その使い方で大丈夫?間違えやすい日本語「にやけた」の本当の意味とは
2021/02/28
みなさんは、いつも使っている日本語の意味を正しく理解できていますか?
よく意味を調べないまま使っていると、とんでもない勘違いをしているかもしれません。
たくさんの人が意味を間違えている言葉が、じつはいろいろあるのです。
意味を間違えやすい日本語の言葉について、国語科教員免許を持つサンキュ!STYLEライターのdanngoさんが解説します。
「にやけた」の使い方、どちらが正しい?
今回は、「にやけた/にやける」という言葉の使い方について考えてみましょう。次の2つの例のうち、どちらが正しい使い方だと思いますか?
【A】やたらとめかしこんだり流し目を送ったりする、"にやけた"やつはあまり好きじゃないな。
【B】真面目な話をしているのに薄ら笑いを浮かべている……"にやけた"やつはあまり好きじゃないな。
正解は……
答えは【A】でした!
「にやけた」というのは本来、「男がめめしく色っぽいふるまいをする」「なよなよしている」といった意味で使われていました。「にやけ」を漢字で書くと「若気」となり、これは色気を売る若い男性を意味します。
「笑う」という意味はないことがわかりますね。ちなみに文化庁による平成23年度の「国語に関する世論調査」によれば、本来の意味を知っていた人はわずか14.3%。一方で、「薄笑いを浮かべている」と答えた人は76.5%という結果でした。
この結果からもわかるとおり、現代ではほとんどの人が「薄ら笑いを浮かべる」といった意味で理解しているようです。「にやにやする」と「にやけ」の語感が似ているため、混同されてしまったのでしょうね。
ジェンダー意識が高まっている昨今、本来の意味の「にやけ」はあまり使うことがないはずです。薄ら笑いの意味で使う場合は、誤解のないよう「にやにやする」の方を使いたいものです。
いかがでしたか?正しい意味で使えていたでしょうか。
世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に手紙を書くときなどはとくに気をつけたいところです。
とはいえ、長い歴史の中で言葉の意味が少しずつ変わっていくのは自然なこと。勘違いされている意味も、「最近では」「俗に」という言葉を添えて辞書で紹介されることが増えてきています。
正しい意味をふまえたうえで、間違った意味も受け入れていく柔軟さがあってもいいかもしれませんね。
◆記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライターdanngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの専業主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。