カラフルなペンで描くアジアの女の子

『あいさつ・言葉づかい』等どう教える!?年中さんのマナー

2022/03/01

よその子がマナー違反をしている姿を見て、「うちの子、私が見ていないところで大丈夫かしら…」と心配になるかたもいるかもしれません。ここでは、年中さんにも守らせたいマナーと、その教え方のポイントをご紹介します。

<お話をうかがった先生>
原坂一郎(はらさかいちろう)先生
KANSAIこども研究所所長、関西国際大学教育学部非常勤講師。神戸市で23年間保育士を務め、現在は、こどもコンサルタントとしてテレビ、ラジオ、新聞などで幅広く活動中。

言った意味はわかるはずなのに…どうして年中さんはマナーを守れないの?

【欲求】おしゃべりした~い
【マナー】電車では静かにするよ

電車でマスクをしていないアジアの女の子。
Gins Wang/gettyimages

年中さんは、言われたことを理解する力は備わっているけれど、自分の欲求をうまくコントロールできない時期。そのため、いろいろなマナーを教えるのに適してはいますが、すぐに結果が出ないことが多いもの。また、相手の立場に立って考えたり、状況を判断したりするのも、まだ苦手です。とはいえ、マナーは放っておいて身につくものではありません。今すぐ身につかなくても、「言えば伝わる」この時期に何度も伝えておくことが、結局はマナーを守れるようになるための一番の近道なのです。

年中さんにも教えたいマナーのポイントはこれ!

年中さんに教えたいマナーのポイントはふたつ。ひとつめは「無理なく守れるもの」。例えば「靴のかかとを踏まない」。これも立派なマナーです。ふたつめは「4・5歳といえども守るべきもの」。年中さんだからといって見逃さない方がいいマナーです。これは、人として生活するうえで今後も必要な、基本的なもの。これらをお子さんが今、どれくらい守れているか、ぜひチェックしてみましょう。

少女
ayaka_photo/gettyimages

■よその家
□靴をそろえて脱ぐ
□通された部屋以外に無断で入らない
□冷蔵庫や引き出しを勝手に開けない
□むやみにものをさわらない

■外出先
□病院や電車の中などで静かにできる
□むやみに店の商品にさわらない
□標識や看板など公共のものを蹴ったり、たたいたりしない
□バスや電車の席に土足で上がらない

■挨拶・言葉づかい
□自分からは言えなくても、人から挨拶されたら挨拶を返す
□「こんにちは」「いただきます」などの簡単な挨拶を言える
□人から何かをもらったら「ありがとう」と言える
□下品な言葉や人が不快になる言葉を言わない

■食事中
□大きな声でしゃべらない
□立ち歩いたり遊んだりしない
□食器でわざと音を立てない
□肘をついて食べない
□飲み物や食べ物をむやみにこぼさない

守れるマナーまでかえって守れなくなってしまうかも!?マナーの教え方NG集

両手を挙げる若い女性.
metamorworks/gettyimages

◆これはNG
【守らないときに叱る】
お子さんがマナーを守れなかったときに叱るのではなく、守れたときにほめるようにしましょう。「自分のことをちゃんと見ていてくれた」「認めてもらえた」という喜びで、その行動を繰り返すようになっていきますよ。

◆これはNG
【文句を言うだけ】
例えば子どもがごみをその辺に捨てたとき、「どこに捨てているの!」「ちょっと、何やってるの!」などと言うのは、マナーを教えたことにはなりません。ただ文句を言っただけ。きちんと、「ごみはごみ箱に捨てなさい」とどうすればよかったのかを言葉で伝えてこそ、「マナーを教えた」ことになるのです。

◆これはNG
【罰をちらつかせる】
「騒いだら、もう連れていかないよ」など、罰をちらつかせてマナーを守らせるのはやめましょう。守る動機が「守らないといけないから」ではなく、「罰を受けたくないから」となり、何か罰が用意されていないと守れない子どもになってしまう可能性が。

どんなシーンでも応用できる!マナーを教えるときの4つの秘訣

【秘訣1】繰り返し伝える
例えば「挨拶されたら挨拶を返す」というマナーなら、その大切さを日頃から伝えましょう。でも、1回や2回言ったくらいでは身につかないのが年中さん。「マナーは10回以上言ってやっと身につく」くらいに思い、何度も伝えていきましょう。守れるようになる日は必ずやってきます。面倒に感じるかもしれませんが、これがマナーを定着させる一番の近道なのです。

幼稚園に通う子供
maroke/gettyimages

(お母さん)「○○ちゃんも挨拶しようね」
(子ども)「おはようございます」
(ご近所の方)「おはようございます」
(お母さん)「今度はもう少し大きな声で言おうね」

【秘訣2】一度に教えることはふたつまでに絞る
年中さんは3つ以上のことを同時に教えられても、そのすべてをしっかり守ることはなかなかできないものです。守らせたいマナーはたくさんあると思いますが、一度に伝えることはふたつまでにしましょう。「無理なく守れること」「まだ年中さんだけれど守らなければならないこと」を基準にして、その中から、おうちのかたが「これだけは」と思うことに絞っていくといいですね。

指を切る親子
yamasan/gettyimages

1 靴を脱いだらそろえようね
2 冷蔵庫や引き出しを勝手に開けないでね

【秘訣3】簡単な理由を短く添える
例えば病院の中で、子どもに「騒がないの!」と叱る。よくある光景ですが、これではマナーを教えたことにはなりません。どうしてそうすべきなのか、理由を添えて伝えましょう。禁止されたとき、その理由がわかると人は守るようになるものですが、それは年中さんも同じ。理由は、例えば「病気の人がいるからね」など、ごく簡単なものでOK。頭ごなしに言われたときとはずいぶん違う様子を見せるはずです。

娘と話しているアジアの母
kokoroyuki/gettyimages

【秘訣4】普通の言い方で伝える
マナーを伝える目的は「教えるため」で、「叱るため」ではありません。でも多くのかたはお子さんがマナー違反をしたとき、つい叱り口調になっているかも。それよりもごく「普通の言い方」で注意した方が、お子さんは素直に聞けるものです。ただし、必要以上に優しい言い方をする必要はありません。あくまで、ごく「普通の言い方」で。

いかがでしたか?おうちのかたが少し意識してマナーを伝えていくだけで、お子さんの様子も変わっていくと思います。あわせて、おうちのかた自身がマナーを守れているか、ちょっと振り返ってみてください。おうちのかたのまねをして、お子さんもきっと守っていきますよ。

※取材時の情報です。

参照:〈こどもちゃれんじ〉

 
 

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