女性の健康、生殖器系の概念。

不正出血はがんの可能性も…?自覚症状がなくても進行する「子宮がん」になりやすい人の特徴とは

2024/02/04

女性なら誰もが気になる「子宮がん」のこと。「子宮がん」には2種類があり、その原因や症状は異なるとご存じですか。

女性特有の病気である「子宮がん」について、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医で、沢岻美奈子女性医療クリニック院長の沢岻美奈子氏に聞きました。

Q.子宮がんとはどのようながんですか。がんの種類についても教えてください

子宮がんには「子宮頸がん(しきゅうけいがん)」と「子宮体がん(しきゅうたいがん)」があります。

子宮の入り口である頸部(けいぶ)にできるがんを「子宮頸がん」、妊娠して赤ちゃんが育つ体部にできるがんを「子宮体がん」と区別しています。

Q.子宮頚がんの原因や、なりやすい人の特徴にはどのようなものがありますか

子宮頸がんの9割は、ヒトパピローマウイルスの持続感染が原因と分かっています。20代〜30代の妊娠を希望する若い年代に多い病気であり、20歳以上の全ての女性に2年ごとの検診補助を国が行なっています。

ヒトパピローマウイルス自体はありふれたウイルスで、性交渉を持ち始める20代女性の感染率は7〜8割とされています。ヒトパピローマウイルスに感染しても、多くは自然に排除されます。しかし、感染が持続した場合に、子宮頸がんに進行することがあります。

私が医師になった約30年前は、子宮頸がんは性交人数が多い人が罹るという間違ったイメージがありましたが、性交渉の経験があれば、性交人数にかかわらず誰でも罹り得る病気です。

月経の痛み治療などで低用量ピルを飲んでいる方は、子宮頸がんに罹りやすくなります。子宮頸管(しきゅうけいかん)の分泌物の変化が起こって、ウイルス感染への抵抗が減ることなどが原因です。低用量ピルを服用している方へは、2年ごとではなく毎年の検診をすすめています。

Q.子宮体がんの原因や、なりやすい人の特徴にはどのようなものがありますか

子宮体がんは女性ホルモンが関係する病気です。出産経験がない人はリスクが高く、太っている方や糖尿病の方も少しリスクが増えます。

昔は若い頃から妊娠出産を繰り返して、3人から5人の子どもを産む女性が少なくありませんでした。一方近年は出産年齢が遅くなり、産む子どもの数が減ったことも影響して、現代の女性に増えている病気です。

月経とは異なる不正出血がある方は、40代くらいから検査をおすすめします。

Q.子宮がんの自覚症状にはどのようなものがありますか

ヒト生殖系疾患の可視化
mi-viri/gettyimages

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスに感染していても、自覚症状はありません。子宮頸がんの手前の異形成(いけいせい)の状態でも出血はほとんどありません。子宮頸がんがある程度進行すると出血につながります。

子宮体がんの場合は、月経以外の出血がある・月経の量が増えてきた・閉経してだいぶ経つのに出血があるなど、出血が気になって受診し、検査で見つかる方が多いです。

Q.子宮がんは予防、早期発見することができますか

子宮頸がんは予防できます。性交渉で感染するウイルスが原因なので、性交前の小学生から中学生の間にワクチンを接種することで7〜8割の異形成を予防できます。

ワクチンを打たなくても、パートナーができて性交渉を持ち始めて2年毎の検診を受けていれば、異形成の段階で見つけることができます。

子宮体がんは初期から出血することが多いので、気になる出血のある方はまずは検査を受けてください。女性の妊娠出産の変化で増えている子宮体がんですが、出血で早く見つかりやすく、早期なら治りやすい病気でもあります。


教えてくれたのは・・・

沢岻 美奈子さん

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。神戸にある沢岻美奈子女性医療クリニックの院長。子宮がん検診や乳がん検診、骨粗鬆症検診まで女性特有の病気の早期発見のための検診を数多く行なっている。更年期を中心にホルモンや漢方治療も行い女性のヘルスリテラシー向上のために実際の診察室の中での患者さんとのやりとりや女性医療の正しい内容をインスタグラムで毎週配信している。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

 
 

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