〈生理と更年期〉35歳からの、女性ホルモン（エストロゲン）の変化

その悩み、大体ホルモンのせいでした！女性ホルモン「エストロゲン」の変動で起きる、生理と更年期の不調。この荒波を乗り切るコツを、メディアにひっぱりだこの産婦人科医・高尾美穂先生が伝授！

女性ホルモン（エストロゲン）はこう変化

【35歳～】分泌が少しずつ減少
◆ビフォア更年期

【42歳】分泌がアップダウンするように！色んな不調が出始める
◆プレ更年期

【45歳】更年期スタートの平均！
◆更年期

【49歳～50歳～51歳～】閉経前後の2年間は特に激しくアップダウン！

【55歳】閉経後は限りなくゼロに。体調もメンタルも安定する人が多い
◆アフター更年期

※時期はあくまで目安です

コレ、ホルモンのせい！35歳～

□ 生理痛
□ 過多月経
□ PMS（月経前症候群）
□ 産後うつ
□ 不妊

女性ホルモンの低下が始まるのが35歳ごろ。少しずつ心身に不調が現れる時期。

生理前のイライラで子どもにブチ切れ。「ママ、ゴジラみたい」と言われた。（てんてんさん　36歳）

A.まずは睡眠をとって！

生理前の不調は、妊娠の維持を担う女性ホルモン「プロゲステロン」の増減も理由のひとつ。この時期は幸せホルモンのセロトニンが減り、イライラしてしまいがちです。十分な睡眠をとり自律神経のバランスを整えて！

寝る前5分！ぐっすり眠れる背中ほぐしストレッチ

（1）四つんばいになり、息を吐きながらゆっくりと背中を丸める。

（2）息を吸いながら背骨を少しずつ反らせて胸を開く。

（1）～（2）を何度か繰り返す。

経血量が多く、夜間ナプキンでも2時間もたず。これってヤバい!?（ゆみさん　38歳）

A.生活に支障があれば、立派な“病気”です！

経血量が多くて服についてしまうなど、生活に支障をきたすなら「過多月経」というれっきとした病気です。生理痛もそうですが、「生理だから仕方ない」と我慢せず、婦人科を受診してくださいね。

出産後から、夫に触られると内心「きもっ」と思っちゃう。まさかホルモンのせい!?（あつこさん　35歳）

A.女性ホルモンの分泌が止まって性欲が起こらないからかも？

産後は外陰部が大けがしている状態なので、性交渉が怖いのは普通のこと。またホルモン分泌も止まり性欲がない時期。「ホルモンのせい」かもしれませんが、他にも母性本能が強くなるなど、さまざまな要因も絡んでいます。

コレ、ホルモンのせい！42歳～

□ 生理不順
□ シミ、シワ
□ イライラ
□ 疲れやすさ

更年期に似た症状が出始め、体調が揺らぎやすい。婦人科系の疾患も出てくる時期。

「ミレーナ」※って更年期治療に使えるの？（エルミルさん　43歳）

※子宮に装着するリング状の医療用具。月経困難症や過多月経の治療、避妊に用いる。

A.単独では効果なし！塗り薬・貼り薬と併用を

更年期治療の目的で使うことはないですが、女性ホルモン「プロゲステロン」が塗ってあるため、もし既に装着していれば、もう1つの女性ホルモン「エストロゲン」の不足分を塗り薬などで足すだけでよく、合理的に治療できます。

主な更年期治療法

● HRT（ホルモン補充療法）
不足している「エストロゲン」をごく少量、服用や塗布で補充する方法

● 漢方
その人の体質や症状に合わせて処方。メンタル系の不調にも効果がある

● サプリメント
エストロゲンに似た働きをする成分「エクオール」を直接摂取する

生理周期が乱れてきて毎日ナプキンを持ち歩くのが地味にめんどくさい。これって更年期？（アトムさん　44歳）

A.45歳前後なら、更年期スタートの合図かも

更年期の始まりとして、一番分かりやすいのが生理周期や量の乱れ。閉経の平均は50歳で、前後5年が更年期なので、45歳前後なら更年期かもしれません。

起きたらパジャマの襟元がぐっしょり。これが噂のホットフラッシュ!?寝汗!?（なおなおさん　43歳）

A.2～3分でボイラーみたいに汗が出てきたら、ホットフラッシュかも！

かっと顔が熱くなり「今から汗が出る」と分かる感覚なら、更年期のホットフラッシュの可能性大。ただし生理周期や量に乱れがないなら、ストレスや自律神経の乱れが原因かもしれません。かかりつけ医に相談してみて。

