寒い季節に頼りたいゆず活用5つのポイント
2018/11/15
冬に旬を迎えるゆず。そのさわやかな香りは、鍋料理や煮ものなどの風味づけとして、冬の食卓に欠かせないものです。また、お風呂に入れた「ゆず湯」は風邪予防の効果があるといわれています。
そこで暮らしスタイリストとして、料理をはじめ家事全般の情報を日々発信されている河野真希さんに、寒い季節に頼りたいゆずの上手な活用法を伺いました。
ゆず・すだち・かぼす……似ているけど、どう違う?
みかんのような形をしているけれど、そのまま皮をむいて食べるには酸っぱすぎるゆず。似たものに、すだちやかぼすなどもあります。これらは香酸柑橘類と呼ばれており、レモンやライムもその仲間です。
ゆずは夏に旬を迎える青ゆずと、冬が旬の黄ゆずがあります。これからの季節に出回るのは黄ゆずです。果汁だけでなく、皮や種も料理に使われます。
すだちやかぼすはハウス栽培も多くされているため、一年中手に入りやすいものです。どちらも緑の状態が食べごろなので、見分けがつきにくいかもしれませんが、ピンポン球くらいの小ぶりなのがすだち、テニスボールくらいなのがかぼすです。
いずれも絞った果汁を焼き魚や麺類などにかけたり、果汁を風味づけに使うことが多いですが、それぞれ香りや酸味が異なるので、時期や好みに合わせて使い分けてみるのも楽しいかもしれません。
果汁も皮も種までも役立つ、ゆずの上手な使い方
香酸柑橘類のなかでも、活用の幅が広いのがゆず。料理やお菓子、お茶やお酒、入浴剤や化粧品、アロマオイルなどに使われ、果汁だけでなく、皮や種までまるごと全部役立てることができます。
ゆずに多く含まれるビタミンCやクエン酸は、風邪の予防や美肌に効果があるといわれています。特にビタミンCは果汁よりも皮のほうが豊富。果実を包む内側の皮や種には水溶性食物繊維であるペクチンが多く含まれており、整腸作用やコレステロール低下作用があるといわれています。ゆずジャムのとろみは、このペクチンの作用によるものです。
また、ゆずの種は化粧水にも活用されます。作り方は簡単で、焼酎や日本酒などのアルコールに種をつけておくだけ。ペクチンによる保湿効果があり、その香りにもリラックス効果があります。ただし、肌が弱いかたやアルコールにかぶれてしまうかたにはおすすめしません。また、大丈夫なかたでも、腕などでパッチテストをしてからお使いください。
常温?冷蔵庫?冷凍できる?ゆずの保存法
ゆずは一度にたくさん使うものではないので、使い切れずに余ってしまうことも。寒い季節であれば、常温でも1週間ほどは保存ができます。ただし、乾燥しやすいので、ポリ袋などに入れて保存するのがおすすめ。それ以上長く保存したいときは、冷蔵庫の野菜室に入れれば、1ヵ月程度はもちます。
また、ゆずは冷凍保存も可能です。果汁を絞って製氷皿に入れて凍らせておくと、酢のものやポン酢を作るときに便利。皮だけ刻んで、ラップで包んで冷凍しておくと、料理の風味づけに重宝します。また、面倒なときはまるごと冷凍もOK。ラップで包んで、フリージングバッグなどに入れて冷凍します。
果汁を使いたいときは自然解凍をして絞ります。皮だけなら、凍ったまますりおろしたり、包丁で削ったりして、残った分はまた冷凍しておけば、長く無駄なく使えます。
食べるだけじゃない。ゆず湯の楽しみ方
「冬至にゆず湯に入ると、風邪をひかない」という言い伝えがあります。冬至=「湯治」、ゆず=「融通」がきくという語呂合わせからきたものだといわれていますが、実際にゆず湯には血行促進の効果があり、体をしんから温められるため、風邪や冷え性に効果的。さわやかな香りによるリラクゼーション効果も期待できます。
ゆず湯をするときに、ゆずをまるごと入れるのが手軽ではありますが、そのままでは香りがあまり楽しめません。絞り汁を加えたり、半分にカットして湯ぶねに浮かべたりすると、香りがよく立ちます。種や果肉がくずれて浴槽が汚れてしまうのが気になる場合は、ガーゼやネットなどの袋に入れるとよいでしょう。なお、肌が弱いかたは刺激を感じることがありますので、注意してください。
鍋にうどんに冬の食卓に大活躍、柚子胡椒の作り方
鍋料理やうどんなどの薬味に使われることが多い柚子胡椒。胡椒と名前がついていますが、九州の方言では「唐辛子」のこと。ぴりっと辛くて、ゆずの風味豊かな調味料です。
柚子胡椒はお店で買うものだと思っているかたも多いかもしれませんが、ゆずと唐辛子、塩というわずか3つの材料をそろえれば、自分でも簡単に作ることができます。
青ゆずと青唐辛子、黄ゆずと赤唐辛子の組み合わせで作るのが一般的ですが、違った組み合わせでもOK。今回は黄ゆずと青唐辛子の組み合わせで作りました。
ゆず(5個)は皮をむき、青唐辛子(5本)はへたをとって、ざく切りにします。ゆずの白い部分は苦みがあるので、できるだけ薄めにむくのがポイント。ゆずの皮と青唐辛子、塩(10g)をフードプロセッサーに入れて、混ぜ合わせます。消毒した瓶に入れて、冷蔵庫で1週間ほど熟成させれば、でき上がり。できたてすぐは塩けが立って塩辛く感じるかもしれませんが、しばらくおくと、なじんで落ち着きます。
なお、唐辛子をは刺激がとても強く、素手で調理すると、肌についたときに痛みが出ることがありますので、使い捨ての手袋を使いましょう。目に入らないように眼鏡やゴーグルがあると安心です。また、種ごと入れると、辛さが強くなります。辛さを抑えたい場合は、種を取り除きましょう。
◆監修・執筆/河野 真希
暮らしスタイリスト・一人暮らしアドバイザー・料理家。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。流行や思い込みにとらわれずに、無理なく持続可能で快適な自分らしい暮らしづくりを応援。 『料理教室つづくらす食堂』主宰。