ピンクの乳がんリボンを持つ女性

私が乳がんになってわかったこと「つらい経験は必ず何かを残してくれる」2児のママへのイタンビュー

2022/03/01

2月4日はワールドキャンサーデー。がんに対する意識向上を促すために、世界各地でさまざまな取り組みが行われる日です。日本人の2人に1人が生涯のうちにがんを経験(※)。その一方で、医学の進歩や早期発見の啓発などにより生存率は向上し、がんの治療を経験した「がんサバイバー」は日本に700万人以上いるといわれています。だれにとってもひとごとではない、がんという病気。がんになって初めてわかったことを、『サンキュ!』世代に聞きました。

※国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計)/2019

ワールドキャンサーデー(世界対がんデー)って?

毎年2月4日、がんへの意識向上と予防、発見、治療への取り組みを世界規模で促すために定められた日。世界100カ国以上、350を超える対がん組織からなる国際対がん連合が、2005年に世界がんキャンペーンを開始したのが始まり。日本でも毎年、シンポジウムやイルミネーション・ライトアップイベント、SNSキャンペーンを行っている。

昼間は営業、夜は自分のお店。Wワークが軌道に乗った矢先、胸にしこりを見つけた

女性は灰色の背景に乳癌の兆候のために彼女の胸のしこりをチェックします。ヘルスケアの概念。
spukkato/gettyimages

<教えてくれた人>
Wさん(47歳 大阪府)
長男(高1)、長女(小5)の3人家族。アパレル販売を経て37歳で営業職に。38歳のとき元夫が開いた鉄板焼き店を手伝うようになりWワークを開始。42歳で事実上店を引き継ぎ、現在も1人で切り盛り。店の仕込みを始める前に「スタバ」のドリップコーヒーとスイーツを楽しむのが至福の時間。

家の近所で鉄板焼きのお店を自営。以前は「夫がやりたくて始めた店なのに、なぜ私の負担ばかりが増えるの?」と不満でした。でも店が地域に根づくにつれ、その存在は私の大きな支えに。乳がんの発覚はそんな折で「まさか私が?」と、ただ驚くばかりでした。今も再発の不安は常にありますが、それでもできるだけ前向きにストレスなく生きたいと思い、夫とは昨年離婚。今は忙しいながらも笑って暮らしています。

がんはこうして始まった

● 自覚症状はあった?
左胸にピリピリした刺激を感じたのが始まり。やがてしこりに気づき、「あるわ!」と思って病院へ。

● 告知はどのように受けた?
「これは単なる脂肪のかたまりではないようですね」と乳がんを示唆され、入院と手術をする病院への紹介状をもらった。これが事実上の告知に。

● 病院はどう決めた?
自宅から原付バイクで通える距離の総合病院を受診し、手術から放射線治療までお世話になった。

2018年(44歳)

左胸にピリピリした短時間の刺激を感じ、それがしだいに長時間のチクチクした痛みに。その後パチンコ玉大のしこりに気づく。精密検査の結果、ステージ2の乳がんとわかる。娘の運動会の翌日に手術→放射線治療(25日間・毎日)、ホルモン剤治療(現在も継続)。

2021年(47歳)

3年目検診で再発なし→経過観察中

術後1カ月でWワークに復帰体は元気でも、心はへこんだままだった

がんになって心が落ち込み、もう閉店しようかな?とも思いましたが「店をたたんでも借金が残るし、店の仕事は心から楽しい。だから続けよう」と復帰を決断。コロナ禍もあって利益はごくわずかですが、「お店があるから頑張ろう!」と生きる張り合いの1つになっています。

営業の仕事の後はスーツのまま食材の買い出しをして店へ。エコバッグにはねぎやたこ焼き用のたこなどが。

つらい経験は、必ず何かを残してくれる。例えば子どもたちの、私に対する思いやり

もちろん成長したから、というのもあるでしょうけど、病気になる前に比べて子どもたちがやさしくなった気がします。今は家庭内に「自分でできることは自分でする」「家事はお母さんだけの仕事ではない」という雰囲気ができて、助かっています。

忙しい日や宴会の予約が入っている日は子どもたちが店を手伝います。小5の長女も慣れた手つきで注文をとったりお水を注いだり。

見た目からはわからない、がんサバイバー。人に話せるまでに3年かかりました

乳がんがわかった当初は、かわいそうと思われるのがいやで、人になかなか話せませんでした。でも術後の治療が順調で、ホルモン剤の副作用も予想よりは軽く、張った気持ちがほぐれるにつれ、話せるように。今はこの経験から学んだことを伝えるのも私の使命だと思っています。

女性の手で覆われた心臓オブジェクト
takasuu/gettyimages

大きな病気をしたのは初めてで、しかもがん。あまりに不安で、体以上にメンタルが弱りました。子育てや仕事に追われるうち、少しずつ気持ちが上向きに。忙しさに救われました。

Wさんからの伝言

「がんなんて私とは無縁の病気」と思っていました。虫の知らせか、がんになる半年ほど前にたまたま保険を見直し、そのおかげで治療費はすべて保険でまかなえたのは幸運でした。自分が入っている保険を時々見直すこと、そしてちょっとでも体調が変だなと思ったら検査を受けること。この2点がとても大事だと思っています。

参照:『サンキュ!』2022年3月号「がんになってわかったこと」より。掲載している情報は2022年1月現在のものです。取材・文/宇野津暢子 編集/サンキュ!編集部

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND