歴のある人 など
参照:『サンキュ!』12月号「40代の人に言いたくない体と見た目のなやみ解決SP」より。掲載している情報は19年10月現在のものです。イラスト/AKIKO. 取材・文/宇野津暢子 編集/サンキュ!編集部
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