女性の闇、覗きませんか?女たちの狂気にゾクッとする短編小説2選

2020/11/06

これまで1,000冊以上の本を読んできた読書マニアのサンキュ!STYLEライターあやをです。

女性の心の奥に潜む闇や狂気。自分とは無縁のもののようですが、いざ物語の世界に足を踏み入れると、ごく普通の女性が些細なきっかけで壊れていく姿に「自分ももしかしたら...」と思えてくる。今回は、そんな恐怖を感じる2作品をご紹介します。

妊娠カレンダー / 小川洋子

妊娠カレンダー (文春文庫)

出産を控えた姉に毒薬の溶け込んだグレープフルーツジャムを食べさせる妹。

妊娠が発覚してからというもの、不安と興奮からかペラペラとよくしゃべり、つわりが始まるとその苦しみを家族に八つ当たりする姉。そんな姉を見ているうちに妹の心にだんだんと芽生える悪意…。

日々心とからだが変わっていく不安定な姉と、それを冷静に見つめ、黙々とジャムをつくり続ける妹との対比が不気味。妹のつくったジャムをむしゃむしゃと食べる姉の姿にも狂気を感じます。

全体を通して静かで不穏な雰囲気に包まれていて、美しくも恐ろしい物語。

表題作のほか、謎に包まれた学生寮の物語「ドミトリイ」、小学校の給食室に魅せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」の2編も収録されています。

鍵のない夢を見る / 辻村深月

鍵のない夢を見る (文春文庫)

どこにでもいる普通の女性5人が、ふと魔が差して起こしてしまった犯罪をテーマとした短編集です。

自意識が強すぎる女や、ダメな男に惹かれてとことん堕ちていく女など、女性の影の部分を切り取って繋げたようなえぐみのある作品。

この物語のなかでさまざまな事件に巻き込まれる女たちは、一見私たちとはかけ離れた世界を生きているようで、じつは誰でも、何かのきっかけに闇に呑まれる可能性があるのかもしれない…。

登場人物たちがどこにでもいそうな女性だからこそ「自分も一歩間違えたら…」そう思わずにはいられない、ゾクっとする一冊です。

今回ご紹介した2作品はどちらも短編小説なので、隙間時間で気軽に読めますよ。読書の秋、女性の闇の世界に足を踏み入れてみてはいかがですか?

◆記事を書いたのは・・・あやを
インテリアも節約も収納も料理もそこそこな肩書き迷子。強いて言うなら暮らしにまつわるあれこれを幅広く執筆する「暮らし」のオールラウンダー。お金好きが高じてFP2級を取得。暇さえあれば本を読んでいる読書家。Instagramでも定期的に読んだ本を紹介しています。

※ご紹介した内容は個人の感想です。

 
 

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