「におい刑事(デカ)」が警告!冬なのに“なんかクサい”家に発生している意外な原因

2021/01/30

大掃除で家中をきれいにしたはずなのに、お風呂場や洗面台などの水まわり、または冷蔵庫の中や保存している食材に、気づけばポツポツと、何やら気になるカラフルな色の点々が……。

「最近の住宅は、冬もカビが発生しやすい状況になりがちです」と指摘するのは、あらゆる悪臭の原因を突き止める臭気のスペシャリストで、「におい刑事(デカ)」としても活躍中の松林宏治さん。

冬なのになんか家がクサい……もしかするとその原因は、カビにあるのかもしれませんよ。
(取材・文/みらいハウス 渡部郁子)


話を聞いた人・・・

松林宏治さん

株式会社共生エアテクノ 代表取締役。国家資格である「臭気判定士」の資格を持ち、あらゆる悪臭に対応。悪臭の原因を突き止める「におい刑事(デカ)」として活躍中。

冬はカビと無縁な季節……じゃ、ありません!

プラスチック製の窓の隅にカビします。
Andrei310/gettyimages

空気が乾燥する冬はカビと無縁な季節と考えがちですが、松林さんいわく、住宅事情の変化に伴い冬でもカビ対策が必要なケースも増えているそうです。

「いまは高気密・高断熱の家が増えてきました。これにより、暖かい部屋と外気の温度差が生じ、窓やサッシに結露が発生しやすい状況を生み出しています。また、乾燥対策に使う加湿器が、さらなる結露を発生させる原因になっているケースも。建築基準法では、24時間換気システムの設置が義務づけられていますので、高気密・高断熱の家であっても、しっかり換気をすれば問題ないのですが、家の中の換気が不足していると、冬でもカビが発生しやすい原因をつくってしまうことになるのです」


さらに、加湿器を使用していない場合や、結露などに注意していても、まったく別のところにカビが発生することもあるそうです。

「カビは食材、洗剤、石けん、皮脂、埃などを栄養源にします。こういった汚れをきちんと取り除くこと。カビの好む温度や湿度を保たないこと。風呂場などは、最後にシャワーで洗い流し、しっかり換気をすることで、カビの発生を防ぐことができます。また、初期段階のカビは掃除をすれば除去できますが、カビの発生しない条件を整えない限り、何度掃除しても生えてきます。そして、発生したカビを放っておくと、菌がどんどん奥に入り込み、洗っても色素が取れなくなってしまいます。カビは、発生した初期段階で徹底的に対処することが必要なんです」

カビが見えないのにカビ臭がする!?

かわいいウイルスのイラスト
Chikuwabubu/gettyimages

カビが見えたら対処する――そうすればカビとは無縁の生活が送れるのでしょうか?松林さんによれば、家のなかには"見えない"カビが発生していることもあるそうです。

「じつは『カビが見えないのにカビ臭がする』という相談も多くいただきます。その場合、カビの場所を突き止めてみると、ふだん見ない部分にカビが生えている場合があります。たとえば天井裏や壁外の内側など、見えない部分でカビが発生しているんです。そして、その量が増えてくると、カビが見えないのにカビ臭がする……という状態になる。カビが見えないからと言って油断はできませんよ」


さらに松林さんは、見た目やニオイの問題だけでなく、深刻な事態を引き起こす可能性があると警告します。

「カビは人体に影響を及ぼすこともあります。日常によくあるコウジカビと呼ばれる"アスペルギルス"は、食品に発生する黒や黄緑、青、だいだい色などのカビで、肺や皮膚に繁殖すると呼吸器系のアレルギーを引き起こすとされています。浴室によく発生する黒や茶褐色のカビ"クラドスポリウム"は、体内に入ってアレルギー症状を引き起こすことが知られています。小児ぜんそくやアトピー性皮膚炎の原因になるとも言われています」

カビを退治するにはどうすればいい?

Maridav/gettyimages

健康被害まで引き起こすとなると、家の中のカビはやはり徹底的に退治したいもの。しかし、掃除してもすぐまた発生するカビ。どのように対処したらいいのでしょうか?

「カビの退治には、除去と防止処理の2段がまえで取り組むこと。何度除去しても、防止処理をしなければ、カビはまたすぐ生えてきます。カビを発見したらまずはすぐに除去しましょう。カビは消毒用エタノールで死滅します。アルコール含有量70%以上のものが有効です。いまはコロナ対策で手指用の消毒スプレーを常備している家庭も多いと思いますが、じつはそれらはカビ掃除にも活用できます。

カビの色素を取りたい場合は、塩素系や酸素系の漂白剤が必要です。カビを放置して素材の下地にまで色が入り込んでしまうと、漂白剤を使ってもなかなか取れないので、早めの対策がおすすめです」

今日からできる防カビアドバイス!

最後に、今日からできる防カビアドバイスも教えてもらいました。健康のためにも、しっかり対策しておきたいものですね。

「カビ掃除をしたあとは、なるべくカビが発生しにくい環境を保つことが重要。本当は家の中の24時間換気を止めないほうがいいのですが、冬は寒いので止めてしまう家庭も多いようです。なので最低1日10分でもいいので、強制的に換気を行うようにしてください。

あとは、湿度を持ち込まないことも大切です。厚手のコートやブーツに充満している湿気が、クローゼットや下駄箱に移ります。これらはすぐにしまわず、湿気を飛ばしてからしまうようにしましょう。エアコンなどの空調機や加湿器にカビ菌がいると、稼働したときに菌を振りまいてしまいます。

ただし、かなり広範囲にカビが発生してしまったり、カビが見えないのにカビ臭がするなど、自分では手に負えないと感じたら、放っておかず専門業者に相談しましょう」


◆取材・文/みらいハウス 渡部郁子
東京・足立区にある育児期の女性支援拠点「みらいハウス」のライティングメンバーです。子連れで取材活動に取り組む一児の母。育児と仕事にまつわる社会課題への支援事業や、子育てしやすい地域環境を構築する仕組みづくりを行っています。

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