コレ、ホルモンのせい！49歳～

□ のぼせ、ほてり
□ 手足のしびれ
□ 不眠、尿モレ
□ くよくよ、うつうつ
□ 指の関節の変形
□ 関節痛

多くの女性が更年期の真っただ中で、症状が本格化。閉経に伴う不調も。

閉経後に、ほお骨からやせて、げっそりするってホント!?（るるKさん　50歳）

A.ホントです！骨密度が下がるので、カルシウム・ビタミンDとKをとって

顔の骨には重力が加わりにくいため、ほおや下顎の骨からやせていきます。対策は、骨密度を上げるカルシウムとビタミンDとKをとること。ビタミンDの生成を促すために、太陽の光を浴びることも有効です。

家事しながらでもOK！骨密度を上げるヨガ

（1）

● イスの背に手を置いてまっすぐ立つ
● 足は肩幅に開く
● つま先は前に

（2）

● かかとを上げ勢いよく落とし骨に衝撃を加える

朝起きたとき、手指がキシキシしていて、ロボットみたいな感覚。なんか変！（ゆりりんさん　51歳）

A.ホルモンの減少で、関節が変化しているからかも

エストロゲンには関節や腱のまわりにある「滑膜（かつまく）」を維持する役割があり、減少するとこわばりや痛みを感じるように。これが数年続くと関節が変形してしまうので、指が曲げにくくなる前に「手の外科（手の疾患や障害を専門とする整形外科・形成外科）」に相談して。

閉経したら「女じゃなくなるかも」と思うと、ちょっとコワイ……。何かいいことってありますか？（するめんさん　49歳）

A.生理から解放されることは、「自由になること」です！

女性は初潮以降、ホルモンの揺らぎにさらされ、生理痛や生理前のイライラとともに生活していますよね。閉経して生理がなくなれば、それら全てから解放されます。心身の波のない“凪”のような時期を楽しまなくちゃソンです！

更年期症状に効く！漢方のコツと選び方

＜教えてくれた人＞
慶應義塾大学病院漢方医学センター医局長 堀場裕子先生

入手方法は様々。ルールを守って効果的に飲もう

更年期障害の治療で漢方を飲むメリットは、個人の「体質」に合わせた処方をするため効果的に治療が行えることです。試したいときや副作用が心配なときはまずかかりつけ医に相談を。漢方医がいる病院を紹介してくれることもあります。気軽に試すなら薬局やドラッグストアの市販薬からでも◎。コツはまず3カ月続けること！

最新News！おすすめの漢方を即・判定！

◆クラシエ薬品　漢方セラピー
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/

質問に答えると適切な漢方を教えてくれる。
また体質診断では、食生活やライフスタイルのアドバイスも！

ドラッグストアで買うなら？

1．加味逍遙散（かみしょうようさん）　冷え症や不眠などに。
2．当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）　貧血やめまい、むくみ、月経不順、月経異常などに。
3．桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）　月経痛やほてり、肩凝りなどに。
（各20包／各￥2,640）第2類医薬品
・ツムラ TEL 0120・329・930　

※漢方の保険適用は病院とクリニックのみ。漢方薬局での直接購入、ドラッグストアは適用外。
※商品はすべて税込み価格です。
※全て個人の体験談であり、症状には個人差があります。紹介したものが必ずしも効果・効能を示すものではありません。

＜教えてくれた人＞
産婦人科医 高尾美穂先生
女性のための統合ヘルスクリニック、イーク表参道副院長。YouTube「高尾美穂からのリアルボイス」を毎日更新。

参照：『サンキュ！』2023年12月号「女の体と見た目の悩み相談スペシャル」より。掲載している情報は2023年10月現在のものです。撮影／横田裕美子　モデル／足立逸美　構成／前田菜々子（風讃社）　取材・文／宇野津暢子　編集／サンキュ！編集部