明るい部屋で赤ちゃんの手を握る母親の手

専門家が教える! 気になる1歳児の言葉の育ちQ&A

2022/03/29

赤ちゃんと接するうちに、いつも何げなくやっている行動や言葉かけについて「大丈夫かしら?」と気になったかたもいるかもしれません。よくあるおうちのかたの、赤ちゃんへの接し方について、今井先生にうかがいました。

<お話をうかがった先生>
今井和子(いまいかずこ)先生
20年以上保育士を務め、子どもの「ことば」「自我の育ち」「質の高い乳児保育の実践と子育て支援」を柱とした実践研究を続け、お茶の水女子大学非常勤講師、立教女学院短期大学幼児教育科教授を歴任。「子どもとことば研究会」代表。『遊びこそ豊かな学び』(ひとなる書房)など著書多数。

ずっと赤ちゃん言葉で接してきました。正しい日本語にスムーズに移行できるか少し心配しています

【OK!】赤ちゃん言葉はむしろ、おすすめです。

アジアの母と赤ちゃんのライフ スタイル イメージの肖像画
itakayuki/gettyimages

大きくなっても赤ちゃん言葉を使う子どもは、まずいません。言葉で伝えたい意欲を高めるためにも、今は正しさより、聞きやすさ、言いやすさを重視したいので、赤ちゃん言葉がおすすめです。ただ、意味のある単語を話すようになったら、「にゃーにゃー。猫さんだね」などと、さりげなく言い換えていきましょう。

赤ちゃんに呼ばれても家事で手が離せないときは、「待っててね」と声をかけて待たせています

【OK!】声をかけて安心させれば大丈夫。

アジアの幼児泣き
leungchopan/gettyimages

そばに行けないときは、言葉を返すだけでも十分です。「ママはここにいるよ」などの声を聞くと、内容は理解できなくても、赤ちゃんは安心できます。「あとで行くね。待っててね」と言った場合は、用を済ませたらそばに行って、「ごめんね、お待たせ」と声をかけてください。赤ちゃんは徐々に、「すぐ来なくても、ママはあとで来てくれる」とわかってきます。

赤ちゃんよりも、赤ちゃん返りをした上の子を優先して接してしまいます

【OK!】上の子優先でOK。下の子とはお世話中に丁寧に関わりましょう。

赤ちゃんの妹とお互いをハグの白いシャツの弟。
Golfcuk/gettyimages

上の子の心のケアはとても大事なので、上の子を優先して大丈夫です。とはいえ、赤ちゃんとの気持ちのやりとりも大切にしたい時期。お世話をするときなどに、喃語や赤ちゃん言葉でおしゃべりしたり、赤ちゃんの関心があるものに一緒に向き合ったりして、一対一で関われる時間を大切にできるといいですね。

ココが気になる言葉の育ちQ&A

yuhirao/gettyimages

言葉の土台が育つ大切な時期だからこそ、おうちのかたはいろいろと気になることがあるかもしれません。
でも、言葉はこれから何年もかけてゆっくりと育っていくものです。今だけを見て心配しすぎず、長い目で成長を見守ってくださいね。

Q 何を見ても「マンマ」と言います

A 伝えたかった気持ちに寄り添いましょう。

パンでも、いちごでも「マンマ」と言うことはよくあります。「パンもいちごも食べ物」と理解して、表現しているのでしょう。食べ物以外を見ても「マンマ」と言う場合は、自分が言える言葉で関心を引きたいのかもしれません。「見て!あったよ」という気持ちなのでしょう。
いずれの場合も訂正する必要はありません。赤ちゃんの伝えたい気持ちに寄り添って、正しい言葉を添え、聞かせてあげましょう。

Q 同じ言葉をかけても伝わるときと伝わらないときがあります

A この時期には普通のことですが伝え方に気をつけましょう。

今は、言葉を理解できた瞬間があることが大事な時期。伝わらないときがあっても、心配することはありません。 
ただし、赤ちゃんが何かに夢中になっているようなときは、聞く態勢がととのっていないもの。聞いてほしいことがあるときは、赤ちゃんの目を見て、ゆっくり話しかけましょう。

Q 一度「ママ」と言ったけれどその後は言ってくれません

A 言わせようとせずに気長に待ちましょう。

赤ちゃんの言葉がうれしくて、「これは誰?『ママ』って言ってごらん」などと催促してしまう気持ちは、とてもよくわかります。でも、言ってほしい気持ちが強すぎると、赤ちゃんが負担に感じてしまい、「言葉で伝えるって楽しい」と思えなくなってしまいます。「今度はいつ言ってくれるかな」くらいの気持ちで、気長に待ってあげてくださいね。

今しかできないコミュニケーションを楽しみましょう

赤ちゃんのかわいい喃語でのおしゃべりを聞けるのは、この時期の特権です。「早く、たくさんの言葉が言えるように」という思いは、おうちのかたの自然な願いですが、言葉を獲得する時期も量も、個性のひとつ。焦って覚えさせようとする必要はありません。
喃語期の赤ちゃんとのコミュニケーションは、今しかできない、かけがえのないもの。おうちのかたが心から楽しむことで赤ちゃんの興味や伝えたい意欲が広がり、結果として、言葉も育っていきます。

※取材時の情報です。

参照:〈こどもちゃれんじ〉

 
 

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