夜のトイレが増えたら要注意⁈家族を守るために知っておきたい「がんのサイン」

2025/06/09

男性に特有の病気である前立腺がん。自分のために、あるいは家族やパートナーのために、身近な病気として知っておいて損はありません。

初期には気づきにくい前立腺がんについて、外科専門医の資格を持つ浅草橋西口クリニックMoの院長、頴川博芸氏に聞きました。

Q.前立腺がんとはどのようなガンですか。女性がなる可能性はありますか

前立腺がんは、男性のみが持つ生殖器である前立腺に発生するがんです。前立腺は男性に特有の臓器であるため、女性がかかることはありません。

前立腺は膀胱の下に位置し、精液の一部を作る役割を担っています。このがんは前立腺の細胞の異常な増殖が原因で発生し、進行すると周囲の臓器やリンパ節、骨などに転移する可能性があります。

Q.前立腺がんの原因やなりやすい人の特徴には、どのようなものがありますか

出典:写真AC

前立腺がんの主な原因は明確には特定されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

年齢が上がるほど発生リスクは高まり、特に50歳以上で増加傾向にあります。遺伝的要因も重要で、家族に前立腺がんの罹患者がいる場合、リスクは上昇します。

また高脂肪食の摂取が多いことや肥満も関連が指摘されており、生活習慣も影響を及ぼす可能性があります。民族的には、アフリカ系アメリカ人男性に発症が多いとされています。

Q.前立腺がんの自覚症状にはどのようなものがありますか

前立腺がんは、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多いです。

進行すると、尿が出にくい、頻尿になる、排尿時に痛みがある、夜間に何度もトイレに行くといった排尿に関する症状が現れます。また血尿や血精液がみられる場合もあります。

さらに進行すると骨盤や腰の痛み、足のむくみなど、転移による症状が出るケースもあります。

これらの症状は他の病気でも見られるため、気になるものがあれば医療機関を受診しましょう。

Q.前立腺がんを予防・早期発見することはできますか

写真AC

前立腺がんの完全な予防法は確立されていませんが、健康的な生活習慣の維持がリスク低減につながるとされています。具体的には、バランスの取れた食事、適度な運動、肥満の解消などが挙げられます。

早期発見のためには定期的な検診が非常に大切です。特に50歳以上の男性はPSA(前立腺特異抗原)検査を含む定期的な健康診断を受けることが推奨されます。PSA検査は採血で手軽に行えるため、症状がなくても積極的に受診を検討しましょう。

Q.前立腺がんを治療することはできますか

前立腺がんは病状の進行度や患者さんの年齢、健康状態によって様々な治療法があります。

早期がんであれば手術で前立腺を摘出する方法や、放射線療法が選択されます。

進行がんの場合や高齢で手術が困難な場合は、ホルモン療法が中心となります。ホルモン療法は男性ホルモンを抑制することでがんの増殖を抑える治療法です。

その他、化学療法や分子標的薬など、個々の状態に応じた治療が検討されます。早期に発見できれば、根治(がんを治療によって完全に取りきること)の可能性も高まります。

教えてくれたのは・・・

頴川 博芸 院長

静岡県沼津市出身。東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。

取材/文:山名美穂
編集:サンキュ!編集部

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