外出自粛で子どものスマホ依存・ゲーム障害が激増!?こんな時どう対応する?専門家が回答
2020/05/26
家にいる時間が長いと、つい便利なスマホやゲームで遊んでしまいがち。でも生活リズムやSNSでのトラブルも心配だし、注意しても聞こうとしない子どもにイライラ!心配になるスマホ・ゲームへの関わり方や疑問に専門家がお答えします。
<教えてくれた人>
樋口進先生
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター 院長。精神科医。依存症対策全国センター長。ゲーム障害、ギャンブル障害などの行動嗜癖(しへき)、アルコール関連問題の予防・治療・研究などが専門。2011年に国内初のネット依存治療外来を設立。著書に『Q&Aでわかる 子どものネット依存とゲーム障害』(少年写真新聞社)、『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』(講談社)。
Q. 子どもがガマンできない!
YouTubeやアニメをエンドレスで見たがり、やめさせると泣き叫びます……。(3歳)
上の子と一緒に3歳からゲームを始めてしまい、時間になってもやめません。(6歳、3歳)
A. 開始年齢は、遅ければ遅いほどいい。スマホやゲーム以外の活動の時間を与えましょう。
スマホやゲームの開始年齢は、早ければ早いほど依存度が高いです。平面画面を長時間見ていると立体視力が育たず、視力の低下や急性内斜視の心配もあります。低年齢ほど〝自制する力〞が低いので、暇だからといってすぐにスマホやタブレット、ゲームを与え過ぎないように。子どもにとって本当に必要かどうか考え、習慣化させないためにも、「暇だな」と感じる時間の使い方を工夫しましょう。
Q. 長時間やり続けてしまう!
注意をしないとずっとゲームをしていて、タイマーをかけてもダメです。(9歳、6歳)
家では食事のとき以外、スマホを手離しません。(15歳)
A. 親たちはスマホやゲームを使いすぎていませんか?まず、大人が使い方を見直しましょう。
まずは親が見本となって、「家の中でスマホ・ゲームを使わない時間をつくろう」と話し合ってみてください。会話をしたり、一緒にテレビを見る時間を、親子で共有しましょう。使用時間などのルールは、「守れなかったときにどうするか」も決めておくべきです。
Q. 生活リズムが乱れてきた!
夜遅くまでスマホをしていて、朝起きられません。(16歳)
食事に呼んでもなかなか来ない。ゲームのキリのいいところまで待たされます。(12歳)
A. やるべきことがおろそかになってきたら危険信号。これをきっかけに親子で話し合い、子どもとのかかわりを増やしてください。
日常生活がこれまでどおり送れなくなったら「依存」レベルです。ひどくならないうちに対応を。積極的に話しかけ、起床から食事、通学、放課後の過ごし方、就寝時間などを見直して、生活リズムを立て直しましょう。叱るのではなく、時間になったら声をかけて。家族と話をしない場合は、学校の先生やスクールカウンセラー、専門の医療機関など、第三者の介入が必要です。
Q. ハマりすぎてほかのことに興味なし!
ゲームかスマホのことしか頭になくて、暇になるとやりたがる。もっとほかのことに目を向けてほしい。(14歳)
コロナ休校になって以降延々YouTubeを見ている。ほかの遊びをしなくなってきた。(9歳)
A. 親が「こんなものだ」と思わず、危機感を持っていることが大事です。
「自分もやっているし」「今の子はこんなもの」と、ゲームに寛容な親もいますが、今はゲーム環境も大きく違います。子どもは〝自制する力〞が圧倒的に低いので、親は自分の使用経験から「依存しないから大丈夫」とは思わないこと。低年齢であるほど、「自分のスマホやゲーム使用が引き起こしている問題」に気づいていません。話し合いや親の声かけで、使いすぎはよくないという気づきを与えましょう。
Q. いつでもだれかとSNSでつながってる!
勉強中もラインにすぐ返信。勉強がおろそかになっている。(16歳)
友達に何でもかんでも送信しそうで怖い。トラブルになりかけたことも。(12歳)
A. だれとどんなやりとりをしているのか、どんなことを話しているのか、聞いてみましょう。
個人の友達以外にも、いくつものグループができてやりとりが増え、生活リズムが乱れてしまうのは、SNS依存です。必要のないやりとりは時間の浪費につながること、考えてから発信すること、長時間使用による〝SNS疲れ〞があること、などを理解させましょう。
Q. だれとやりとりしているのかわからないから不安!
オンラインゲームで、会ったこともない人と仲よくなっているのが怖い。(13歳)
だれとLINEをしているのか、ネットの怖さをどこまで知っているのか、わかりません。(17歳)
A. スマホ問題は、早期発見、早期解決。子どもの様子が少しでも変わったら、サインを見逃さないように。
スマホは、簡単に知らない人とつながり、未知の世界のトラブルに巻き込まれる可能性が高いツールです。危険性を認識させ、「ネット上で知り合った人との付き合い方」についてもルールをつくりましょう。スマホを楽しんで使っていた子どもの様子が少しでも変わったと感じたら、すぐに話を聞きましょう。学校への相談は、担任、もしくは話しやすい先生に、親から直接連絡しましょう。
Q. 注意すると反抗的&ケンカになってしまう!
ゲームやスマホができないと、ずっと不平不満を言っています。(13歳)
ゲームを始めてから、言葉づかいが悪くなった。毎日バトルで疲れます……。(8歳)
A. 反抗の原因は、〝親の理想が高すぎる〞という場合も。スマホやゲームを取り上げるなど過度な刺激は与えないこと。
依存している子どもは、親の注意や忠告には反抗的な態度を取る傾向があります。ただし、親が厳しく管理しすぎているのが原因であることも。反抗しているときは、管理の行きすぎを疑って。乳幼児のうちからスマホが生活圏内にある今の子どもたちに、親世代の固定観念は通用しません。スマホやゲームを一方的に責めるのではなく、理解した姿勢で、現実的なルールを話し合いましょう。
参照:『サンキュ!』2020年6月号「スマホ依存・ゲーム障害」より。掲載している情報は2020年4月現在のものです。取材・文/村雨玲子 編集/サンキュ!編集部
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